第3回定例会一般質問と答弁 2026.9.11 奥田雅子
ひきこもり支援について
Q1)杉並区のひきこもり支援に対する考え方と方向性について伺う。
Q10)ひきこもりになったきっかけでは不登校が少なくないと聞いている。不登校=ひきこもりではないが義務教育の間あった支援が、義務教育終了した後も、切れることなく教育から福祉へ、就労、社会参加へと引き継がれていくような仕組みが必要ではないかと考える。区長が記者会見で報告された「(仮称)学びとつながり基本方針」の策定が検討される中で、生活自立支援担当や子ども家庭支援課などとも連携して策定するとのことで期待したいと思うが、義務教育後の支援体制についてもこの方針策定の中で検討がなされるのか、区の考えを伺う。
A(区長)私からは奥田雅子議員のご質問のうち、ひきこもり支援に対する考え方と今後の方向性等に関するご質問にお答えします。私はひきこもりを個人や家庭だけの問題としてとらえるのではなく地域社会全体で向き合うべき課題であると認識しております。そして引きこもり状態にある方を支援の対象としてのみ見るのではなくひとりの区民として尊重し、その人らしく暮らしながら社会とのつながりを築いていけるよう支えていくことが重要であると考えております。区では昨年度ひきこもり支援相談窓口「ゆるりと杉並」を開設し、相談支援や居場所づくり、地域理解の促進に取り組んでおります。今後も当事者や家族に寄り添う伴走型支援を基本としながら、誰もが孤立することなく安心して暮らせる地域共生社会の実現に向けて取り組んでまいります。
次に教育から福祉への切れ目のない支援についてのお尋ねにお答えします。多様化・複雑化する不登校の要因の中には学校生活上の課題だけでなく家庭環境に起因するものも含まれていると考えています。このため教育委員会だけでなく福祉部門をはじめとした関係機関と連携しながら子どもや家庭を包括的に支援していくことがいっそう重要になっております。現在、不登校を「子どもの育ちと家庭を支える行政全体の課題」として捉え不登校児童生徒への支援の方向性を示す「(仮称)学びとつながり基本方針」の策定に向け教育委員会と区長部局が連携して取り組んでおります。
Q2)昨年8月よりひきこもり支援推進事業がはじまり1年が経過した。この間やってみての手ごたえはどうか伺う。また、「ゆるりと杉並」の利用状況やその分析も含めお聞きする。
A(保健福祉部長)はじめに相談および「ゆるりと杉並」の利用状況についてお答えします。「ゆるりと杉並」は令和7年8月に開設し、昨年度の相談実績は合計582件となっております。その内訳は電話367件、LINE116件、メール52件、来所相談44件、オンライン相談3件でございます。特に電話とLINEによる相談は483件で全体の83%を占めており、対面での相談に不安を感じる方にとって利用しやすい相談手段として活用されているものと認識しております。
次に事業開始からの手ごたえについてのお尋ねですがこれまで支援につながりにくかった引きこもり当事者やそのご家族との接点が着実に生まれており、ひきこもり状態にある方々への新たな相談支援の入口として一定の成果が現れているものと認識しております。引き続き当事者やご家族に寄り添いながら一人ひとりの状況に応じた伴走型支援に取り組んでまいります。
Q3)すぎなみ地域大学では昨年度から「ひきこもりサポーター養成講座」を開催し、今年度も実施予定と聞いている。どのくらいの方が受講したかということ、また、区はこのサポーターに期待することは何か伺う。
A(保健福祉部長)次にサポーターの養成についてのお尋ねですが、すぎなみ地域大学と連携し、令和7年度からひきこもりサポーター養成講座を実施しております。昨年度は3回開催し68名が受講、修了しました。本講座には地域活動に関心を持つ区民を中心に多くの方に参加いただいており、ひきこもりに関する正しい理解を深めていただくとともに地域の中で見守りや声かけを行いながら必要に応じて適切な相談機関につないでいただくことを期待しております。
Q4)家族会や当事者の会との連携について伺う。
A(保健福祉部長)次に家族会や当事者会との連携についてのお尋ねですが、ウェルファーム杉並において家族会である「フリーランス杉並家族会」と当事者団体である「すぎなみの居場所」がそれぞれ月1回情報交換や懇談を行っております。その会合の後、代表者と区が意見交換を行い事業の周知や居場所づくりをはじめ、ひきこもり支援の充実に向けて連携を図っております。
Q5)国では、「ひきこもり支援ハンドブック~寄り添うための羅針盤~」があるが、杉並区ではこのハンドブックをどのように活用しているのか。活用しているとしたらどのような機関と共有しているのか確認する。
A(保健福祉部長)次に国の「ひきこもり支援ハンドブック~寄り添うための羅針盤~」の活用についてのお尋ねにお答えします。同ハンドブックはひきこもり支援に関する基本的な考え方や支援のポイントなどがまとめられており支援に携わる者にとって有効な資料であると認識しており、区ではひきこもり支援推進事業の実施にあたり当事者会等との連携を進める際の参考資料として活用しております。
