第4回定例会一般質問   2011.11.21 市橋 綾子

自転車のまちづくりについて          

私は生活者ネット・みどりの未来の一員としまして、「自転車のまちづくりについて」質問します。

 

私は「自動車優先社会から歩行者優先、自転車のまちづくりへ」を政策に掲げ、実現に向けて活動しています。今年の第一回定例会でも今回と同じタイトルで、主に行政の計画について質問しました。今回は、311日の震災以降自転車利用が増えていること、また先日、警察庁が自転車走行について悪質で危険な運転の取り締まりを強化するよう全国の警察に指示を出したということもあり、この時期をとらえて交通安全と自転車駐車場問題の視点から5つの項目に分けて質問します。

 

1つ目として杉並区交通安全計画について2点伺います。

杉並区交通安全計画は区長を会長とする杉並区交通安全協議会が交通事故死傷者を絶滅させることを主眼に、1971年から5年を一区切りとして策定しているもので、今回の第9次計画で40年目を迎えました。近く、第9次の計画が策定されますが、1点目の質問として、第8次計画の成果と、第9次計画の特徴は何かうかがいます。

 

2点目。第9次計画案では4年間で死亡者数がゼロ、事故発生数1,900件以下にするという数値目標が立てられています。この数値目標を達成させるためには、策定中の基本構想および総合計画に第9次計画が反映されるものと考えますが、どのように位置付けられるのか伺います。

 

2つ目。交通安全教育について伺います。

1025日、警察庁から全国の警察本部に「自転車は車両であるということを徹底する」との通達が出されました。これは「車道を通行する自転車」と「歩道を通行する歩行者」の双方の安全を確保するものであり、悪質で危険な運転に対して街頭取締りを強化していくとの姿勢は、当然のことと受け止めています。事故を起こさない、また事故に合わないようにすることが第一であり、そのためには交通ルールとマナーの習得が必要であることが過去40年間、交通安全計画のなかで言われ続けてきました。交通切符を切られて「交通反則行為を知らなかった」とならないよう、区はこれまでの交通ルールとマナーの周知方法から脱却した交通安全の教育改革とも言うべき抜本的な施策が必要と考えます。そこで6点伺います。

 

 

1点目。警察は悪質で危険な自転車走行については交通切符を切るなど、取締りを強化するとしていますが、交通切符とはどういうもので、切符を切られる対象者はどういう人か、また、現在の取締り状況はどのようになっているか伺います。

 

2点目。区は小学生、中学生、高齢者に向けて交通安全教室などを行っておられますが、今後は携帯電話やヘッドホーン、傘差し運転などが増える高校生、成人に向けた交通安全教育にも力を入れるべきと考えます。区のお考えをお聞かせください。

 

3点目。子どもは首が座ったころから母親、父親がこぐ自転車に乗っています。子どもにとって交通ルールのお手本は保護者です。小中学校の子どもたちへの交通安全教育に加えて、就学前の子どもを持つ保護者に対しても交通安全教育が必要と考えます。現状はどうなっていますでしょうか。また、今後について区のお考えを伺います。

 

4点目。子どもたちは56歳からひとりで自転車に乗れるようになります。早い時期に、「自転車安全利用五則」を通して命を大事にすることを教える必要があると考えます。自転車安全五則とは、1.自転車は車道が原則 2.車道は左側を通行、3.歩道は歩行者優先で、4.安全ルールを守る、5.子どもはヘルメットを着用、の5つですが、特に「自転車は車であること」「歩行者が優先であること」を子どもが見てすぐわかるようなポスターにして、子どもの目に触れやすい教室内や廊下、職員室の前、保健室、トイレなどに貼り、低学年の時期に教える必要があると考えますがいかがでしょうか、お考えを伺います。

 

5点目。区は区内の自転車を使用する事業者に対して、自転車の安全利用の研修を行っておられますが、この取組みをもっと拡大したらいかがでしょうか。本庁職員の皆さんが自転車に乗って移動されているのをよく目にします。本庁職員の方に向けても、また区の関連施設、出先機関などでも自転車を多く使用する方に対して研修を広げてはいかがでしょうか。伺います。

 

6点目です。東日本大震災以降自転車利用が増えています。区内の幹線道路、五日市街道で月1回、自転車の走行総数と車道走行数を定点調査している方がいらっしゃいます。朝の7時から8時の1時間で見てみますと、311日の震災前の走行数が100台程度だったのが震災直後314日には243台、4418台、5423台、6472台とふえ、それ以降コンスタントに400台以上を保っている数字を見ても、震災前の3倍から4倍に増加していること、そしてその数の6割強の自転車が歩道を走っていることがわかりました。歩行者の安全確保は喫緊の課題となっているところに、今回の警察の通達がありました。今後、自転車の車道通行が増えてくることが予想されることから、自動車の運転者はこれまで以上に車道を走る自転車に対して注意が必要です。現在、区は3台の広報車に、自転車の安全走行を呼び掛ける看板を付けて町なかを走らせていますが、この看板に、例えば「車道の左側に自転車が走っています。巻き込み注意」などを書いて自動車の運転者に対し、自転車の走行への配慮を促したらいかがでしょうか、お答えください。

