東京都議会第四回定例会が12月3日〜18日に行われ次のような質問を行いました。
詳しいことは事務所までお問い合わせください。

◆ Q
当初予算は事前に方針が示され、十分な議論の上、予算が編成されますが、補正予算ではそうした手続きが踏まれていません。国の景気対策に安易に乗って、事業の効果や必要性の議論が不十分なまま、公共事業が予算化されることがあり、その財源は結局都債に頼ることになります。現に13年度では、決算では3133億円になったものの最終補正予算で4000億円を超える都債が計上されました。今年度も国は大型の補正を組むことが決まりましたが、都はこれに踊らされることなく、身の丈にあった、本当に都民に必要な事業のみを厳選して編成すべきと考えます。見解を伺います。
◆ A
補正予算の編成にあたっては、これまでも事業の緊急性、必要性や効果などを厳しく精査して行ってきたところであり、その財源となる都債についても、後年度負担に十分配慮して、適切に活用してきた。国は、先般、雇用対策の強化、中小企業対策の充実などによるセーフティネットの構築と、都市再生の推進をはじめとする公共投資促進などを柱に、補正予算を編成することを明らかにしている。
都としては、厳しい財政状況にあるが、今後こうした国の補正予算の内容を十分把握した上で、適切に対応していく考えである。(知事答弁)
 
◆ Q
補助金の廃止が地方分権委員会の答申から抜け落ち、国から地方への税源委譲を含む分権は遅々として進みません。しかし都から市区町村への大胆な分権と財源移譲が必要なことは言うまでもありません。地域経済の循環を取り戻し、安心して暮らせるまちにするためには、福祉、環境、教育、産業が融合したまちづくりを進めなくてはなりません。こうした小さな公共事業は、公だけでなく、民間、NPOなど地域の実態を把握した人々による協働事業によってこそ可能となります。市区町村に対する都の補助金は現在行われている縦割り・ひも付きのものでなく、地方分権の時代に相応しく、市区町村の自主性を生かす、局を超えた包括的なものにすることが重要であると考えますが、見解を伺います。
◆ A
本来、地方自治体が自らの判断と責任で主体的に施策を展開するには、それに見合う自主財源が必要である。このため、税源移譲については、これまでも多く強く国に働きかけた。市区町村の自主性・自立性を高めるため、当面、現行補助制度について、「第二次東京都地方分権推進計画」に示されている少額補助金の統合、補助金のメニュー化、包括化について検討していくことが必要であると考える。(総務局長答弁)
 
◆ Q
平成15年度の予算編成に先立ち、重要施策22事業が選定されました。とりわけ私たちが長年提起をしてきました食品安全条例制定の検討など食品安全の総合施策を選定したことは高く評価します。愛知県は遺伝子組み換えイネの開発の中止を決め、事業者も安全審査申請の中止を決めたと聞きます。食の不安が増す中で、市民の動きこそ注目すべきです。都は施策として、食品安全情報評価委員会の設置や食品衛生自主管理認証制度など、改革推進の取り組みが取上げられ大いに期待するところですが、最大のポイントは都民参加です。現在、国では基本法の検討とともに制度改正が検討されていますが、参加については不鮮明です。都では、条例の制定を検討していく場合、策定の目途と制定過程における都民参加をどのように図っていくのか、伺います。
◆ A
食の安全確保に向けた都の基本的考え方や取り組みの全体像を条例という形で明らかにすることは、大きな意義を持つ。制定に当たっては、課題はあるが早期に条例制定が行えるよう検討。広く都民等の意見を反映できるよう、策定手続きについても十分配慮。(健康局長答弁)
 
◆ Q
また、昨今の偽装表示問題に現れるように、都域を超えて首都圏に製造所や生産地がある場合、食品の安全にとって、自治体の広域連携は不可欠です。今後、食品の安全確保のためにどのように自治体の広域連携を進めていくのか、伺います。 
◆ A
食品の安全を確保するためには、自治体間の連携が不可欠。O157事件を契機に首都圏自治体に呼びかけて食品衛生連絡会を設置。今後は、生産、流通、消費の各段階を通じた食品の安全を確保するため、自治体間での連携強化に努める。(健康局長答弁)
 

アジア大都市ネットワークについて
◆ Q
アジア大都市ネットワーク21は、異なる政治的な立場を越えて、アジア諸都市が強固なネットワークを形成し、共同で事業に取り組むことによって、社会的・経済的な連帯と協力の体制を確立しようとする試みであり、期待されます。デリーとソウルが共に幹事都市である「女性の社会参画」では、9月にソウルでシンポジウムが行われましたが、東京からの参加人数は他都市よりも少なく、たったの2人でした。来年の開催都市はマニラに決まりましたが、東京からの参加の拡大は当然図られるべきです。ソウル宣言を踏まえ、これまで東京都が培ってきた人的ネットワークを使い、女性問題に活動してきたNGO・NPOなどの参画を求めるべきであると考えますが、所見を伺います。
◆ A
具体的開催内容は、幹事都市であるデリー準州とソウル特別市が開催都市と連携して準備を進めていくこととなる。都としても、会議の開催時期や形式、テーマなど、事業案が明らかになった段階で、必要な検討をしていく。(生活文化局長答弁)
 
