安保法案の問題点は何か?

国会前抗議行動で怒りを込めてスピーチする小松久子都議 9/22

 

安全保障関連法案が最大のテーマとなった通常国会が閉会しました。強行採決を何とも思わぬ与党と、反撃できない野党によって、まったく国会の外は見えずに何が何でもお祖父さん(岸信介、第56,57代内閣総理大臣)の後を追いたい首相の思惑が願った通りになったかたちです。

 安保法案が違憲問題であることは大きな争点でした。しかし、そもそもこの国の形をどのようにするのかの議論が全くなされない事のほうが大きな問題点であるといわなければなりません。その議論も

せずに、ただアメリカと約束したからその期日までに法案を成立させたいというのであればあまりにも情けないことです。

 冷戦時代終結後テロや地域紛争が激化し、中国の台頭が明らかな時、日本はこれまで通りアメリカにおんぶに抱っこでいくのか、自分たちのお金で国防を担うのかあるいは、スイスのような中立国になるのか、そんな議論が全くなされないままになし崩し的に集団的自衛権の行使容認が決められていくことに国民は不安を感じ、また憲法をないがしろにするやり方に憤りを感じたのだと思います。

 実質、武力攻撃事態・予測事態と、存立危機事態、重要影響事態、国際平和共同対処事態がどのような時に起きるのか、予想されるのはどのような場合なのか、誰がどのように判断していくのか、国会承認とはいえ事後もありうるとなれば、それが信頼できることなのかどうかわかりません。審議をしていけばいくほど混迷してくるような首相・防衛大臣の答弁であったと感じます。

 安保法案の廃案を求めていくことはいうまでもありませんが、法案が通ったから次は「経済」という政府の思惑に流されることなく、私たちはこの法案の実質を凝視する必要があると考えます。                (元都議会議員 藤田 愛子)