第1回定例会 市橋綾子の質問と答弁
【Q】 ● 第6期介護保険事業計画(案)が策定されたが、これまでの要支援1、2の方に対する介護予防サービスについて、区はどのような評価をし、今回の計画策定に取り組んだのか、伺う。
【A】 現在の第5期介護保険事業計画期間までは、要支援者の自立支援に向けた介護予防サービスを通じて、要支援者に対する様々な生活支援や心身機能改善に取り組んでいますが、高齢者の皆さんが、医療や介護が必要になっても、住み慣れた地域で、安心して暮らし続けるには、更に日常生活の活動を高め、家庭や社会への参加を促していくことが重要になってくると思います。
今般の介護保険制度改正では、地域包括ケアシステム構築を更に推進するため、リハビリテーションの理念を踏まえた、新たな介護予防・日常生活支援総合事業をスタートさせようとしています。
区においても、地域包括ケアシステム構築の推進を念頭に、介護予防の更なる充実を目標に、第6期事業計画策定に取り組んだところです。
【Q】 ● 今回の制度改生では地域包括支援センターの体制強化が目指されている。第6期介護保険事業計画(案)では、どういう絵を描いているのか、重点的な取り組みは何か伺う。
【A】 この計画(案)では、全てのケア24に「地域包括ケア推進員」を配置して体制を強化し、医療・介護の連携や認知症対策の充実、生活支援サービスの体制整備に向けた地域づくりを本格化していくために、重点的に取り組む内容を明らかにしました。
具体的には、医師をリーダーとする在宅医療地域ケア会議を補佐し医療・介護の連携強化を図ることや、区の認知症地域支援推進員との連携による認知症施策の推進、高齢者の生活を支援するための担い手の養成やそのネットワーク化です。
【Q】 ● 第6期介護保険事業計画(案)に対するパブリックコメントでは、どのような意見・要望が寄せられたか、件数と内容を伺う。計画に反映するべきものがあったか伺う。
【A】 昨年12月1日から今年1月5日まで区民等の意見提出手続きを行い、16件の意見等をいただきました。内容は、今回の制度改正により創設される介護予防・日常生活支援総合事業について、特に予防給付から介護予防訪問介護や介護予防通所介護が地域支援事業に移行することへのご意見が多かったです。 ご意見や国からの通知等を踏まえ、計画(案)は、新たな記述の追加やグラフ・用語について、わかりやすく説明を加えるなどの修正をしました。
【Q】 ● 総合事業の実施時期はいつの予定か。複数の関連する所管があると思うが、どのような体制で検討していくのか伺う。
- 区民に対し制度改正の説明を3回したと聞くが、その周知方法や時期、対象者、参加人数、参加者の意見等、開催状況について伺う。
- 総合事業のサービスの提供側となる民間営利事業者、非営利市民事業団体等への対応として、今後どのような場を設定していくのか、時期も含めて伺う。
【A】 総合事業の中で、予防給付から地域支援事業に移行する介護予防・生活支援サービスについては、平成28年度当初から実施する予定で、すでに制度移行に伴う保険者業務の準備のために、高齢者担当部を中心に保健所とも連携しながら、詳細な事務の流れ等を検討しています。
制度改正に関する説明会は、昨年12月1日の区報やチラシ配布の他、介護事業者に対して個別通知で周知し、区民向けの説明会は、区内3か所で実施し役60名の参加、2回実施した訪問介護事業者や通所介護事業者対象の説明会では約450名の参加がありました。参加者からは、今回の制度改正の概要や総合事業に関する質問・意見がありました。また現在、訪問介護事業者や通所介護事業者を対象に、国の総合事業ガイドラインに対する意見や総合事業のサービス提供意向について、アンケートで調査中です。今年度中に、次の事業者説明会を行う予定ですが、介護事業者以外に地域で高齢者を支援している団体からも、機会を捉えて意見を伺う予定です。
【Q】 ● NPOやボランティアによる訪問型サービスや通所型サービスが、第6期の介護保険事業計画(案)に挙がっていないのは疑問。どのような判断をしたのか、その理由は。早急に検討すべきと思うが、その予定はどうか。
- 地域のNPO法人やボランティア団体によるサロン活動などの実態把握が必要と思うが、いかがか、区は調査しているのか、今後も調査していくのか。
