第2回定例会一般質問と答弁 2019.6.3奥田雅子

1.居住支援の取組について

Q.アパートあっせん、家賃債務保証、見守り、葬儀、残存家財撤去などのサービスについて、居住支援協議会が設立される前後で、相談件数や成約件数の変化はあったか。

A.居住支援協議会について、協議会が設立される前後での相談件数や成約件数の変化は、見守り、葬儀などのサービスについては変化がなかったが、アパートあっせんや家賃債務保証については相談件数、成約件数、助成件数ともに増えている。

Q.アパートあっせん事業に積極的に協力する不動産業者であることを示すステッカー掲示している不動産店をあまり見ることがないが、実態を確認して、掲示を促進してはいかがか。また、不動産店に住宅確保要配慮者などが相談に来店した際に、不動産情報提供だけでなく必要に応じて関係機関へのつなぎなども行えるよう環境を整える必要があると考えるが、区の見解は。

A.高齢者等の入居支援を積極的に協力する不動産業者であることを示すステッカーの掲示について、掲示されていない店舗があることは把握している。今後、掲示してもらえるよう不動産関係団体に働きかけていく。

Q.住宅確保要配慮者は様々な生活課題をいくつも抱えているケースも多く、住まいのあっせんにとどまらず、包括的支援が必要である。杉並区の居住支援協議会においても包括的な支援を行っている居住支援団体などの活用をもっと積極的に行っていくべきと思うが、区の見解は。

A.入居相談者に対する必要に応じた情報提供については、居住支援協議会で行っている支援内容をまとめたパンフレットを不動産関係団体の会合などで配布し、窓口で活用してもらうよう取り組んでいる。今後は機会をとらえ、さらに周知を図っていく。

また、住宅確保要配慮者への包括的支援は区でも必要だと考えている。居住支援協議会では不動産関係団体や区の福祉部門と連携しながら、住宅確保要配慮者への住まいのあっせんを進めている。今後も引き続き、必要な支援について、居住支援協議会の中で議論を深め、官民連携して効果的な居住支援策に取り組んでいく。

Q.居住支援協議会のホームページの管理・更新は誰が責任をもって行うことになっているのか確認する。また、モデル事業やセミナーの案内のアップやモデル事業の応募書類のフォームのダウンロードは居住支援協議会ホームページ各種申請からもできるようにすべきである。居住支援協議会情報は定着するまでは区のホームページと並行しつつも、居住支援協議会のホームページに移していくことを早急にすべきではないか、区の考えを確認する。

A.居住支援協議会が事業者に委託してホームページの管理・更新を行っている。指摘のモデル事業などの案内や各種申請書について、ダウンロードできるよう改善していく。今後、居住支援協議会のホームページは改善を重ねていくが、しばらくは区のホームページと並行して運営していく考えである。なお、区のホームページ上にわかりやすいバナーを設けるなど工夫をしていく。

Q.2年間実施したモデル事業をどう総括し、課題は何か。また、今年度もモデル事業を実施するにあたり、見直したところはあるのか確認する。

空き家利活用は短期間でできるものではないので、セミナーの開催はもっと早い段階で行うべきと考えるが、区の見解は。また、空き家の所有者と利活用したい事業者をマッチングし、必要に応じてその後の計画づくりを中間支援していく仕組みの充実が求められているが、区の見解は。

A.空家等利活用モデル事業の課題と見直しについて、居住支援協議会において、モデル事業についての議論を通し、問題点と課題を整理してきた。その中で課題となったモデル事業の募集の周知期間や方法については、今年度の実施に向け見直しを図った。具体的にはモデル事業の募集時に行う空家等利活用セミナーの開催時期を早め、募集期間を昨年度の1か月間から3か月間に延長するとともに、応募までの間、応募予定者が計画づくりを進めるに際し、事前相談の対応など中間支援も考えている。

Q.モデル事業の募集時の空家等利活用セミナーの対象や目的を明確にして実施する必要があると考えるが、今年度のセミナーの内容はどのようなものが検討されているのか確認する。

