そね文子の区議会質問「子どもの権利」「インクルーシブ教育・不登校」と答弁 2026/5/27
1.杉並区子どもの権利に関する条例に基づく学びについて
Q1-1杉並区子どもの権利に関する条例ができたことの意義をどのようにとらえているか区長に伺う。また、条例施行から一年が経過し、感じている主な変化についても伺う。
A1-1区長)区は、住民に最も近い基礎自治体として、こども基本法の趣旨を踏まえ、子どもの権利の保障に関する基本理念や区の責務を明確にするとともに、相談体制の整備、子どもの意見表明等を条例で定めたことは、子どもが権利の主体として尊重され、安心して暮らせる地域社会の実現に向けて、大変意義のあることだと考える。
本条例を施行し、一年となるが、昨年9月に「子どもの権利相談・救済窓口」を開設し、子どもの権利救済委員等が子どもの声に寄り添いながら、相談対応を行ってきたほか、子どもワークショップ等の実施や、普及啓発に取り組んできた。
こうした取組を重ねる中で、子どもが困ったことを相談したり、自分の思いを伝えたりしやすい雰囲気が広がり、必要な支援につながりやすくなってきたものと受け止めている。
また、区役所内においても、子どもの意見を聴いて取組に生かす必要があることについて、一定の共有ができたと認識している。
今後も、子どもを含めた区民の皆様に、子どもの権利の理解が広がるよう普及啓発を重ねるとともに、相談・支援の取組を着実に進めていく。
Q1-2条例づくりに向けて審議会が持たれ、審議会のメンバーが多くの学校に、子どもたちの声を聴くために出向いた。それはこの条例にも定められている「意見を聞かれる権利」に基づく取り組みでしたが、それに対する子どもたちの反応はいかがだったか。また、その後も区は多くの場で子どもの声を聴く取り組みを行っているが、そのことによる子どもたちへの影響、子どもの変化など、把握されていることについて、うかがう。
A1-2子ども家庭部長)区においては、子どもの権利条例を制定するに当たり、当事者である子どもの意見を反映させることが重要であると考え、子どもを対象にしたワークショップや、小中学校等における意見交換会等を実施し、子どもの権利擁護の考え方等について子ども等から意見を聞き、その意見を参考としてきた。
こうした子どもからの意見を聴く取組を行う中で、子どもからは、「親や先生以外の大人が自分の意見を真剣に聞いてくれることに驚いた。良かった。」「自分の意見を伝えることを大切にしたい」といった意見があった。また、令和5年8月から昨年度までに実施したワークショップに参加した子どもを対象に、本年1月に、同窓会を開催した。同窓会に参加した子どもからは、「意見を周りに言えるようになった」 「意見を言ってもいいんだと思えるようになった」などの感想があった。
区としては、引き続き、子どもワークショップなど意見を聴く取組を継続するなど、子どもが必要な情報を得て意見を表明できる機会の確保に取り組んでいく。
Q1-3 条例ができる過程、そして施行された今後において、学校に関わるおとなである学校支援本部、CS(コミュニティ・スクール)、支援員やボランティアなどの方々に対し、現在どのように学ぶ機会がもたれているのか、伺う。
A1-3共創教育担当部長) 区教育委員会では学校運営協議会の委員に対し、協議会の場で条例の趣旨等の理解を深めてもらうとともに、「児童・生徒との懇談」の機会を設け子どもたちの意見を直接聞くように依頼している。また、こうした協議会や懇談の場には学校支援本部やボランティアが参加することも想定し、学校にかかわる多様な立場の人が子どもの権利について理解する機会につながると考えている。
Q1-4条例には区民の役割として「子どもの権利に関する関心と理解を深めるものとする」とあり、大人も学ぶことが求められている。大人の学びについてどのように取り組んでいるか、また、そこで課題と感じていることがあれば、それについても伺う。
