都議選後、民主党政権が誕生し、マニフェストの目玉の一つでもある高校無償化は、早急に進めるべき政策として評価していました。
しかし、本年4月から実施が予定される「公立高等学校に関わる授業料の不徴収及び高等学校等就学支援金の支給に関する法律案(以下、高校無償化法)」について、朝鮮高級学校(以下、朝鮮学校)を対象から除外する動きが報道されています。
この制度の趣旨は「家庭の状況にかかわらず、全ての意志ある高校生等が安心して勉学に打ち込める社会をつくるため、公立高校の授業料を無償化すると共に高等学校等就学支援金を創設して、家庭の教育費負担を軽減する」となっています。経済的理由によらない教育の機会均等・負担の軽減という制度の趣旨からみても、日本国内で学び、生活する子どもと保護者の一部を恣意的に排除することは不適当と考えます。
また、制度の対象は「専修学校・各種学校(高等学校に類する課題として文部科学大臣が指定するもの)」と明記されているにもかかわらず、省令で除外を設けることが検討されています。こうした手法は法の透明性を歪めるものです。
東京の朝鮮学校を設置・運営する学校法人は東京都の認可を受け、他の外国人学校と同様に都の監督下で問題なく学校教育を行ってきました。すでに日本の高校と同等のカリキュラムも把握され、国公立・私立の大学のほとんどが受験資格を認めています。
また、保護者は納税義務を果たし、不十分な教育助成の下で経済負担を負っています。
一方、2月24日、国連(ジュネーブ)の人種差別撤廃委員会では、日本において人種差別撤廃条約がどの程度守られているかを審査する会合が、9年ぶりに開かれました。高校無償化法案をめぐり、拉致問題などを理由に、朝鮮学校を財政支援の対象から外そうとする動きが起きている問題が取り上げられ、日本政府代表に説明を求めています。また、日本が人種差別禁止法を制定しようとしないとも指摘されています。
以上のことから、朝鮮学校を高校無償化から除外することなく、日本国内の高等学校等に在籍するすべての子どもたちに対して、民族や国籍の違いによるこれ以上の差別を生じさせないよう、高校無償化の適用を強く求めます。
東京・生活者ネットワーク