アメリカ大統領選挙 バイデン勝利で分断の融和なるか
ジョー・バイデンが次期大統領になることが確実になり、勝利演説で「分断ではなく結束を目指す大統領になる」と宣言したことはアメリカの民主主義の再生に明るい希望を与えました。また、WHOやパリ協定への復帰など国際協調路線へ転換することも確実とされ、欧州との関係改善をはじめ、国際秩序の回復も期待できます。
そして副大統領として、検察官出身のカマラ・ハリス上院議員(55歳・カリフォルニア州選出)が就任しますが、女性で、アフリカ系・インド系というのは、アメリカの副大統領として全て初めてづくしとなります。
バイデン氏と共に勝利演説を行ったハリス氏は、「We the People(我々人民は)」という合衆国憲法前文の文言を使いながら、「皆さんは希望、団結、謙虚さ、誠実、そして真実を選びました」と力説。また、自分は最初の女性副大統領になるが、「私が最後ではありません。これを見つめている全ての小さい女の子が、この国は可能性の国だと理解するからです」と述べました。多様性を重視し、ガラスの天井を破る第一歩になるでしょう。
アメリカでは社会の分断が進んでいく中でコロナの問題が追い打ちをかけ、感染者は1千百万人を超えました。トランプ大統領の排外政策による民主主義の後退、コロナ対策の失敗でアメリカ社会は不安と混乱の中にあるといえます。さらに、米大統領選と同時に行われた連邦議会選で、民主・共和両党のどちらも、上院(定数100)の過半数に届かない結果になりました。来年1月5日にジョージア州で決選投票が実施される見通しで、その結果によりどちらの党が上院をコントロールするかが決まります。共和党が上院を取ればねじれ現象で予算も簡単には通過できなくなることは必至です。
一方、菅義偉首相は当面の課題解決に必死ですが、菅政権の目指すことが日本の国家像にどのように反映されるのか提示すること、対米・対中国政策をどのように進めていくのかを議論をしていかなければならないと思います。
今こそ、私たちは生活者ネットの活動基本である「草の根民主主義」を貫きたいと思います。
(杉並・生活者ネット代表 藤田 愛子)