警察官にお願い! 補聴器をイヤフォンと間違えないで

杉並・生活者ネット事務所をささえる3人娘 中央が筆者

 

今年6月より「改正道路交通法」が施行され、自転車による交通違反が厳しく取り締まれることとなった。14項目の危険行為が列挙された内容で構成されている。

 6月初旬のある午後、私は聴覚に障がいのある友人と食事の約束をしており、ろう者(聴覚障がい者)が店長を勤めているカフェに出掛けて行った。その店はスタッフのほとんどがろう者で、訪れる客も聞こえない人が多い。

 その日そこで聞いた話によれば、ろう者の一人が自転車に乗っていたら警官に呼び止められ、2時間も足止めされたために仕事に遅刻したという。耳が聞こえないために、最初、なぜ自分が警察官に呼び止められたかその理由がわからず困惑したということだ。警官の表情を見ると、なにか自分が違反をして呼び止められたようだが、その理由が全く思い当たらずこわかったと。

 結論から言うと、彼が両耳に付けていた補聴器が音楽を聴くイヤフォンと間違えられたのだ。取り締まりの警察官は音楽プレーヤーを聞きながらの危険行為「安全運転義務違反」と決め込み、また、彼の耳が聞こえないことでやり取りがスムーズに進まず、補聴器だとわかるまではかなり乱暴な対応をしたということだ。

 このことを生活者ネットの事務所で話題にしたところ、ちょうどその場にいた奥田雅子が区議会の道路交通対策特別委員会でこの件の注意を喚起し、小松久子は都庁で警視庁に申し入れをした。

 取り締まりをする立場の人は、相手に個人的な事情があるかもしれないことを常に配慮し、想像力を働かせてほしいと思う。 (杉並・生活者ネット 事務局長 小出 知子)