残せるか 西荻の大ケヤキ 「トトロの樹」

樹齢200年!区の貴重木の保全を

新緑が眼に美しい季節になりました。
都市の緑がだんだん少なくなっていくのは残念なことですが、23区の西のはずれに位置する杉並区では、それでも新緑の季節には「みどり」の豊かさが感じられます。

杉並区には、「貴重木」を指定する制度があるのはご存知ですか?街を歩いていると「保護樹木」という札が書かている樹木を目にされると思いますが、その中でも何十年という歳月を経て育った巨樹などを、区民共有の財産として一本でも多く次世代に残すために「貴重木」と位置付けて保全しているのです。

当初は約50本の貴重木を指定しましたが、その中の半数は個人所有であるためにこの数年で数本は伐採の憂き目にあっているようです。つまり、この制度には「保存する」ことを保障する裏付け、財政的処置が図られていないのです。公有地や神社にあるものはそれなりに守られますが、個人所有の場合は相続などが発生すると売却され伐採されることになってしまいます。

JR西荻窪駅の北側、西荻北4丁目に樹齢200年にもなるかという大きなケヤキの木があります。貴重木に指定され、四季折々の姿を彩り地域のランドマーク・ツリーとして親しまれています。いつからか「トトロの樹」とも言われるようになり、最近ではガイドブックにも紹介されています。実はこの木が今、伐採の危機に瀕しています。今まで大事に守ってきてくださった所有者に相続が発生し、土地を売却することになりました。樹が切られ、マンションが建つのでは?という心配が拡がり、今地元では樹を残してくださいという署名活動などが行われています。

水資源の涵養やCO2の削減に役立ち、そして地域の景観を守るこのような貴重木を保全するためには、理念にとどめず実体ある制度、財政的裏付けが必要です。みどり豊かな杉並の街を維持していくために、区の施策の一層の充実を望むものです。            元区議会議員 樋口 蓉子