地域で安心して暮らしていくために

井草地区で開かれた杉並ACTの「小さなお茶会」。少人数で困りごとや介護の悩みを話し合う

1992年、生活クラブ生協の福祉構想のもと、アビリティクラブたすけあい(通称ACT)が誕生しました。
住み慣れた地域で、誰もが自分らしく、尊厳を持って暮らし続けられるよう、地域で起こっている問題を市民が自ら解決することを目指してのスタートでした。
そして都内に、家事援助や介護などのケアを提供する団体として、「たすけあいワーカーズ」を生み出し、誰でも立ち寄り相談もできる居場所の「まちの縁がわ」をつくり、それぞれがネットワークしながら活動しています。(*杉並には「たすけあいワーカーズさざんか」まちの縁がわとして「なかまの家」と「すてっぷ&すきっぷ」があります)

高齢者に限らず、あらゆる世代の人たちが、孤立せずに地域の中で安心して暮らしていくためには、それぞれが何らかのつながりを持っていることがとても大切です。
介護保険制度や子育て支援、障がい福祉サービスなど公的な制度もありますが、日々の暮らしの中で起こるちょっとした困り事や悩み事は、地域の中の「お互いさまのたすけあい」で解決できることがたくさんあります。

いま、COVID -19の影響を受け、すべての人が辛い状況を強いられています。
感染を危惧し家から出なくなったことですっかり足が弱り、身体機能の低下が一気に進んでしまった高齢者、仕事がリモートになった夫と小さな子どもとの毎日に心に負担を感じているお母さん。子どもたちもどうしたら良いのか大人に尋ねても、不確かな答えしか返ってこないため不安に包まれています。
自分だけでは、また家族だけではどうにもならない事が起こった時、誰かと少し話しをすると気持ちが楽になったり、解決の糸口が見つかったりすることもあります。
人と人がつながるのは、それほど難しい事でなく、気にかけ合う、声をかけ合う、そんなことからで十分なのです。小さなたすけあいが大きな安心にひろがっていきます。

昨年1月に「杉並ACT」ができました。
東京全体で広く活動してきたACTですが、もっと小さな地域ごとに人のつながりをつくっていこうというものです。今は大勢が集まることはできませんが、あちこちで小さなお茶会を開催しながら、おしゃべりをして顔見知りを増やす機会を作っています。
知り合ったご縁を大事に互いを思う中で、地域のたすけあいが育まれてゆくのではないでしょうか。
(アビリティクラブたすけあい理事長 / 杉並・生活者ネット会員 豊泉 惣子)