◆ Q
このシンポジウムは、女性の社会参画を積極的に進めている韓国で最大・最新の国際会議場と宿泊施設、IT訓練センターやNGOセンターも備えた拠点施設であるソウル女性プラザで開催されました。そして、このプラザの運営にあたっているのはソウル女性財団です。翻って東京では、知事は7000万円の削減効果しかないウィメンズプラザの直営化、女性財団の廃止方針を強行しました。再建案を自ら提案した理事・評議員の意思も無視し、アジア大都市ネットワークの中でも活躍したであろう女性財団の廃止は暴挙と言わざるを得ません。今後のアジアの発展に、女性のエンパワーメントが欠かせないことは、衆目の一致するところであり、ソウル宣言にもあるように「女性の働く権利と、男女が家庭で平等に責任を分担する権利」の認識なくして、少子高齢化・環境悪化の社会を持続可能なものに変えていくことはできません。解散が決まった女性財団の残余財産のうち、100万円は矯風会に、約3億円は東京都に寄付されることになったと聴いています。東京都に寄付される約3億円は、男女平等推進基金に積み増しすべきです。そして、特に今後のアジア大都市ネットワーク・女性の社会参画への参加を強化すべきと考えますが、所見を伺います。
◆ A
女性の社会参画の推進は、社会の発展に不可欠なものとしてアジア地域共通の課題である。協働事業に参加し、アジアの大都市と情報を共有し合うことは、都の男女平等参画施策を進める上でも、重要な意義を持つものと考える。今後とも各都市と連携・協力しながら、共通の課題の解決に向け、取り組んでいきたい。東京女性財団の残余財産が都に寄付されるのは、平成15年3月の予定。その取扱については、今後検討していきたい。(生活文化局長答弁)
 
◆ Q
来年度から、支援費制度が開始されます。障がいを持つ人も自己選択・自己決定による契約でサービスを受けられるようになりますが、今までのサービス量が確保できるのか、NPOを含む多様な事業者の参入による競い合いが、本当にサービスの質の向上に繋がるのか等、不安が持たれています。支援費制度への移行を進めるためには、サービスの基盤整備が急務です。
2003年度重点事業にある「障がい者地域生活支援緊急3ヵ年プラン」では、生活寮等558箇所,1030人増と示されていますが、地域生活に移行するには地域において様々なサービスが用意されていなければなりません。施設から在宅中心に移行するのであれば、社会福祉法人の経営改革によるサービス推進費の再構築をし、在宅サービスの充実を図るべきと考えます。障がいを持つ人が住み慣れた地域で暮らしていけるための支援を充実し、安心して地域生活を選択できるようにすべきですが、見解を伺います
◆ A
都は、障害者が可能な限り地域の中で必要なサービスを利用しながら自立した生活を送ることができるよう、国に先駆けて福祉改革の取り組みを進めていきた。支援費制度に移行する平成15年度を初年度として「障害者地域生活支援緊急3カ年プラン」を重点事業として新たに策定し、特別に助成を行うこととした。これにより、生活寮など地域における居住の場や日中活動の場である通所施設の大幅な増設を図っていく。今後とも、障害者の地域生活を支えるサービス基盤の拡充に全力で取り組んでいく。(福祉局長答弁)
 
◆ Q
支援費制度では、介護保険制度と違い、ケアマネージメントが位置づけられていません。申請手続き、サービス契約やサービスプラン作成等、権利擁護の視点からも障がい者の生き方、暮らし方を支援するしくみが不可欠です。ケアマネージメントの手法を活用した、切なサービスプラン作成が可能となる体制を区市町村が整備できるようにと「支援費制度利用援助モデル事業」を進めていくことについては、期待するところです。今後、都独自のケアマネージメント体制を確立していくことが望まれますが、まずは、このモデル事業を積極的に拡充していく必要があると考えますが、いかがでしょうか。
◆ A
自らサービスを選択し利用することが困難な知的障害者などが安心して支援費制度を利用できるよう、サービスプランの作成などを行う区市町村を支援するモデル事業を来年度、独自に創設する方針。このモデル事業を実施し、検証、評価を行うなかで、今後のあり方を検討していく。(福祉局長答弁)
 
◆ Q
最後に、包括補助金制度の拡大について伺います。「高齢者いきいき事業」と「福祉改革推進事業」の包括補助金の制度がありますが、この効果は具体的にどのように現れたのでしょうか。また、区市町村の評価はどうだったのしょうか。来年度は支援費制度が始まるだけでなく、「高齢者福祉計画」も改定されます。この際、市区町村がこれらの状況に応じて様々な事業を展開できるよう、包括的補助事業を大幅に拡充して利用しやすくすべきと考えますが、見解を伺います。
◆ A
高齢者いきいき事業と福祉改革推進事業は、区市町村が地域の実情に応じた特色ある事業に主体的に取り組むことを支援する包括的な補助制度であり、福祉改革を推進する上で、極めて有効かつ重要。この制度を活用して、区市町村においては、コミュニティバスの導入、障害者の就労支援のしくみづくり、子育て支援施設の整備など、地域に根ざした多彩な事業展開が積極的に図られている。今後とも、こうした区市町村の努力や創意工夫を一層支援するために、補助内容の充実に努めていく。(福祉局長答弁)

 

以 上