Q6)また、一律的に解決することが難しいひきこもり支援は一人ひとり違う対応が迫られるため、できるだけ多くの機関とつながることが重要だと感じているが、日々の支援ではどのようにして多機関連携をしているのか伺う。
A(保健福祉部長)次に多機関連携についてのお尋ねにお答えします。ひきこもり状態にある方は健康、就労、家族関係、生活困窮など複合的な課題を抱えている場合が多く一つの機関のみで対応することは困難であると認識しております。このため区では生活困窮支援、介護、障害福祉、保健、教育、就労支援などの関係機関と連携を図りながら当事者やご家族の状況に応じた支援を行っております。
また、必要に応じて支援調整会議を活用し支援の方向性や各機関の役割を共有しながら対応しております。今後も多機関によるネットワークを生かしながら一人ひとりの状況に寄り添ったきめ細やかな支援に努めてまいります。
Q7)このひきこもり支援推進事業は国がけん引する事業でもあるが、国などの予算の活用状況とその内容について伺う。
A(保健福祉部長)次に、ひきこもり支援推進事業補助金の活用等に関するお尋ねにお答えします。本事業は国が1/ 2東京都が1/ 4を補助するもので東京都を通じて助成を受けているものです。区ではこの補助金を活用しながら相談支援、居場所運営、サポーター養成講座等を実施しております。
Q8)厚労省の担当者はひきこもりを特別視するのは良くないため、ひきこもり支援の資格化は考えていないという話を伺った。むしろ、”人”とかかわる力=伴走力を持っていること、傾聴・カウンセリング技術、共感力、社会資源等の知識・情報・ネットワークの技術・知識が豊富であるなどで、人間観・支援観・社会観の価値・倫理を正しく理解している人がふさわしいとのことだった。一人ひとり違う対応を求められるからこそ、支援者には高いスキルが求められると思う。そのような視点から杉並の相談支援は行えているか、区はどのように評価しているか伺う。
A(保健福祉部長)次に本事業の支援の質の評価についてお答えします。ひきこもり支援において重要なのは当事者一人ひとりの状況に寄り添い、信頼関係を築きながら継続的に関わることであると認識しております。そのため受託事業者は公認心理師、臨床心理士、社会福祉士、精神保健福祉士などの専門資格を有する方を配置するとともに採用にあたっては人柄や倫理観等を重視しております。また相談支援においては傾聴や共感的理解を基本としながら関係機関との連携や地域資源の活用を図り継続的な関係性の構築を重視した支援を行っております。こうしたことから区では適切な支援が行われているものと評価しております。
Q9)8月19日の「ひきこもりUX女子会」はTOKYO広域連携事業として杉並区で実施され、私も参加した。なかなか地元での相談がしにくいということも聞くので広域連携は重要な視点だと思う。この広域連携に参加している自治体はどこで、具体的にどのような連携がなされているのか。パンフレットの交換やそれぞれのHPに連携自治体のリンクを貼るなどもされているのか確認する。
A(保健福祉部長)次に、ひきこもりUX女子会についてのお尋ねにお答えします。ひきこもりUX女子会は参加者が多様な当事者との出会いや経験が共有できるよう都内13自治体の広域連携のもと実施している事業であり、参加自治体は港区・新宿区・文京区・杉並区・豊島区・立川市・武蔵野市・府中市・昭島市・日野市・国分寺市・国立市・東大和市となっております。具体的な連携としてはイベントの共同開催のほか開催時には職員の応援、周知の相互協力などとなっております。また議員ご指摘のホームページのリンク、パンフレット等の周知についても行っており参加者の居住自治体を問わず必要な支援につながることができるよう努めております。
Q11)杉並区には子ども相談専用窓口「ゆうライン」があるが、「ゆるりと杉並」の相談者は30代、40代、50代など中高年の方の参加が多く、だれでも参加できるとはなっているものの、10代後半や20代前半の若年世代の参加には課題があるのではないかという話を支援者から聞いたが、区の認識はいかがか。
A(保健福祉部長)次に若年世代の利用状況についてのお尋ねにお答えします。「ゆるりと杉並」では若年層から中高年層まで幅広い年代の方から相談を受けておりますが、30代から50代の利用が約半数を占めております。若年世代への早期支援は将来的な孤立防止の観点からも重要であると認識しておりますので、教育委員会や就労支援センターとの連携を図りながら相談につながりやすい環境づくり務めてまいります。
Q12)相談窓口や居場所に自ら出向くことができない人、家族だけで悩みを抱えている人にどのように支援を届けるのか。アウトリーチが重要な役割を果たすと考えるが、杉並区でのアウトリーチはどのような状況か。また、地域福祉コーディネーターが地域の課題掘り起こしに動く中でひきこもりにつながった場合、どのように情報共有、連携がなされるのか伺う。
