区議会第2回定例会 一般質問 2026.6.27 そね文子

私はシスターフッド杉並の一員として、1.杉並区子どもの権利に関する条例に基づく学びについて

2.インクルーシブな学校づくりと不登校支援について、一般質問いたします。

  • 杉並区子どもの権利に関する条例に基づく学びについて

2025年4月1日、「杉並区子どもの権利に関する条例」が施行されました。生活者ネットワークでも長年待ち望んだ条例ができたことを高く評価しています。この条例に基づき、子どもにやさしい杉並区を一緒につくっていきたいと考えています。

条例をつくるにあたっては、子どもの権利擁護に関する審議会が設置され、公募区民5名を含む全16人の委員により2年間8回にわたる審議会が開かれ、私も1回目からできる限り傍聴させていただきました。審議会のメンバーはたくさんの子どもたちの声を聴きに、学校や子どもの居場所に直接出向き、大人が子どもに良かれと思っていることと、子どもの考えていることは大きく違い、子どもの声を聴くことの大切さを改めて認識したとの声も聴かれました。

この条例は審議会をふくめてつくる段階から区長部局と教育委員会が共にとり組んできました。先日は区役所2階の区民ギャラリーで「子どもの権利に関する条例」の取り組みを紹介するパネル展が開かれていました。子どもたちが考える理想の学校についての話し合いがもたれ、その発表を受けて、岸本区長、渋谷教育長がそれぞれにメッセージを送っているのをうれしく拝見しました。

このように、対話の区政を実践する岸本区長のもとで本条例ができ、現場で実際に子どもが参加して施策が前進していることを、心強く思います。

子どもの声を施策に反映させることは、子ども自身が「権利の主体」であるという実感を育んで自己肯定感を高めるだけでなく、将来にわたって主体的に地域や区政に関わる区民を育てる、まさに市民自治の土台となるものです。子どもの現場から市民自治の広がりへとつなげていく、岸本区政の一貫した取り組みを今後もぜひ継続してほしいと考えています。

この取り組みをさらに確かなものとし、未来へつなげていくため、今回は、この条例が主に学校や教育環境にどのような変化をもたらしたのか、そして今後どのようにこれを区民とともに活かしていこうとするかについて質問いたします。

① まず初めに、この条例ができたことの意義をどのように捉えているか、区長にお聞きします。条例施行から一年が経過し、感じている主な変化についてもうかがいます。

  • 条例づくりに向けて審議会が持たれ、審議会のメンバーが多くの学校に、子どもたちの声を聴くために出向きました。それはこの条例にも定められている「意見を聞かれる権利」に基づく取り組みでしたが、それに対する子どもたちの反応はいかがだったか。また、その後も区は多くの場で子どもの声を聴く取り組みを行っているが、そのことによる子どもたちへの影響、子どもの変化など、把握されていることについて、うかがいます。 【子ども政策担当】

渋谷教育長はパネル展の動画の中で、「大人こそがこの条例を学ぶことが必要だ」と述べておられます。子どもの権利を認めるとわがままを増長させる、権利を与えるなら義務とセットだと考える大人がまだ少なくないなかで、深く共感いたしました。

私自身、子どもの居場所づくりをされている認定NPO法人たまりば理事長の西野博之さんのお話を聴き、深く心に刻まれた言葉があります。それは川崎市で子どもの権利条例を作る際、子どもたちが「大人が幸せそうじゃないのに、子どもだけ幸せになれるわけがない。まず大人たちが幸せになってほしい」と語ったことです。子どもと大人がともに権利に対する認識を持ち、ともに自分自身のウェルビーイングを追求することがだいじだという、本質をついた子どもの言葉に胸を打たれ、子どもの声を聴くことの大切さを深く認識させられました。

学校現場の教職員は日々多忙を極めています。教員に気持ちのゆとりがなければ子どもに余裕をもって接することは困難ですが、過労がしばしば社会問題として取り上げられている現状は、教員にとっても子どもにとっても解決されなければならない問題です。また一方、子どもの権利ついて学ぶ機会を確保することも必要であり、教員の働き方見直しと子どもの権利を学ぶ時間の確保は並行して、しくみとして解決すべきであると考えます。

