私にはこのとき以来、食の安全や自給率の低さ、農業の後継者問題が「消費者問題」として語られなければならない、ということが強くインプットされ、食に関する問題を考える際にはいつもヒントになっています。
現在日本の食料自給率は40%ですが、1960年には79%だった、というからこの50年弱で日本の食事情はなんと変わってしまったことか。
70年にファミレス第1号「すかいらーく」開店、80年以降の外食全盛、89年バブル真っ盛りで自給率50%を切り、94年円高による「価格破壊」。この間に肉の消費量が増え、加工食品・外食業務の増加などにより食の自給率はどんどん落ちていきます。なぜか。
肉は育つまでに飼料を大量に必要とし、配合飼料は輸入に90%頼っている、そして加工・外食産業は食品を大量に「捨てている」から。それはつまり、供給量が消費量を大幅に超過しているということ。そう、「食品ロス」が減れば自給率は上がる!——だったら捨てなければいい。
ところがそういかないのは、「赤福」や「白い恋人」などの表示偽装で問題になった「賞味期限」が原因のひとつにあります。米国やEUの「生産日表示では輸入品が不利になり自由貿易を妨げる」という要求にこたえて導入された制度。
おかげで期限を過ぎると直ちに捨てなければならなくなった食品の膨大なこと。規格に数グラム足りないからと大量に廃棄される肉まん。「食の安全が叫ばれるほど捨てられる食品は増える」現実を、どうしたら私たちは変えられるのか。
榊田さんの結論としての提案は「生産者と消費者が、国内資源を生かして『ともに作り出す』食を!」。主体的に食を選ぶ「能動的な消費者」になろう、ポリシーが共有できる者同士の連携で農業を支えよう、ということです。
私は先日の決算議会で「地方都市の農業を区民が支援するしくみ」を提案しました(こちら)。実現すれば、区民の農業への関心を高めることにもなると思うのですが・・・。 区議会議員 小松久子