第1回定例会一般質問  2014.02.18 市橋綾子

私は、生活者ネットワークの一員として、1.杉並のめざす「協働」について、2.将来の区営墓地の展望について   質問します。

 まず杉並のめざす「協働」について伺います。

このたび、「予算編成方針とその概要」を伺い、区長に就任されてからの3年半の取組みについて、私どもの政策に照らしながら振り返らせていただきました。区長が掲げられた3つの公約のうち、10年ビジョンとなる基本構想そして総合計画の策定と、杉並版事業仕分けを実施されたこと、と2つの公約の実現について述べておられましたが、もう一つの公約、「新しい公共の発想で協働計画を策定する」については、残念ながら区長から伺うことができませんでした。「協働」は、これまで生活者ネットワークが一貫して取り組んできた政策であり、地域の活動を実践してきた立場から、区の取り組みを私どもは評価しております。その点をうかがう意味も込めて、区立施設再編に関係して4点、「協働の取組方針」から3点伺います。

区長は、公約の1つ「10年ビジョンとなる『基本構想』」を20123月に策定し、この実現のために、「参加と協働による地域社会づくり」と「持続可能な行財政運営の推進」、そして「区民と共に実現していく」とされたことは、区政のリーダーとなられた区長の力強い決意の表われだと、私どもは賛意を示してきたところです。

しかし、いま区が最重要課題として取り組んでおられる、市民生活に大きな影響がある「区立施設再編整備計画」の素案づくりにおいて、「参加と協働」はどこにいったのでしょうか。一昨年の201210月に行われた区民アンケートと、同年12月の無作為抽出による区民意見交換会を指して「参加と協働」とされるのでしたら、それはあまりにもご認識不足です。基本構想には「参加と協働」は区民とのコミュニケーションによって支えられる、としていますが、素案づくりにおいて区民とのコミュニケーションが不十分であったことを指摘したいと思います。昨年9月の「素案」発表後、多くの区民から驚きと戸惑いの声があがり、区が行った説明会では設定した時間内に収まりきれないほどの質問が出されました。また、議会には陳情が複数出されています。これらの区民の反応を区はどうとらえておられるのか、1点目としてうかがいます。

昨年1215日、無作為抽出による区民意見交換会が行われ、見学させていただきました。参加者は27名と決して多くはありませんでしたが、一所懸命に与えられた課題に取り組んでいらっしゃいました。ただ、当然ながら施設を利用したことがある人と利用したことがない人では関心の持ち方が違いました。施設再編の問題は、財政問題という現実的な課題と、少子高齢化に立ち向かう地域社会づくりの中で、「参加と協働」のもと、区民の生活を守り、その多様な活動を保障していくという二つの課題を、如何にバランスよく解決していくのか、ということだと思います。そういう意味では、進めていくプロセスに市民がかかわることへの視点が欠けていたのではないでしょうか。

全国的に行われている、また行われようとしている公共施設の見直しは、方針やビジョンといった「総論」から入るやり方と、当区のように個別施設ごとに提起する「各論」から入るやり方があるようです。昨年10月、多摩市が策定した「公共施設の見直し方針と行動プログラム(最終案)」は、個別施設ごとの提起がされ、当区と同じように市民へのアンケートや説明会が実施されていますが、その他にテーマ別討論会、施設活用のワークショップを開催して市民の声を拾う、また市民意識の醸成のための講演会を開催し、1年以上もかけて最終案が策定されています。公園づくりと比較するのは乱暴かもしれませんが、当区の公園づくりは、たとえば済美公園やいま取り組んでおられる(仮称)下高井戸公園など、どのような公園にするのかを決める時期に、関心ある方たちの意見をワークショップ方式で聞きとり、設計に反映させていく方法で行われています。自治基本条例を持つ当区において、また基本構想で「参加と協働」「区民とのコミュニケーション」を標榜する区は、9月に発表された「素案」づくりに際し、施設のある地域の実際の当事者である利用者を含め、当該施設の関係者の方々の声を聞きとるべきだったと考えますが、2点目の質問として区のご見解を伺います。