- 地域のNPO法人やボランティア団体の活動が地域包括ケアシステムを支える社会資源として、区は捉えているのか、そのような団体の意見を聞くべきと思うが、いかがか。
【A】 第6期介護保険事業計画の期間においては、利用者の方が不安なく予防給付から地域支援事業に円滑にサービス移行ができるように進めつつ、ボランティア主体及び住民主体のサービスについても参画できる体制を整え、次の事業計画に反映させていこうと考えます。
地域で高齢者の多様な生活支援を行っている様々な活動や地域のサービス資源は、地域包括ケアシステムを支える上で、重要な社会基盤であると捉えています。そのため区は、地域の多様な高齢者の生活を支える資源について、地域の実態や活動している事業者や団体等から、意見やサービス内容などを把握するとともに、情報共有や情報発信ができるよう努めます。
【Q】 ● 地域包括ケアシステムの構築のために、生活支援コーディネーターは、高齢者の生活を支える地域資源や人材を発掘する視点をもつことが必要と考えるが、区の見解は。
- 第1層の協議体の設置も早期にすべきと考えるが、いかがか。時期も構成メンバーも一律ではなく、地域の特性を生かし柔軟に設置していくべきと考えるが、いかがか。
- 第2層の協議体のイメージはどのようなものか。地域包括支援センターの単位が妥当と思うが、いかがか。
- 協議体には、地域のネットワークを生かし現状把握、既存のサービスの活用、必要なサービスの開発など、地域で多様なサービスが展開されるよう期待するが、いかがか。
【A】 地域包括ケアシステムの構築を進めていく上で、医療や介護の公的なサービスの充実は当然ですが、地域の支え合いや民間資源を含めた既存の社会資源を活用して、高齢者の在宅生活を支えるためのサービス資源を開発していくことやサービス資源をつなげていく仕組みが重要です。
そこで、新年度早々に区全域を対象とした第1層の協議体を設置できるよう、今年度内に可能な準備を進め、その準備過程で、地域の状況や人材を把握し、高齢者支援活動をしている区民ボランティアの方々等の意見を伺っていきます。協議体設置当初は、核となるメンバーを柱としつつ、整備状況に応じてメンバー構成は柔軟に工夫していきます。一方、地域レベルでの第2層の取り組みは、全ケア24に配置する地域包括ケア推進員の活用を考えています。適切な地域単位で、まずは潜在的な地域資源の掘り起こしや情報共有を徹底することから進めていきます。
【Q】 ● 総合事業で訪問型サービスや通所型サービスを担うボランティアに対して、適正な養成・研修やその後の受け皿とのマッチングが必要と考えるが、区の見解は。
【A】 すでに様々な介護サービスの中で、多様なボランティアが参加していますが、今後、ボランティアがサービスの担い手として、さらに大きな役割を担っていくためには、サービスを提供する事業者や団体がボランティアの養成や研修等を行い、責任ある活動を行える体制を整えていくことが重要です。区としては、様々な活動形態に応じた募集内容や事業者情報の把握に努め、ボランティア活動等に意欲のある方が、こうした活動に参加しやすい環境づくりを進めていきます。
【Q】 ● 現在の介護予防の二次予防事業について、費用対効果の側面をどのように評価しているのか伺う。
- 今回の法改正で、要支援者を基本チエックリストで判断するとされているが、有効に機能できるよう対策を考えているか。要介護認定申請についても周知が必要と考えるが、区の考えは。周知の際の留意点をどのように考えているのか伺う。
【A】 区はこの間、虚弱な高齢者を対象者にした二次予防事業として、要支援・要介護認定を受けていない高齢者の方に、生活機能低下等の基本チエックリストを送付し、積極的に対象者の把握に努めてきました。その取組からは、二次予防事業に参加する高齢者が少ないことや、改善効果より維持効果の方が大きいことが認められ、より効果を上げるためには、自立支援のためのアプローチが重要だと評価しました。
今回の改正により、要支援者の把握のために基本チエックリストを活用できます。またそれに加えて、要支援者の生活状況を十分に把握し課題や目標を明確にすることで、確実に自立支援につながる介護予防ケアマネジメントを確立していきます。総合事業は、その方の状況に応じて、早めに介護予防の取組や必要な生活支援サービスを提供するものであり、区民の方には、あらゆる媒体や手法を活用し介護保険の認定申請を含め、総合事業の趣旨をわかりやすく丁寧に説明していきます。