15年前の息子の卒業式のことは忘れられません。あれは全然違ったものだったなあと思い出すのです。当時の保谷市立住吉小学校です。
体育館の側面に壁紙のように貼りめぐらされた、在校生の絵をつなぎ合わせたもの。デザインがほぼ同じで使われている色が限られているので(たしか紫と緑)全体は統一が取れていて、でも近くで見ると画用紙1枚1枚全部違う。
舞台上の正面には大壁画のような、鳥が羽ばたく絵。力作です。その絵をバックに階段状に設置された席が卒業生用で、だから主役が卒業生だというのが一目瞭然で、その一人ひとりの顔がだれからもよく見えます。
保護者や在校生、教員の席も同じフロアで大きく弧を描くように並べられ、みんなが卒業生を取り囲むような形で、校長先生から証書を受ける台は中央に置かれています。そのわきに三脚に立てられた校旗。たくさんの植木鉢の花。
在校生みんなの工夫と手作りで、周囲の祝福をいっぱい受け、卒業生のだれもが輝いて見えた卒業式。たくさん歌った最後は校歌で、作詞・谷川俊太郎、作曲・林光。日の丸も君が代もありませんでした。
そして今年。2008年の卒業生に「あなたたちは抑圧的・強制的な卒業式でかわいそうだ」と言うつもりはありません。たった一度の大切な思い出を傷つけてはいけないと思うから。でも、一度だけの思い出だからこそ、形式主義でない、アイデア自由の卒業式を経験させてあげたいなあ!と思ってしまうのです。
1993年の住吉小学校のような卒業式は、もうできないのでしょうか。いつか必ず取り戻したいものです。 区議会議員 小松久子
写真 早咲きの桜 3/8皇居東御苑で