3点目の質問は、「あんさんぶる荻窪と荻窪税務署との交換」についてです。「あんさんぶる荻窪」は、当時、区民の皆さんの参加で「複合施設をつくる会」をつくり、市民と区が丁寧に議論を重ねてつくった施設です。税務署と交換するにしても、その発表前に、先ほど申し上げた利用者、施設関係者に説明をすべきでしたし、発表直後にでも説明がされるべきだったのではないでしょうか。区のご見解を伺います。

4点目の質問です。現在、施設再編整備の「素案」から1段階進んだ「計画案」となりましたが、これから決める部分がまだ多くあります。全員協議会で私どもの「施設再編は地域育成のチャンスであり、区民と対話型で計画づくりを行うべき」との質問に、「子どもから高齢者まで幅広く議論ができる形で地域に入っていく」との答弁をいただきました。しかし、予算書のなかに具体的に地域に入って区民に説明し、意見を聞きとる、議論をする形跡が見当たりません。パブリックコメントも相当数寄せられていると思われ、それに応えることも必要です。具体的計画がおありでしょうか。お答えください。また、職員の方が通常業務の中で行っていくのでしょうか、これについても予算書で読み取ることができませんでした。併せて、うかがいます。

次に「協働の取組方針」から「すぎなみNPO支援センター」関連で3点伺います。

1点目です。庁内組織の杉並区行財政改革推進本部が昨年1月に決定した「杉並区における今後の協働の取組方針」において、中間支援機能の充実・強化が打ち出され、期待するところです。「すぎなみNPO支援センターの組織体制の再構築」を重点とし、「来年度からすぎなみNPO支援センターの新体制による中間支援組織として活動を展開する」としていますが、新体制とは何か、具体的な内容についてお示しください。

2点目。予算編成方針に、「地域の多様な活動主体が連携・協力しながら地域の課題を解決できるよう新たな協働提案制度に取り組む」とあります。新たな協働提案制度の試行として、一つは区内農産物に係るまちなか地産地消事業の構築、二つ目に区民向けの多様な交通安全教育の企画・運営・実施、三つ目は家庭からでる生ごみを減量する施策の普及・拡大、以上3つの協働テーマの募集があり、交通安全教室と生ごみの減量の2事業が今年度採択されました。この4月からの実施に期待するものですが、今後、これらの事業の評価と検証はどの時点でどのようにして行われるのでしょうか。また、その後、この試行実施を踏まえて、協働提案制度をどのように広げていくのか伺います。

3点目。私どもはこれまで、地域コミュニティづくりには、地域の中でNPOや町会・自治会がつながることが必要であり、そのためには、地域に係るテーマを、顔を合わせて、ともに考え、話し合う機会をつくることが大事、と訴えてきました。区は、「連携を持ってやっていく」との答弁のもと、様々な機会をとらえて実施されてきていることを評価するものです。先日も、阿佐谷地域区民センターで地域懇談会が開催され、地域の町会、・自治会、商店会、民生児童委員、青少年育成委員会、ケア24、教育関係者、NPO等様々な立場の方々が参加され、活発な意見交換と活動交流が行われたと聞いています。この動きは、今年度3地域、来年度はさらに他地域にも広げていかれると伺っておりますが、今回の「施設再編」のような地域に関係する課題こそ、顔を合わせ、話し合う機会をつくることが「自治と協働」を進めるうえでも大切であり、地域コミュニティづくりにつながると考えます。区のお考えをうかがって、次の質問に移ります。

2つ目の質問、将来の区営墓地の展望について伺います。

いまの世の中は、気がつけば、生まれる子どもは少なく、亡くなる人が多い「少産多死」の時代になり、葬儀や埋葬のあり方が大きく変わってきています。身内だけで行う家族葬や密葬といった小さなお葬式を選択する方が増え、また無宗教葬にするなど葬儀の仕方も多種多様になり、葬儀費用が低価格化しています。その一方で、これから先お墓に入りたい人は増えこそすれ、お墓の絶対数は簡単には増えないことから、お墓の価格は下がりません。

 

杉並区にある寺院墓地に新規にお墓を作るとすると、いくらぐらいかかるか調べてみました。寺院によって、また、お墓の大きさによって違いはありますが、お墓の利用料である権利費が百万円台、墓石を建てるのに百万円台の費用がかかります。それでも区外からの希望者もいるため、需要に対する供給量の不足から競争率は高く、簡単には購入できない状況です。ちなみに区内にある墓地は96か所、およそ36,000基のお墓があり、納骨堂は8か所でその収容数は1,600体程度で、これからお墓が増える状況にはないと、伺いました。そこで今回、数万円で購入できるような区営墓地を展望して6点質問します。

