08年第3回定例会 一般質問

                                                                                         08 9.16 市橋綾子

私は、区議会生活者ネットワークの一員といたしまして、
1.障がい者のグループホームについて、
2.在宅介護における家族支援について、質問いたします。

 

先ごろ、知的障がい者やダウン症、発達障がい者の保護者会・家族会の方たちが、障害者自立支援法の抜本的見直しを求める集会を開き、その中で、施設から地域に移行して自立した生活をするには身近な地域での居住の場が絶対的に少ない現状を訴えました。また、障害者計画の策定に向け、障害者の自立した地域生活の実現と新たな障害者施策を検討している「東京都障害者施策推進協議会」が、障がい者の地域生活を進めるための提言をまとめた、との報道がありました。家庭からグループホーム(GH)への移行はあっても、入所施設からGHへの移行が進んでいない現状が述べられており、施設入所者がGHなどに入居する仕組みが必要、としています。このように、地域での居住できる環境整備が大きな課題になっています。

障害者自立支援法が全面施行されてから丸2 年がたとうとしていますが、当事者はもちろんのこと保護者の方たちの努力だけではなかなか自立に結びつかないこの法律に対して、抜本的見直しの訴えが大きいのも頷けます。この法で掲げている障がい者の自立した生活は、就労、住まいなど、地域の受け皿としての整備がなければ成り立たないことは明白です。

今回は、住まいの1つであるこのGHについて、なかでも主に知的障がい者のGHについてお伺いします。

 本題に入る前にまず、区の障害福祉計画について伺います。
2006 年にスタートした「障害者自立支援法」により、自治体は「障害福祉計画」の策定を義務付けられました。杉並区においては昨年3月に、第1期である来年 2009年3月までの「障害福祉計画」を策定し、現在、2009年4月からの第2期の計画改定の作業が行われ、素案がまとまったと伺っています。区として第1期の総括、また、次期計画の目標及び特徴は何かお示しください。

次に、障がい者のGH全般について3点お尋ねします。
「住まい」は、日中活動以外の主要な時間をすごす場所です。障がい者の地域で自立した生活を保障するには「支援のある住まい」の整備を進めていくことが必要です。GHは、少人数で、日常生活の支援を受けながら、一般の住宅で地域に溶け込みながら生活できる住まいの形態をいいますが、障害福祉計画の中で、このGHをどう位置づけておいででしょうか。おたずねします。

また、設置目標数、現時点での実績、収容総数は目標を達成しているのかについてもお示しください。

 

さらに、都外近県の施設を区が借りて区民が利用しているGHが複数あると聞きますが、この実態を区は把握していらっしゃるでしょうか。あわせてお伺いします。

続きまして杉並型GHについてお伺いします。

杉並区には杉並型と呼ばれる知的障がい者の訓練型GHが5 寮あります。訓練型というのは施設などを出て地域で生活するための訓練の場で、入居期間は3年以内とされています。杉並型の特徴は、自立支援法のGHでは定員4~7人に世話人1人の配置のところ、杉並型は定員3人に1人の配置になっていることがあげられます。手厚いサポートがある杉並型の機能は、施設や学校からGHに移る場合や、保護者がGHに不安を持っている場合など、滞在型GHに入居のための訓練ができる住まいとして重要です。

今後、GHを増やす計画のなかで、区内にある既存のGHを自立支援法に切り替えた場合、定員3名に世話人1人という杉並型の手厚いサポートは無くなるのではないかと心配する声があります。自立支援法におけるサービスに移行しても杉並型GHの機能は担保されるべきと考えますが、いかがでしょうか、おたずねします。

4つ目としましてGHの世話人についておたずねします。
グループホームには、作業所や勤め先から帰宅した居住者の生活をサポートする「世話人」がいます。

世話人は一人体制で、早いところで午後3 時から翌朝の午前9時の間、居住者とひとつ屋根の下で寝起きを共にし、食事の提供、健康管理・金銭管理の援助、日常生活に必要な相談・援助、自己決定を尊重する支援、危機対応、役所からの書類のチェックなど、さまざまな業務をこなすことが求められます。GHの管理責任者には、資格、経験、研修が求められている一方で、世話人に対しては、ほとんど何の資格・要件も要りません。世話人には常勤と非常勤がいますが、業務の中身は変わりません。また、常勤と非常勤は顔を合わせて情報交換をすることがほとんどなく、お互い戸惑いを感じながら働いている実態があり、GHで働く世話人にとって、相談ができる体制、情報交換の場、そして研修は必要なものになっています。

「やなぎくぼ」「すだち」「オブリガード」の三つの支援センター共催で行われている「世話人情報換会」は、世話人にとって情報交換の場としてだけではなく、仕事上の悩みを相談できる場としても重要な場になっています。しかし情報交換会は、世話人が勤務時間内に仕事を抜け出して参加できる体制が取れない状況から勤務時間外に開かれ、出席したからといって対価は支払われていません。ほとんどの常勤の世話人は参加していますが、非常勤の参加がないのが実情と聞いています。同じ仕事を担っているのですから常勤だけではなく非常勤の参加も必要でしょう。研修については、世話人の仕事に就く前、初めて3か月から6か月くらいの初任期、慣れてきた頃の現任期の3つの時期に行われることが望ましいといわれます。

以上、GHの世話人の問題点を縷々述べましたが、障がい者が24時間安心して暮らせる仕組みづくりを目指しておられる区として、このような世話人の状況を把握していらっしゃるでしょうか。

世話人の研修についても区としての支援が必要と考えますがいかがでしょうか。あわせておたずねします。

 

5つ目として今後のグループホーム設置についておたずねします。区はグループホームを計画的に設置していますが、新設の際、物件探しやマンパワーの確保などが難しくかなり時間を要すると