杉並と同様に減税自治体構想を今すぐ実施しようとしているのが名古屋市です。河村市長が選挙公約で掲げたものです。11月の名古屋市議会には一部修正して市民税10%減税の条例案が提案されています。ただ、減税の恩恵を受けない非課税世帯への対応や、財源確保の見通しが不明確なため市議会は反発、市長と対立しており、成立は微妙な情勢となっています。市が示したモデルケースでは、給与所得者の夫婦と子ども2人の世帯の場合、年収300万円だと減税額は年1400円。年収500万円で同9500円、年収1千万円では同3万2900円となり、高額所得者ほど恩恵が大きくなります。
年1400円の減税ということは月116円です。年収500万円でも月に791円の減税です。杉並区においてはモデルが示されていませんが、さほど違いがあるわけではないでしょう。この額をもって区民はこの減税構想を選択したいと思うでしょうか?杉並区は減税自治体になれば魅力ある自治体として住民が増え住民税も増えるとしていますが、どの地域に住みたいかは住民生活により密着した施策があるかどうかなのです。高齢者施策、保育園施策、学校施策が充実し、住環境の良い緑多き自治体を選んで住まいを定めるのです。減税自治体だから杉並区へ、名古屋市へ引っ越そうと考える人はいないでしょう。
東京都は来年度の税収が約1兆円減ると言われています。これは即ち杉並区も減収ということです。このような中で「取りあえず1割は貯金します」というのは、今税を納めている人へは9割の施策しか提供しませんということにほかなりません。今必要な施策は今実施して欲しいものです。今なすべきことより将来への貯金が正しいといわれていることに、区民は納得していません。減税自治体構想の見直しにむけて、区の財政と税金の使い方について更なる議論を広げていきたいと思います。 杉並ネット代表 藤田愛子