教育委員人事案件への反対意見

                                          08 10.10 小松久子

教育委員の人事案件に対し、区議会生活者ネットワークとして反対の立場から意見を申し述べます。

 

10月6日に内示をいただいてから、今回推薦された方がどういう方か、どのような子ども観や教育観をお持ちの方か知りたいと思い、私たちはできる限り情報収集に努めました。しかしこの4日間では賛成と判断するに足る情報を得ることができませんでした。

 

生活者ネットワークにとって最大の関心事は、その方が子どもの権利についてどのような識見をお持ちかということです。「ひとづくり」というような、社会に役立つ子どもをつくるという考え方ではなく、子どもが学ぶ権利、遊ぶ権利、その子らしく成長する権利、意見を表明する権利などについて、十分に理解し、それらが一人の例外もなく保障されるように尽力くださる方かどうか。それが杉並の教育行政の要である教育委員となる方の最も重要な資質であると考えます。それを判断するだけの情報を、私たちは残念ながら持ちえていません。それが第1の理由です。

 

候補とされた方が女性でなかったことも、賛成できかねる理由のひとつです。今回、法改正により、教育委員の中に未成年の子どもの保護者が含まれていなければならない、という要件が加わったことを受け、現役PTA会員から選出を、とお考えになったことは妥当と思います。しかし、であればなぜ女性から選ばれなかったのでしょうか。現在PTA活動を担っている人たちがほとんど女性であり、かついまの教育委員に女性が一人だけであることを見れば、ここはぜひ女性を推薦いただきたかったと思います。

 

また、いまの教育委員選出制度そのものに問題があると考えます。私たちは、かつて中野区で実施されていたような、住民による投票で教育委員を選出する準公選制が採用されてしかるべきと考えています。首長のみが選任権を持つ現在の方式では、民主主義の理念が反映されません。教育委員会は「地方教育行政の組織及び運営に関する法律」に基づき区長の行政権限から独立した合議制の執行機関として設置されるものとうたわれているにもかかわらず、その選任は区長が行うというのは、どうみても矛盾を感じます。

 

今後、制度改正に向けた議論が求められることを申し上げて、反対意見といたします。