A1-4子ども家庭部長)子どもの権利条例では、大人は、子どもを社会の一員として尊重し、子どもが安心して健やかに成長できるようにする役割を担うこと、また、すべての大人が子どもと子どもの権利について理解を深めること等を通じて、地域全体で子どもの権利の保障に取り組んでいく必要があることを明らかにしている。
こうした考えの下、区では、区役所でのパネル展の開催やすぎなみフェスタでの出展、広報すぎなみなどにより、区民への普及啓発を進めるとともに、学校の教員や児童館職員など、子どもに関わる大人への研修等に取り組んできた。
課題としては、子どもの権利への関心と理解が、より多様な区民に広がるよう、伝え方を工夫していくことだと捉えている。今後も、関係部署と連携しつつ、子どもの権利についての関心と理解が深まるよう、様々な取組を着実に進めていく。
Q1-5子どもたちが「子どもの権利」について学ぶことは重要であり、自己肯定感を高め、いじめ防止やエンパワメントにつながると認識している。子どもが親しみやすいパンフレットやカードなどを使ってはどうか。学校ではどのように子どもが学ぶ機会を設けているかを伺う。
A1-5教育委員会事務局次長) 区教育委員会では、区が作成しているパンフレットやリーフレット、相談先を掲載したカードを各学校で活用して指導するよう周知しており、各学校では、児童・生徒の発達段階や実態に応じて、特別活動等の教育活動を通じて計画的に実施している。
また、相談先を掲載したカードは、児童・生徒が必要と感じた時に相談できるよう、一人ひとりのタブレット端末にも配信しています。
Q1-6条例施行後、子どもたちが主体となって校則を見直したり、学校運営について意見を述べたりするような「子どもの参画」の実践例は生まれているか。また、教育委員会としてそれをどのように後押ししているか伺う。
A1-6教育委員会事務局次長)区立学校では、児童・生徒が主体となった学校行事の企画・運営や校則の見直しなど、実態に応じた様々な取組が生まれているところだ。
区教育委員会では、児童・生徒が主体となって学級・学年・学校づくりを進めることを教育課程上の重点事項の一つとして位置付け、各学校がこのような取組を日常的に行えるよう支援している。
Q1-7 条例では、「子どもが意見を形成し、又は表明するために必要な支援を行うものとする」とある。学校生活において子どもがためらうことなく自分の意見や考えを述べるための機会の保障や大人のサポートなどについて、教育委員会の取組を伺う。
A1-7教育委員会事務局次長)区教育委員会では、保護者や地域に対し、子どもの権利を守ることの理解を促進するため、教育長のメッセージを発信するなど普及啓発を図っている。
また、教員や学校司書、スクールカウンセラーや特別支援教室専門員については、職に応じた研修や連絡会を実施し、子どもの意見を尊重しながら関わることへの理解を深める取組を進めているところだ。
Q1-8大阪府泉南市では世界の子どもの権利の日を「市の子どもの権利の日」と定めている。杉並区でも同様の日を定め、子どもや大人が共に子どもの権利について考え、広く普及啓発を図る機会にしてはどうかと考えるが、見解を伺う。
A1-8子ども家庭部長)他自治体において、子どもの権利条約が国連で採択された11月20日を、子どもの権利の日として定め、子どもと大人が子どもの権利について考える取組を実施していることは承知しております。
区としては、特定の一日を新たに定めるのではなく、こども家庭庁が推進する5月・11月の「こどもまんなか月間」など一定期間の取組の中で、11月20日も含めた機会を活用し、子どもと大人がともに考える場を広げることが効果的であると考えている。今後も、普及啓発の取組を工夫し、子どもの権利への理解が、地域に広がるよう進めていく。
2.インクルーシブな学校づくりと不登校支援について
Q2-1区内の特別な支援を必要とする児童・生徒の人数と近年の推移、およびその対応策の実施状況について伺う。
A2-1教育委員会事務局次長)まず、区内の特別な支援が必要な児童・生徒数は、特別支援学校、特別支援学級・特別支援教室・通級指導を利用する児童・生徒を合計しますと、令和5年度1,530人、令和6年度1,666人、令和7年度1,859人となっている。
