誰のために政治をしているのか

衆議院議員選挙に向けた岸田首相の下での政権選択の選挙公約は新自由主義からの転換。「新しい資本主義」を掲げたが、その公約も具体提案はこれからで、とりあえず全方位にバラマキが始まった。

一方、野党は「分配」「格差是正」を強調したが、財源は?と問われると国債とするだけでその手順、具体策が見えない。手始めの分配は10万円、シングルマザーへの給付、エッセンシャルワーカーへの所得向上等々で、確かに急がれる。本当に必要な分配であるが、自分には給付があるのかどうか、当事者・有権者には届かず空手形である。

生活者ネットワークは、当然、市民と野党の連携で政策転換・政権交代をめざしたが、野党の新鮮味、具体性のない政策では選択せよと問われても難しく、現状維持を望んだ選挙であったと思う。

杉並区の大方をカバーする東京8区は石原伸晃氏が10期連続で当選してきた地域である。4年前の総選挙以降、野党がバラバラになっていては自民党に勝つことはできないと、市民が「8区の会」をつくり統一候補を推し出せないかを探ってきた経緯があった。れいわが野党共闘に参加を表明したのだが、そのれいわの代表山本太郎氏が8区で統一候補として出馬すると表明。一挙にマスコミの注目選挙区となった。選挙戦が始まると、石原候補は「立憲と、共産の政権では明日から世の中が変わってしまいます」の一点張り、その後劣勢が報じられると、とにかく「お願いします」「野党共闘はおかしい」と声をからすばかりで政策を訴えることはなかった。結果は小選挙区敗退、比例でも復活当選を逃すこととなった。都内で最も投票率が高かったのは杉並の61.03%であった(平均57.21%)。

野党共闘は政権選択として一つの方法ではある。しかし、まずそれぞれの政党が魅力あるもの、有権者に届く言葉で国家ビジョンを示し、未来を描き語ることがなければ政権交代は難しいだろう。例えば、衆議院議員選挙では小選挙区制での比例復活をやめ、比例には全て女性を登場させる等、大きな変化をもたらす政治改革を断行しない限り、これまでの選挙状況に変化は起きず政権交代は望めないと思うが、どうだろうか。

杉並・生活者ネットワーク代表 藤田愛子