2009年第3回定例会一般質問と答弁

                                                            09 9.11小松久子

[幼保一元化の取り組みについて]

【Q】 ● 平成25年度までは保育需要の増加が見込まれているが、その後の傾向をどう予測しているのか。

         区内に開設されている認定こども園の取り組みに対する区の評価はいかがか。

         発達障がい児への支援に関するこれまでの成果をふまえ、他の保育施設においても発達障がい児への配慮がさらに強化されるべきと思うがいかがか。

【A】  平成25年度以降、就学前人口は減少に転じると推測しています。保育需要については、社会経済状況や国の少子化対策などにより大きく左右される可能性はありますが、基本的には、引き続き増加傾向が続くのではないかと考えます。

     次に、認定子ども園の評価ですが、それぞれ、私学の独自性を活かした、特色のある保育を行っていると認識しています。

     次に、発達障がい児の配慮ですが、これまでも幼稚園、保育園などの保育施設で、介助員などの配置を始め、子どもの発達状況に応じた適切な対応を行ってきたところです。今後も引き続き、そのように対応していきたいと思います。

 

【Q】 ● 当区における幼児を取り巻く状況やその問題点、また幼児を持つ家庭の幼児教育ニーズ、保育ニーズをどうとらえているのか。

【A】  区内の幼稚園が区立・私立とも長く定員割れの状況が続いている一方、昨年来の経済危機の影響により保育需要が急増しており、とりわけ3歳児からの保育の受け皿づくりが急務となっています。また、保育時間の延長を望む幼稚園児の保護者や、十分な幼児教育の実施を求める保護者が多くなるなど、幼児の育成環境に対する保護者のニーズは大きく変化していると考えます。

 

【Q】 ● 幼保一元化について、当区ではどのように議論がされてきたのか。今回の「子供園」新設方針が出された経緯について伺う。

         認定こども園制度がさほど進んでいない原因は何か。

         今回の「子供園」は、なぜ認定こども園の幼稚園型に近いものとしたのか。

【A】  この度の区立幼稚園の改革方針(案)の経緯ですが、昨年実施した杉並改革総点検結果に基づき、本年1月に検討会を設置し、今般の保育ニーズの急増等の環境の変化を踏まえ、改革方針案を策定したものです。

     次に、現在、認定こども園の制度は、開設に伴う申請手続きが煩雑であることや国の財政支援が限定的であることなどが問題と指摘されており、設置数が伸び悩んでいると考えます。

     また、今回の改革は、国の認定こども園制度の枠組みにとらわれず、区独自の育成プログラムにより幼児教育や保育を融合させ一体的に実施するなど、基礎自治体としての独自性を発揮した新たな幼保一体化施設を創設するものです。

 

【Q】 ● 定員充足率の高い区立幼稚園では、子供園への転換に伴い、幼稚園への入園を希望しているのに入れない家庭が生じるのではないか。

         小学校で30人程度学級を進めているのに、1クラス32名というのは多すぎる。施設の物理的限界で2クラスが無理なら、担任を増やすなどの対応が必要ではないか。

         入園希望が定員を超えた場合、だれが、どのような基準で選考するのか。

         公立の施設であるなら、障害児の入園について今後も継続していくのか。

【A】  今回の改革は、区の幼児施設を取り巻く環境の変化に適切に対応しようとするものです。区では、今回の改革方針案に対する区民等の意見を受け、定員枠の拡大や必要な経過措置を講じる必要があると考えますが、あわせて改革の趣旨をご理解いただけるように引き続き努めます。

     実施体制については、これまでの幼稚園教諭に加え、保育士も配置し、充実した運営が図られるよう工夫していきます。

     また、入園希望が定員を超えた場合、コアタイムの枠についてはこれまでの幼稚園と同様に抽選を考えていますが、長時間保育の枠については、保育を必要とする状況などを考慮して区で選考をします。

     なお、障害のあるお子さんは、これまでどおり受け入れる考えです。

 

【Q】 ● 地域の子育て支援事業を展開するとされるが、どのような事業を想定しているか。

         当面、給食サービスがないということだが、今後の給食実施の見通しはいかがか。

         子供園は新しい施策であり、区が責任をもって就学前教育に取り組むのであるから、区の直営とすべきだがいかがか。

【A】  子供園では、保護者対象の子育て相談のほか、保護者同士の交流事業、ボランティアの協力も得て行う行事など、積極的な子育て支援に取り組んでいきます。

     また、給食の実施については、施設改修などを伴うことから将来的な課題であると考えますが、子供園への転換後の運営状況などをみて検討していきます。

     なお、子供園は区が直接運営していきます。

 

【Q】 ● 就学前の教育を充実させる必要性が高まっているとのことだが、今の幼児教育の何が問題なのか。

         本区における「小1プロブレム」の実態をうかがう。

         また、幼稚園から小学校への接続について教員同士の交流のみならず、小学校側の段階的な学習の場の整備やカリキュラムの見直しなどが必要と考えるが、いかがか。

【A】  はじめに、幼児教育の課題ですが、一般的に幼児の基本的な生活習慣や自制心、コミュニケーション能力などの定着の遅れが指摘されています。

     次に、「小1プロブレム」に関しては、30人程度学級の導入もあり、今年度の小学校1年生については、学級組織や授業が成り立たないという報告はありません。

     最後に、幼稚園との円滑な接続にかかわる小学校側の取組みについては、入学前の園児に対する学校行事の交流や体験入学等の機会を設けるとともに、入学後は、集団生活への適応に重きを置きながら、児童が段階的に学校生活に適応できる工夫を行っています。

