☆特別寄稿② 平等主義的政策と環境配慮の政治をめざして

バイデンが目指す人種、ジェンダー/セクシュアリティ、移民、そして貧困層への公正で平等主義的政策と環境に配慮した政策は、1990年台以降のアメリカで女性票を掘り起こし、クリントン、オバマ両民主党大統領の誕生と同党の女性議員の激増につながった。昨年の大統領選挙でもバイデンとカマラ・ハリス支持の女性票が55%であったのに対し男性票は46%である。9ポイント女性票の優位した支持票がバイデン・ハリス政権を生み出したと言える。2018年の中間選挙では民主党女性議員が大躍進し、下院で同党が与党に返り咲いた。同選挙では、上下両院選挙全体で民主党支持の票が女性票、58%、男性票、48%と10ポイントの女性票優位のジェンダー・ギャップがあった。

 「女性は選挙で違いをつくることができる」。90年台以降の選挙で実証されたこの主張は、バイデン政権下の連邦議会で「女性は政治に違いをつくることができる」状況へ、さらに進展した。共和党と民主党が50対50で対立する上院で最終決定権は、上院議長をつとめる副大統領のカマラ・ハリスが持つ。また下院で11名の僅差で優位する民主党は、下院議長のナンシー・ペロシが2度にわたりトランプ前大統領を弾劾裁判の危機にさらした圧倒的政治力で下院議事を統率している。さらに民主党内で最も影響力を持つ社民派グループを牽引しているのが、2018年中間選挙で草の根市民派グループの支援で初当選した連邦議会で最も若い女性議員のアレクサンドリア・オカシオ=コルテスである。
 民主党支持の女性たちが目指すアメリカは、「ジェンダーの主流化」であり、持続可能で多様性に富んだ、より平等主義的な社会だ。7月4日の東京都議会選挙を迎えて、日本の女性票はどこに向かうのか。太平洋の彼岸アメリカで女性票は、選挙と政治に確かな違いを作り出している。
      (東洋英和女学院大学名誉教授、杉並・生活者ネットワーク会員 進藤久美子)