  • そこで、条例ができる過程、そして施行された今後において、まずは学校に関わるおとなである学校支援本部、CS(コミュニティ・スクール)、支援員やボランティアなどの方々に対し、現在どのように学ぶ機会がもたれているのか、伺います。 【地域・学校協働担当】
  • 杉並区子どもの権利に関する条例には区民の役割として「子どもの権利に関する関心と理解を深める」ものとする、と書かれており、大人も学ぶことが求められています。大人の学びについてどのように取り組んいるのか、また、そこで課題と感じていることがあれば、それについてもうかがいます。 【子ども政策担当】
  • 子どもたちが「子どもの権利」について学ぶことはとても重要です。子ども自身が学ぶことによって自己肯定感を高め、いじめの抑止やエンパワメントにつながると認識しています。区では子どもが親しみやすいパンフレットやリーフレット、相談先を載せたカードなど普及啓発のためのツールを作成しており、これらを学校で有効に使ってはいかがかと思いますが、学校ではどのように子どもが学ぶ機会を設けているかうかがいます。 【済美教育センター】
  • 「条例施行後、学校現場において、子どもたちが主体となって校則を見直したり、学校運営について意見を述べたりするような『子どもの参画』の実践例は生まれているか。また、教育委員会としてそれをどのように後押ししているか伺います。 【済美教育センター】
  • 条例では、子どもの意見表明に関する項で「子どもが意見を形成し、又は表明するために必要な支援を行うものとする」とあります。学校生活において子どもがためらうことなく自分の意見や考えを述べるには、そのための機会の保障や大人のサポートなどが必要ではないか、と思います。この点について、教員への研修を含めた区教委の取組みをうかがいます。
  • 以前視察で訪れた大阪の泉南市では、国連で制定された世界の子どもの権利の日、11月20日を市の子どもの権利の日と定め、学校で子どもの権利に関する学習に取り組んだり、お便りを配布したりと様々な取り組みが行われていました。杉並区でもこのような日を定め、子どもや大人が共に子どもの権利について考え地域社会にひろく普及啓発を図る機会にしてはと考えますが、見解をうかがいます。

インクルーシブな学校づくりと不登校支援について

これまで、私はインクルーシブ教育について継続して質問に取り上げてきました。今年2月10日には桃井第一小学校で「通常の学級でインクルーシブ教育はできるのか」をテーマとした公開研修会があり、当時の高橋浩平校長先生のもと、インクルーシブ教育を学校全体で実践されてきたすばらしい取り組みを学びました。

まずは区内の特別な支援を必要とする子どもの状況からみていきたいと思います。

  1. 子どもの数はほとんど増えていないのに対し、特別な支援を必要とする子どもの数は急増しています。区内の特別な支援を必要とする子どもの人数と近年の推移、およびそれに対する対応策の実施状況について伺います。 【多様な学び支援課】
  2. 特に発達障害の子どもの数が急増している状況があります。これらの特性が原因となって学校に行きづらくなってしまうケースも考えられますが、区教委の現状認識を伺います。      【多様な学び支援課・学びとつながり担当】

桃一小の研修会で講演された野口晃菜氏は、小学校6年生の時に渡ったアメリカで障害児と共に学ぶ環境に触れ、帰国後に「障害児と会わない日本の環境」を不自然に感じたと語られました。今の日本のシステムは、障害児と障害のない典型発達の子どもが分けられる「分離教育」の側面が強く、これでは障害がある人が「見えない」ため社会に「いないこと」になってしまいます。差別・排除のない共生社会をつくるためには、障がいのあるなしに関わらずすべての子どもがありのままの姿で尊重され、必要な支援を受けて同じ場で学ぶ権利があるとする人権モデルに基づくインクルーシブ教育が必須であるという考え方に深く共感しました。

2月議会の会派の代表質問においてインクルーシブ教育についてとりあげ、渋谷教育長から「人権モデルに基づくインクルーシブ教育の理念は重要な視点として受け止めている」とする一方で、「特別支援学級や特別支援学校等への入級・就学希望者が年々増えている現状から、一人ひとりの希望を受け止め細やかな学びに取り組む」との答弁をいただきました。

私は、人権モデルに基づくインクルーシブ教育を進めるべきと考えていますが、今ある特別支援学級や特別支援学校を今すぐなすべきと思っているわけではありません。しかし、「両方の希望を丁寧に受け止める」というのであれば、現在の制度的な課題を改善する必要があると考えます。 特別支援学級や特別支援学校を選択すれば手厚く教師が配置され個別の支援が受けられる一方で、就学相談で特別支援学級等が適当という判定を受けた知的障害児が、通常学級を選んだときの学習支援がほとんど用意されていないのが現状です。現状は「支援がなくてもいいなら通常学級を選んでもいい」という、実質的な選択権のない状況ではないでしょうか。

  1. 本当に人権モデルに基づくインクルーシブ教育も大切とするならば、通常学級を選んだ際にも、個別の状況に応じた学習支援が行われることが必要と考えますが、教育委員会の見解を伺います。【多様な学び支援課】