 

 [教科書採択について]

【Q】 ● 今回の採択にあたり、教育委員会に寄せられた区民からの要望書等について、内容と件数を示せ。また、歴史と公民における「つくる会」の教科書を採択しないでほしいという内容が突出して多かったのではないか。

    ● そうした区民要望等は重く受け止められるべきであるが、8月12日の教育委員会では、どのような議論があったのか。

【A】  採択当日までに寄せられた要望書等については、いわゆる「つくる会」教科書の採択に反対するものが73件、同教科書の採択を求めるものが32件、日本人として誇りの持てる教科書の採択を願うとするものが30件、その他教育委員に関するもの等が5件ありました。これらの要望書については、各委員にすべて写しを配布しています。

     各委員は、これらの内容を把握した上で、採択審議に臨んでいます。

 

【Q】 ● 4年前の採択の後、区民や教員に対して歴史教科書への意見を求めるべきであったが、今後の教育委員会の対応を伺う。

         教科書調査委員会や種目別調査部会の調査・研究や、展示会での区民アンケートの取り扱いなど、採択に至るまでのすべての過程において公明正大な手続きが行われたのか。

         歴史教科書採択の白紙撤回を求めるが、一旦採択された後、どのような場合に採択のやり直しをすることになるのか。 

【A】  採択の際には学校調査等により、調査・研究結果を求めており、今後も手続きに則り適切に対応していきます。

     次に、採択に至るまでの手続きは、規則、要綱、手続きに則り、適正かつ公正に行われています。

     また、採択のやり直しは、教科用図書発行者が文部科学大臣の指定を取り消された場合等に行うこととされています。

 

 [地域図書館の外部委託・民営化について]

【Q】 ● 当区の地域図書館の外部委託・民営化はどのように進められてきたか、また、これをどのように評価するか。

    ● 今後の地域図書館の運営について方針が発表されたが、この決定に至る経緯はどのようなものだったのか、伺う。

【A】  外部委託・民営化の進め方は、図書館運営の効率化、図書館サービスの向上を図ることを目的に、行財政改革実施プランのもとで、図書館協議会にも諮り、「民との協働で、個性ある図書館づくり」の基本方針の策定を行い、取組みを進めてきました。

     次に、評価ですが、サービス水準を低下させることなく、コストの大幅削減を実現し、創意工夫に基づいた事業ができていると判断します。

     決定の経緯については、地域図書館が直営、指定管理者、業務委託の3つの運営形態となっていることから、昨年度の杉並改革総点検結果に基づき、図書館経営評価の結果を踏まえ改めて検証し、定めたものです。

 

【Q】 ● 今回の方針の凍結と再検討を求める区民の運動が展開されているが、区は把握しているか。

         図書館協議会に対して、地域図書館の運営方針について諮られたものと思うが、どのような議論がされたのか。

         事業者は人件費を圧縮し、結果として人材確保や育成がおろかになる。一方、図書館事業を手放した行政は、今後、経験や知識を蓄積していくことができなくなる。国会でも昨年「公共図書館への指定管理者制度の導入はなじまない」と文部科学大臣が発言し、「指定管理者制度の導入による弊害」について配慮すべきという認識が示されている。これらについて区に見解を伺う。

         2年以内に全地域館に指定管理を進めることは稚拙であり、現在の運営状況を今しばらく見守ってからでも遅くないと考えるが、区の見解はいかがか。

【A】  区民の運動は承知しています。

    次に、図書館協議会における議論は、7月に開催した同協議会に方針について報告しました。決定のあり方、今後の対応などの議論がおこなわれたところです。

    次に、国会での付帯決議等ですが、指定管理者制度の導入に当たっては、慎重を期し、適切な管理体制を築くなど、制度の適切な推進を図るようにとの趣旨と受け止めています。文部科学大臣の発言についても、同様の趣旨と受け止めています。

    全地域図書館の指定管理化は、平成17年度から取り組みを進め、既に地域図書館の半数が業務委託及び指定管理者の運営となり、運営の効率化とサービスの向上が図られているという経営評価があるので、今回の方針に基づき、着実に進めていきます。

 

【Q】 ● 図書館ホームページに載っている「基本方針」は、いつ、どこで決定されたものか伺う。

         「基本方針」からは、高い志のメッセージや社会教育を担う公的施設であるという基本コンセプトが伝わってこない。理念を掲げることがあっても良いのではないか、伺う。

         今後、なんらかの理念的指針を策定されてはいかがか。 

【A】  この方針は、平成17年度に中央図書館として決定したものです。

    基本方針では、社会教育法や図書館法が掲げる理念を踏まえ、「民との協働で個性ある図書館づくり」と「生涯現役の地域社会を支える図書館づくり」の2つを基本的なコンセプトとして定めており、新たな理念的指針を策定する考えはありません。