生活クラブ生協が組合員に対して行った「葬儀と埋葬に関するアンケート調査」に1622人から回答がありました。今回は、埋葬について述べますが、新規に墓地を購入する場合にどういうものを望むか訊いたところ、樹木葬、散骨、合同納骨塚、手元供養を選択した方が約7割と、個人所有の墓地にこだわらない傾向が見られました。なかでも、土や海など自然に返る樹木葬や散骨については約8割が賛同していることからわかるように、お墓に対する人びとの意識が大きく変わってきています。

また、価値観の多様な現代、夫と一緒のお墓に入るのはいや、という女性は珍しくありませんが、しかしお墓は買えないし、と行き場のないお骨は、まるで難民状態です。オギャーと生まれて待機児童、入学すると待機学童、特養の入所を待つ待機高齢者、その先は待機お骨。公営の墓地として都営霊園がありますが、現在のところ量的に足りず対応しきれていません。無縁仏を引き受けるお寺ではそのような骨壺が数十体も保管されていますが、それらの行き場がありません。

近頃は、テレビや新聞等で新しい葬儀や納骨のあり方などが数多く取り上げられています。1点目の質問として、区長はそれらに対してどのようなお考えをお持ちかうかがいます。

先日、NHK朝の情報番組で、全国1488人の既婚女性に、「あなたは夫のお墓に入りたいですか」という意識調査の結果が紹介されました。夫と一緒の墓に入りたくない、と答えたのは6割。では男性はどうか。「夫婦は一緒のお墓に入るべきか」との質問に、4割のひとが「そうは思わない」「どちらともいえない」と答えています。この数字から見えてくることは、「夫婦は同じ墓に入るもの」という慣習にとらわれず、自由な発想で最期の選択をしたいと考える層がすでに広がっていることです。これに対し、区長はどのようなご感想を持たれたでしょうか、2点目として伺います。

 社会現象としても、独身者が増えていますし、少子化で子どものいない夫婦や一人娘が他家に嫁いだ、などでお墓の継承者がいない世帯も増えています。自分が死んだ後のお墓をどうしようかという不安を抱える方がこれからは増えてくることが容易に想像できます 20113月に出された、東京都市町村自治調査会の調査「墓地と市町村のかかわりに関する調査研究報告書」では、公営墓地における樹林墓地、樹木葬の導入が書かれています。樹林墓地、樹木葬とは、これまで家単位に建てていたお墓を「誰もが入れるお墓」という発想で、墓石はつくらず、樹木の下に遺骨を納める墓地のことです。小平霊園にある樹林墓地は、遺骨は1体134,000円、パウダー状に細かく処理する粉状の遺骨は144,000円で納めることができるもので、予定数500体のところに16倍の申し込みがあったことがニュースで取り上げられ、ご存じの方もいらっしゃると思いま

 

そこで3点目として伺います。これまで区に、お墓の心配事や、あるいは区営の墓地はないか、お墓を紹介してほしい等の相談・問い合わせはありましたでしょうか。また、そのような問い合わせがあった場合に区はどのような対応をなさるのでしょうか伺います。

 20122月、「杉並区墓地等の構造設備及び管理の基準等に関する条例」が設置され、地方自治体も墓地をつくろうと思えば、つくれるようになりました。今後、超高齢社会における死後の始末として、価値観の多様化という観点からも、経済的な困難を抱える高齢者の増加という福祉的な観点からも、低価格で場所をとらないお墓のニーズはこれからもっと高まると思います。墓地を迷惑施設ととらえるのではなく、亡くなった身近な人が眠る場所であり心のよりどころとする発想の転換がほしいと思います。身近なところにお墓があることは、人の死を身近に感じられることにつながり、それは地域コミュニティの包容力を高めることにもなります。区営墓地を展望すべき時期が来ていると考えます。まず区民ニーズを把握し、区営墓地の設置を検討すべきではないでしょうか。区の見解を伺いまして質問をおわります