 

3つ目として自転車安全走行について2点伺います。

警察庁の昨年の統計では、交通事故自体は減っているものの、自転車が関係する事故が増えている実態があります。全国の交通事故のうち、自転車が関係した事故は151626件、そのうちの84%が自動車との事故になっていること。また、歩行者との事故は自転車事故全体の1.8% 2760件ですが、そのうちの40%にあたる1039件が都内で起きていることが報告されています。

1点目として杉並区の自転車が関係する事故の数字はどうなっているでしょうか。それは都内の他の自治体と比較して特徴があるのかどうか、あわせて伺います。

 

2点目。私は自転車が安全に走るためには自転車走行レーンがぜひ整備されるべきと考えています。このたびの警察庁の通達によれば、自転車走行環境の整備のなかで、「自転車走行レーンの設置が望まれる」と書かれています。このことに対して区のお考えを伺います。

 

4つ目にTSマーク保険についてうかがいます。

区は交通ルールのパンフレットの見開き2ページを使って、自転車保険であるTSマーク保険の加入を呼び掛けておられます。自転車と歩行者との事故が増えていることから自転車側に高額な賠償請求がされる事例も聞いておりますので、自転車保険への加入を呼びかけることは必要なことと思います。しかし、現実にはこのTSマーク保険は一般的に知られていないうえ、今年私が自転車を新しく購入した際に経験したのですが、自転車商の方もいま一つ積極的にTSマークをつけるという姿勢になっていないように感じました。そこで伺います。このTSマーク保険の引き受け団体はどういった団体で、保険の内容はどのようになっているのでしょうか。また、TSマーク保険を区が勧めていくのであればもっと加入を拡げる必要があると考えますが区のお考えを併せてお聞きします。

最後5つ目として商店街の自転車駐車場、いわゆる駐輪場対策について2点伺います。

1点目。駅前の放置自転車は区の努力で減少している一方で、商店街での買い物客対象の駐輪場設置が進まないことが、自転車等駐車対策協議会でも懸案事項になっていますし自転車利用総合計画でも指摘されています。設置が進まない理由を区としてどう捉えておられるのか伺います。

 

2点目。自転車を商店街近くに停めておけないから少し離れていても駐輪場がある大型店舗に買い物に行くと言う人も少なくありません。先日、サイクリングのまちおこしを始めている埼玉県ときがわ町の例を聞きました。なかなかお客さんが商店街に留まってくれず素通りされてしまってお金が地域に落ちない、と悩んだ末に自転車問題の専門家のアドバイスによって、飲食店前に駐輪場を整備したら、食事に立ち寄る自転車愛好家が増え、地域にお金が落ちるようになったという話を聞きました。どこの商店街にも当てはまるものではないかもしれませんが、商店街の活性化につながる対策の1つとして、駐輪場の設置は大きな要素だと思います。商店街の駐輪場は、商店街が自らの力で設置すべきものと考えますが、商店街の規模も大小さまざまあるわけで、自前でできる商店街ばかりではないでしょう。商店街任せでは難しいという点も否めません。商店街に来るお客さんの交通手段を調査し、買物の金額との関連を見ながら、ニーズがどの程度、どの部分にあるかを探り当てていけばそこに駐輪場はできると専門家は言っています。協議会を立ち上げて、商店街にもっとお客さんを呼ぶ、売り上げを上げるにはどうしたらいいか、という議論から始める必要があると考えます。また、商店街の中にある大型店舗やチェーン展開している店への協力依頼は不可欠ですし、商店街を利用する人たちの問題でもあることから、その地域の町会・自治会と組んでまちぐるみで考えることが必要ではないでしょうか。そこでうかがいます。商店街が駐輪場設置に向けて取り組みを始められるよう、区として、さまざまな調査活動、場所の選定、駐輪場の運営方法などに関して後押しできることはないでしょうか、お答えください。

 

最後に2009年の道路交通法規則の一部改正で、子ども2人乗せ自転車が解禁になってから丸2年が過ぎました。街なかではチャイルドシートに子どもを乗せて元気よく走っている若いお母さん、お父さんの姿をよく見かけます。このチャイルドラック搭載自転車は子どもが自分で自転車に乗れるまでの期間、つまり5年程度の期間の使用になります。そのためレンタル方式を導入している自治体もありますが、当区ではレンタル方式をとりませんでした。この自転車はラックが重いうえ、子どもをガードするようにできているので大きく場所をとります。子どもが自分で自転車に乗れるようになると、自転車からラックを取り外す人、自転車ごと手放す人が出てくることが予想されます。ネットオークションや知り合いに譲れる人は問題ないですが、粗大ごみとして自転車やラックを処分する人も相当数出てくることになり廃棄物が増えることが考えられます。例えばシルバー人材センターでラックやラック付き自転車のリユース事業に取り組むとか、それらを自転車商に持ち込めば再販できるようなしくみがあれば、廃棄物にならずにすみます。今後の対策が求められるところです。以上、チャイルドラックおよびラック付き自転車のリユースについて問題提起をさせていただきまして、私の質問を終わります。