外環トンネル工事の再開中止を求める――都知事に要請

東京・生活者ネットワークの外環生活者ネット連絡会は、外環道事業について沿線自治体の市民同士で情報共有・調査し、自然環境や生活環境の面から検証する活動に取り組んでいます。

2020年10月に調布市で起きた陥没事故によって稼働を中止したトンネル工事が再開への動きを見せるなか、東京都の小池都知事に対し、岩永やす代都議会議員より工事再開の中止を求める申し入れを行い、連絡会メンバーとともに同行しました。(事務局長 小松久子)

 

東京都知事 小池百合子 様

都議会生活者ネットワーク

岩永 やす代

 

外環道トンネル工事の再開中止を求める申し入れ

東京外郭環状道路(以下外環道)のトンネル工事で起きた調布市での陥没事故は、事故現場や周辺住民はもちろん、外環道の計画沿線住民にも大きな衝撃を与えました。その後、ルート上に巨大な空洞が発見されたほか、シールドマシン停止後の現在もトンネル直上以外の場所も含め、広い範囲で建物の亀裂やずれの発見、振動・振動音などによる健康被害を訴える住民は増えており、住民の不安はより深刻になっています。

NEXCO東日本は、陥没事故については工事の影響を認め、トンネル掘削工事をすべて中止し、現地での説明会を行いました。しかしその後、「東京外環トンネル施工等検討委員会 有識者委員会」では、地盤のゆるみはトンネル直上だけである等の説明を繰り返しており、補償対象地域は非常に限定的です。有識者委員会の説明には合理的根拠が認められず信ぴょう性が低い、と複数の専門家が指摘しています。このような状況下、「2月に工事再開」と報道され、1月23日の練馬区を皮切りに、三鷹市、杉並区、武蔵野市で住民説明会を実施しましたが、住民にはいまだに工事の開始時期も明確にされていません。

調布市の陥没や空洞、地盤のゆるみ、家屋被害と工事との因果関係や低周波音による人体への影響などについて徹底検証を行い、検証結果に基づいた被害住民への真っ当な補償を行うことが最優先されるべきです。さらに、貴重な財産である地下水脈や水辺への影響についても調査・検証し、沿線及び周辺住民の合意を得ない限り、工事再開は到底容認できるものではありません。

 

都議会生活者ネットワークは、東京都がNEXCO東日本、中日本及び国土交通省に対して、以下のことを要請するよう求めます。

 

1.調布市の陥没・空洞の原因や地盤への影響、振動等の影響について客観的かつ科学的な事実に基づく調査と説明を行える第三者機関を常設すること。

2.トンネル直上以外での被害についても調査すること。

3.陥没事故周辺の被害者が安心して暮らせる補償を充分に行うこと。

4.上記1の設置により、工事による地盤及び人体への影響について事前検証を行い、対策を含め、住民が納得できる説明責任を果たさない限り、住宅のない土地の地下を含めて一切の工事を再開しないこと。

5.右から やない克子(練馬区議)、木下安子(調布市議)、小松久子、岩永やす代(都議)国土交通省は「大深度地下の公共的使用に関する特別措置法」について廃止を含めた見直しを検討すること。