区教育委員会では、こうした状況に適切に対応するため、学校管理職や巡回指導教員と連携し丁寧な相談対応を行うとともに、特別支援学級の設置や通級指導の充実、校内支援体制の強化、専門家による巡回相談の実施など、多様なニーズに応じた支援の充実に取り組んでいます。
Q2-2発達障害の子どもの数が急増している状況がある。これらの特性が原因となって学校に行きづらくなってしまうケースも考えられるが、教育委員会の現状認識を伺う。
A2-2教育委員会事務局次長)文部科学省の調査において、不登校児童生徒を把握した事実の中に、障害に対しての教育的支援の求めや相談があることから、発達特性は不登校の要因の一つであると認識している。
Q 2-3現在は特別支援学級や特別支援学校を選べば手厚い支援が受けられるが、知的障がい児が通常学級を選んだときには学習支援はほとんどなく、実質的な選択権のない状況ではないか。人権モデルに基づくインクルーシブ教育も大切とするならば、通常学級を選んだ際にも個別の状況に応じた学習支援を行うことが必要と考えるが、教育委員会の見解を伺う。
A2-3教育長) インクルーシブ教育の理念は、障害の有無にかかわらず共に学び、多様性を尊重する社会の実現を目指す重要なものであり、教育委員会としてもその方向性を共有している。
一方で、この理念は単に同じ場で学ぶことのみを目的とするものではなく、一人ひとりの教育的ニーズに応じた学びを保障することが本質であると認識している。そのため、通常の学級、通級指導、特別支援学級等を連続的に位置付け、「共に学ぶこと」と「個別の支援」を組み合わせることが基本とされている。
通常の学級における支援については、通常学級支援員の配置や授業方法の工夫などにより、合理的配慮を通じて学びやすい環境を整えることは重要だ。ただし、合理的配慮は無制限に支援を追加するものではなく、教育として成立する範囲の中で工夫していく考え方だ。
また、学校は多くの子どもが共に学ぶ場であり、すべての児童生徒の学びや安全を同時に確保する必要がある。そのうえで、支援が本人にとって真に意味ある学びとなるかを見極めることが重要です。このため、通常の学級に在籍する場合でも、常に個別支援を付加すればよいというものではなく、最も力が伸びる学びの場はどこかという観点から総合的に判断していくことが不可欠であると考える。したがって、通常学級における支援の充実を図りつつ、通級指導や特別支援学級なども含め、複数の選択肢の中から適切な学びを提供することが、子どもの成長につながるものと認識している。
Q2-4 多様性を認め合うインクルーシブ教育の実践が不登校を生みにくい環境づくりに寄与すると考えるが、教育委員会の見解を伺う。
A2-4教育委員会事務局次長) 不登校の要因は、学校生活での人間関係や学習面の課題に加え、家庭環境や本人の心理的要因などが複合的に関わっている。そのため、特定の取組のみでの解決は困難であると考えていますが、多様性を認め合うことは、すべての子どもが安心して学び、生活する教育環境づくりにつながる重要な視点であると捉えている。
Q2-5先進事例ではハード面の工夫も見られ、例えば廊下につい立を置いてクールダウンできる場所を作ったり、教室に畳を置いて上履きを脱いで座れるようにしたり、こうした少しの工夫で安心できる子どもがいる。区内でも独自に実践している学校があると思うが、その状況と、他校への情報共有の取組について伺う。
A2-5教育委員会事務局次長)区立学校では、パーテーション等を活用したクールダウンスペースの設置や、畳やマットの活用、図書室で安心して過ごせる環境づくりなど、各校の実情に応じた創意工夫が行われており、こうした取組については、教職員研修や会議等を通じて、実践事例の共有を進めているところだ。
Q2-6特別支援教育推進計画のP41に 「ST・OT・PTによる巡回支援の充実」とある。インクルーシブ教育を進めるうえで非常に有効だと考えるが、通常学級への支援の実施状況について伺う。
