区議会予算特別委員会 まとめの意見≪その1≫

杉並区の財政状況、災害に強く安全・安心に暮らせるまち、「子どもの参加」を進める

 特別委員会を傍聴した若者たちと 3/13
 特別委員会を傍聴した若者たちと 3/13
3月21日、来年度予算について審議した特別委員会の最終日に、会派のまとめの意見を市橋綾子が発表しました。3回に分けてその内容を掲載します。

今回の予算特別委員会では、2012年度各予算案の他に18本の議案が同時に付託されました。以下、時間の制約により述べられなかったことを中心に意見を申し上げます。

歴史的な大災害が起きてから一年が経ちました。この間、国の政治はますます混乱し、「命を大事にする」方向へ向かっているとは言えません。地球規模の放射能汚染を引き起こし、未だ収束を見ない東京電力福島第一原発事故は、真相究明も途上であるにも関わらず、国は既存原発の再稼働を目論み、原発技術を海外に輸出しようとしています。いま、政治が向かうべきは人の命や暮らしを第一に考え、被災地の一刻も早い復興と、持続可能なエネルギー政策への転換を実現することだと考えます。

経済不況は世界を席捲し、日本は、「目の前に立ちはだかる災害からの復興」という巨大な壁を前に、先行き不透明のままです。当区の財政状況を見ますと基金残高が年々減少してきており、来年度予算案ではその傾向がさらに顕著になっています。財政の健全化と持続可能な財政経営の確保が謳われ、余剰金の積立、繰り上げ償還による公債費の軽減など、5つのルールが示されていますが、これらのルールが厳格に遵守されるよう 議会として監視を強めていきたいと思います。

今予算案が従来と大きく異なるのは防災関連費の増大といえます。昨年の大震災を経験した後であってみれば当然のことで、基本構想1番目の目標、「災害に強く安全・安心に暮らせるまち」は、3.11後のおおぜいの区民の思いが反映されたものと受け止めています。

日本の貧困層が拡大するなか、杉並区においても生活保護費がついに150億円を超え、子どもをとりまく貧困問題が確実に進行しています。小学生の5人に1人、中学生の3人に1人が就学援助を受けているという実態にあって、今回減税基金を廃止し(仮称)次世代育成基金を創設するとのこと、これを子どもの貧困に目を据えた施策として、また寄付文化を促すものとして育てていくべきと思います。

ところで、委員会では、深刻化する保育園の待機児問題について多くの質疑が交わされ、その原因として、「景気の低迷」が言われておりました。これを否定するものではありませんが、もうひとつの側面、女性の社会参加が浸透してきた事実をしっかり とらえるべきであることを申し上げておきます。女性が働くことなしに現代社会はもはや成り立たないのであり、景気の動向に関わりなく、「子どもを地域が育てる・社会が育てる」ためのシステムを構築する必要があります。

子どもに関連して申しますと、基本構想の策定過程や新しい学校づくりにおける「子どもの視点」「子どもの参加」について意見を述べました。子どもは「育成される」「保護される」だけの受動的な存在ではありません。まちづくりや災害対策においても、女性の参加と同様に「子どもの参加」を取り入れるよう要望します。