2024年10月、私はインクルーシブ教育の先進校である大阪府豊中市立南桜塚小学校を視察いたしました。 南桜塚小学校では、肢体不自由や全盲、知的、情緒、病弱など、多様な障害のある児童が籍を置く特別支援学級が9学級あります。しかし、その教室に子どもの姿はなく、全員が通常学級で共に学んでいました。特別支援学級の教員や支援員はインカムで緊密に連絡を取り合い、支援が必要な子のいる教室へ入り込む形で学習を支えていました。車いすの教員も活躍されるその校内では、子どもたちがごく自然に、重度障害児の大型車いすを押して移動を手伝っていました。また、児童館のように水槽や画用紙、ゲームが置かれた校長室は、教室に行きづらい子どもたちの安心できる居場所となっていました。同校の橋本校長が「教室の中で多様な学びを可能にする」実践を積み重ねてこられた結果、約1,000名の全校生徒に対し、適応指導教室に通う子や不登校の児童はほんの数名に留まっているということです。この教育方針が、不登校を生みにくい環境を作っていると考えられます。

4.このような多様性を認め合うインクルーシブ教育の実践は、すべての子どもにとって安心できる居場所となり、不登校を生みにくい環境づくりに寄与すると考えますが、教育委員会の見解を伺います。 【学びとつながり担当】

5.これまで視察してきた多くの学校ではハード面の工夫も見られました。例えば廊下につい立を置いてクールダウンできる場所がつくられていたり、一人でこもれるようなスペースがあったり、教室に畳を置いて上履きを脱いで座れるようにしたり、こうした少しの工夫で安心できる子どもがいます。杉並区内でも独自に実践している学校があると思いますが、その状況と、他校への情報共有の取り組みについて伺います。

6. 特別支援教育推進計画には「言語聴覚士(ST)・作業療法士(OT)・理学療法士(PT)による巡回支援の充実」とあります。インクルーシブ教育を進めるうえで非常に有効だと考えていますが、通常学級への支援の実施状況について伺います。 【多様な学び支援課】

7. 2月の代表質問では、教室に行きづらい子どもの居場所である「校内別室」について取り上げました。当時は運営が学校に任されていて開設時間も学校によって違う状況があるが、教育委員会として予算と人をつけ、研修を行うこと、スクールカウンセラーや教員との連携などを求めたところ、「俯瞰して見直す中で指摘の点(予算・人・研修・連携)も含め検討する」との答弁をいただきました。現在の検討状況はいかがでしょうか、うかがいます。 【学びとつながり担当】

8.これまで不登校支援として求めてきた「保護者の会」を、この度教育委員会主催で開催いただくことになり感謝いたします。これを行うに至った目的、経緯、および今後の開催頻度について伺います。     【学びとつながり担当】

9.次に通常学級での学習支援のあり方について、具体的に伺います。 予算特別委員会でも取り上げましたが、通常学級に在籍する知的障害児が2年間ひらがなのプリントをずっとやらされて飽きていたことを紹介しました。保護者は「少し書くときに手を添えてくれたり、漢字にルビを振ってくれる、あるいは読んでくれるなどの簡単な支援があれば」とおっしゃっています。通常学級支援員がこのような支援をできるということを保護者は知りませんでした。教員は必ずこのことを知っているのでしょうか。保護者へも通常学級支援員の役割を知らせていただきたいと思いましたが、現状はどのように行われているのかうかがいます。 【多様な学び支援課】

最後に、これら特別支援教育と不登校支援を一体的に進めるための体制について伺います。

  1. 今回、教育委員会事務局が大きな組織改正を行い、特別支援教育課や教育相談担当の名称が変更されました。この組織改正の目的、概要、および特徴的な改正点について伺います。           【多様な学び支援課】 【学びとつながり担当】

11. 以前より私は、教育委員会事務局の特定ポストの人事異動が一年ごとに行われることに関し、事業継続の観点から改善を求めてきました。今回の組織改正は、こうした事業継続性や人事異動の期間の改善にもつながるものとなるのか、見解を伺います。 【学びとつながり担当】

視察した豊中市立南桜塚小学校で「自立とは、一人で何でもできることではなく、できないことを頼める人間関係がたくさんあること。そういう人間関係を作る場所が学校である」という考え方に触れ、私はやはりフルインクルーシブが必要との思いを強くしました。一方で大阪とは環境が違う東京の杉並区で、当時の桃一小学校の高橋浩平校長先生はたくさんの「インクルーシブ研修だより」を発行し、担任の先生に問いかけ、支え、校長室で子どもたちを受け入れ、共に考えながら「できないことをほったらかしにしない教育」の実践を重ねてこられました。その歩みは著書「私たちが求めるインクルーシブ教育への挑戦」に詳しく描かれており、私も大変感銘を受けながら拝読いたしました。杉並区で行われてきたこのすばらしい実践を共有し、すべての子どもがそれぞれの特性を認め合い、支えあえる豊かな人間関係を育む学校づくりを進めていただきたいと申し上げ、私の一般質問を終わります。