9月に引き続いての2回目ですが、今回は法務省企画・制作のDVD「裁判員制度−もしもあなたが選ばれたら」(監督 中村雅俊)を見てから、弁護士の四宮 啓(さとる)さんを囲んでの質疑応答、意見交換をしました。
DVDはドラマ仕立てで、候補者に選ばれてしまった人たちの心情が変わっていくところがよく描かれています。主演は西村雅彦、裁判長役が中村雅俊。
先日のNHKの特集番組でも視聴者に投げかけられていた「裁判員に選ばれたら参加したいですか?」という質問。「参加したくない」という答が6割を超えていたかと思いますが、「制度が始まる前にこんなことを聞くのはあまり意味がない」という四宮先生。「制度が始まってから、やってみてどうだったかを聞くのなら意味があるけれど」と。
ここで続くのが戦後60年の歴史を持ち、50万人が経験している「検察審査会」のこと。これは検察官の不起訴処分のよしあしを審査する機関で、選挙権を有する国民の中から3回のくじで選ばれた11人の審査員が構成しています。これまでは、司法に市民が参加する唯一のしくみです。任期は半年間で、2週間に1回程度呼び出され書面と格闘しています。もちろん専門家の手厚いサポートはありますが。20歳になると選挙管理委員会からパンフレットが届きますが、印象は薄いようです。
興味深いのが任命前と後での意識調査結果。任命前は「気乗りがしない」「迷惑」とマイナスイメージを持っていた人が66.9%。任期後は「やってみて良かった」と答えた人がなんと95.9%。何が意識をこんなにも変えたかという問いには「やりがいのある任務」「専門家のサポート」という答えが返ってきます。この点はもっと注目されても良いのではないでしょうか。
来年からは、裁判員になった人が制度自体について発言する場がつくられることもあってしかるべきです。ショッキングな事件の核心にむきあう裁判員の心のケアのしくみも求められると思います。また刑務所はどんなところなのか、再犯をふせぐ更正プログラムどうなっているのかを裁判員が知ることも必要です。死刑制度についての議論もこれから活発になると考えます。
市民の司法への参加、裁判員制度は来年5月から始まります。
杉並ネット会員 塚原彩子