A2-6教育委員会事務局次長)言語聴覚士や作業療法士、理学療法士による巡回支援に関するお尋ねですが、これらの支援は、主に特別支援学級等を対象に実施しており、そこで得られた知見や指導の工夫を済美養護学校の「センター的機能」を通じて、通常の学級の指導に生かしている。また、作業療法の視点を取り入れた教職員研修の実施などにより、通常の学級の指導力の向上にも取り組んでいる。
Q2-7 2月の代表質問では、教室に行きづらい子どもの居場所である「校内別室」についても取り上げ、「俯瞰して見直す中で指摘の点(予算・人・研修・連携)も含め検討する」との答弁を得た。現在の検討状況はいかがか。
A2-7教育委員会事務局次長)昨年度、校内別室の実態把握や課題整理を行い、それを基に今年度検討を進めているところだ。具体的には、人材を確保するための処遇改善や校内別室に携わる人へのスキルアップ支援に加え、予算があっても担い手確保が難しいという声があったことから、既存の人材や制度などの活用策も検討している。
また、支援員と教員等との連携については、工夫して取り組んでいる学校の好事例を広く展開していきたい。
Q2-8不登校支援として求めてきた「保護者の会」を、この度教育委員会主催で開催することとなり感謝する。これを行うに至った目的、経緯、および今後の開催頻度について伺う。
A2-8)教育委員会事務局次長)「保護者の会」は保護者の孤立感の軽減や相談・交流の場の提供、杉並区の不登校施策の周知等を目的としております。
また、保護者の支援を通じて、不登校児童生徒への支援にもつながるよう、保護者のニーズも踏まえ、区教育委員会が主催で実施することとし、年間6回程度を予定している。
Q2-9通常学級での学習支援のあり方について、さらに具体的に伺う。予算特別委員会でも取り上げたが、通常学級に在籍する知的障害児が2年間ひらがなのプリントをずっとやらされて飽きていたことを紹介した。保護者は「少し書くときに手を添えてくれたり、漢字にルビを振ってくれる、あるいは読んでくれるなどの簡単な支援があれば」と言っている。通常学級支援員がこのような支援をできることを保護者は知らなかった。教員は必ずこのことを知っているのか。保護者へも通常学級支援員の役割を知らせてほしいと思ったが、現状はどのように行われているのか伺う。
A2-9教育委員会事務局次長)通常学級支援員は、教員免許の所持を必須としていないため、担任の指示のもと、児童・生徒一人ひとりの状況に応じて、授業中の注意喚起や内容の言い換え、読み聞かせなど、理解を支え学習活動への参加を促す補助的な役割を担っている。
また、通常学級支援員が提供できる具体的な支援内容や役割を、学校を通じて保護者へ丁寧に情報提供し、保護者の理解のもと、個々の状況に応じた適切な支援に努めているところだ。
Q2-10今回、教育委員会事務局が大きな組織改正を行い、特別支援教育課や教育相談担当の名称が変更された。この組織改正の目的、概要、および特徴的な改正点について伺う。
A2-10教育委員会事務局次長)「共生社会の実現」やインクルーシブ教育の理念を踏まえ、多様な学びの場の整備と支援の充実を図る観点から、教育相談と就学相談などの機能を一体的に所管する体制として「多様な学び支援課」へ再編した。
あわせて、不登校支援について、学びと共に社会とのつながりの支援をより推進していくため、「学びとつながり担当課長」を新設し、不登校の児童・生徒や保護者の多様なニーズに、より迅速かつ丁寧に対応できる体制の構築を図った。
Q2-11教育委員会事務局の特定ポストの人事異動が一年ごとに行われることに関し、事業継続の観点から改善を求めてきた。今回の組織改正は、こうした事業継続性や人事異動の期間の改善にもつながるものとなるのか、見解を伺う。
A2-11教育委員会事務局次長)、今般の組織改正は、中長期的視点から戦略的に教育行政を推進すること、効率的な執行体制を確保し所掌・責任の明確化を図ることを目的に行っています。なお、事業継続性は重要な視点であることから、ご指摘の特定ポストの人事異動については、昨年度、区費教員を配置したところです。