A(保健福祉部長)次に、アウトリーチ等についてのお尋ねにお答えします。自ら相談窓口や居場所につながることが難しい方への支援はひきこもり支援における重要な課題であると認識しております。
ひきこもり状態にある方の中には長期間にわたり他者との接触が少ない状況にある方も多く支援者が訪問したからといって直ちに相談や面会につながるものではありません。そのため区では、当事者への働きかけを性急に行うのではなく、まずは家族からの相談に丁寧に対応し、継続的な関わりを通じて信頼関係の構築を図りながら必要に応じて訪問支援を実施しております。
また、地域福祉コーディネーターが地域活動や個別支援を通じてひきこもり状態にある方やその家族を把握した場合には本人や家族の意向を踏まえながら、ひきこもり支援窓口等の関係機関と連携し適切な支援につなげております。
Q13)ひきこもり本人の社会参加を図る場合、一気に就労に行くにはハードルがあると認識している。まずは自室から出る、家から出る、相談や居場所に出かける、中間就労の場でやりたい仕事を試すなど、ゆっくりと時間をかけて行きつ戻りつしながらも少しずつ前に進んでいける段階的なしくみが必要だと考えるが、人それぞれにアプローチ方法も違う中で、何を大切にすすめて行くのか、改めて区の姿勢を伺う。
A(保健福祉部長)次に、段階的な支援の仕組みについてのお尋ねにお答えします。ひきこもり状態にある方への支援においては当事者一人ひとりの状況や意向に寄り添い、そのペースを尊重しながら丁寧に関わっていくことが何より重要であると認識しております。区では「ゆるりと杉並」を軸として相談支援や居場所の利用などを通じて社会とのつながりを回復し、その後の社会参加につなげる伴奏型支援を行っております。今後とも一律に社会参加や就労を目指すのではなく当事者の希望や状況に応じて一度立ち止まったり、支援の方向性を見直すことも念頭におきながら、長期的な視点に立って段階的な支援に取り組んでまいります。
Q14)一方で引きこもり支援の現場では、従来の福祉サービスにつながりにくい事例や複合的な課題に対する長期的な支援が必要な事例も多く、支援者が疲弊し、バーンアウトしてしまうことも見られることから燃え尽き防止のための支援者へのサポートも必要と考えるが、杉並区ではそれに対する対応策などは考えられているのか伺う。
A(保健福祉部長)次に、支援者へのサポートについてのお尋ねにお答えします。ひきこもり支援は長期間にわたることが多く、一人ひとりの状況に応じた丁寧な関わりが求められていることから、支援者の負担軽減や支援体制の充実も重要であると認識しております。そのため区と受託事業者、関係機関が定期的に打ち合わせを行い、状況の共有と支援方法について話し合いを行うことで支援者が一人で課題を抱え込まない環境づくりに努めております。
またケースに応じて他機関が連携して支援を行うことで支援者の負担軽減と支援の質の向上の両立を図っております。今後も支援の質の向上と合わせて支援者を支える環境づくりに務めてまいります。
Q15)杉並区には就労支援センターにジョブトレーニングコーナーがあるが、原則として一般就労を目指す人が対象となっている。ひきこもり本人が社会参加の一歩として、一般就労につながるかはわからないが就労体験をしたいという場合はジョブトレの対象になるのか確認する。
A(産業振興センター所長)私からは就労支援センターに関するご質問にお答えします。就労支援センターのジョブトレーニングコーナーでは働くことに不安を感じている方、働くイメージが持てない方などを対象に講座や事業所訓練等を通じて就労に向けた支援を行うことを基本としておりますが、直ちに一般就労を目指すのではなくまずは就労体験を通じて働くことへの理解を深めたいという方に対しても、本人の状況や意向に合わせて支援を行っております。
Q16)ひきこもり支援は本人が地域社会の一員として暮らしていけるところまでが伴走だと学習会で学び、ひきこもり当事者にとって地域の中に依存先、相談先をいかにたくさんつくっていくかという話も納得する。そのためにはひきこもりの原因を社会側の問題としてとらえ、地域の中にひきこもりに対する理解者を増やし、つながれる場や機会をつくっていくことが必要だが、地域との関係をどのように形成していくのか区の見解を伺う。
A(保健福祉部長)私からの最後に地域との関係形成についてのお尋ねにお答えします。ひきこもり状態にある方が地域社会の一員として安心して暮らしていくためには当事者への支援と合わせて地域の理解促進やつながりを支える環境づくりが重要であると考えております。そのため区では当事者や家族への相談支援と合わせて、ひきこもりサポーター養成講座や普及啓発を通じて地域の理解者を増やす取り組みを進めております。また居場所事業や家族会、当事者会などとも連携しながら当事者が地域の中で自分に合ったつながり先や相談先を見つけることができるよう、安心して参加できる場や機会の充実を図っております。今後も当事者、家族、地域住民、関係機関が緩やかにつながりながら支え合う地域づくりに努めてまいります。