A.空家等利活用セミナーについては、目的をより明確化するとともに、対象も主に空き家所有者として周知・開催する。セミナーの内容としても実例の紹介や相談会、加えて空き家所有者と事業者とのマッチングを考えている。

Q.空き家の所有者と利活用したい事業者をマッチングするシステムを構築中と以前に答弁をいただいたが、そのマッチングシステムはできたのか。具体的にどのようなものなのか。

A.空き家の所有者と利活用したい事業者のマッチングシステムについて、マッチングに適した物件が少ないなどの課題があり、今年度のモデル事業を実施していく中で、具体的な内容などについて、居住支援協議会で検討していきたいと考えている。

Q.2018年6月公布の建築基準法改正で、空き家活用が法的にも進めやすくなった。空き家の福祉的活用をしやすくするための課題整理について居住支援協議会で検討してほしいと考えるがいかがか、区の見解を聞く。

A.空き家の福祉的活用については、モデル事業の進捗に応じ、居住支援協議会の空家等利活用専門部会や障害者専門部会において、課題等の整理を含め議論を進めていく。

 

2.空家対策について

Q.計画の一つの柱である空き家にしないための空家等対策についての周知・啓発活動は具体的にどのような取り組みがされているのか。

A.空き家対策の周知・啓発については広報やホームページの活用、チラシやパンフレットの配布、高齢者医療保険のお知らせの封筒への掲載等、区民の目につくよう工夫をしていく。

Q.空き家の譲渡所得の特別控除は空き家をいつまでも放置し続けないための対策として有効であると考えるが、所得税特別控除を受けるための確認申請を区に申請した件数を聞くとともに、この制度に対する区の所見をお聞きする。

A.空き家の譲渡所得の特別控除を受けるための確認の申請件数は、平成28年4月から102件あり、そのほとんどが空き家を除却し売買されたもので、空き家の発生抑制の一環を担っているものと考えている。

Q.空き家の相談窓口の一元化は当初、建築課が窓口となっていたが、2018年4月より住宅課に変わった。その理由について説明を求める。また、担当内容をどのように建築課と住宅課で整理したのか。

A.空家等対策の窓口が変わった理由は、空き家の総合窓口と情報を共有管理する部門、そして、実際に管理不全な空き家を指導する部門との役割分担を明確にするため、組織改正を行った。住宅課が総合窓口になり、建築課は管理不全な空き家を指導する役割を担っている。

Q.月に1回第3木曜日の午前中に行われている弁護士や司法書士、建築士、税理士、宅建士の専門家による「空家等総合相談窓口」が開設されているが、その稼働状況について伺う。

A.「空家等総合相談窓口」の稼働状況は、相談枠の6割の相談があった。

Q.老朽危険空家除却費用助成制度の活用実績について聞く。

A.老朽危険空家除却費用助成の実績は平成28年10月から延べ14件となっている。

Q.老朽マンションの空き室問題、住民の高齢化によりマンション管理が厳しくなっている状況に対する支援も今後ますます必要と考える。2020年4月より、東京都の条例によりマンションは管理状況の届け出が必要となるが、マンションの管理などの相談は区にどのくらい来ているのか。また、そのような相談があった場合、区はどのような対応をするのか伺う。

A.マンション管理に関する相談件数は昨年度40件あった。相談があった場合には区とマンション管理士会が協力して行っているマンション管理無料相談会やマンション管理セミナーを紹介し、マンション管理に関する相談に応じている。

Q.管理不全な空家等への対策として、特定空家に指定された件数、実際に除却した件数、その内、行政代執行した空き家はあるのか。また、指定されていないが、特定空家の候補の空き家は現在どのくらいあるのか把握できているのか。

A.空き家の実態調査は平成25年に1回目の調査を行っている。この調査をふまえ、管理不全な空き家を把握し、そのうえで5件を特定空家と判断した。そのうち4件が区の指導の結果、所有者により除却された。代執行を行った空き家はない。特定空き家の候補は現在、1件を把握している。

Q.実態調査の対象エリア、対象数、方法などの調査概要、結果報告のスケジュールはどのようになっているのか。

A.平成30年度に行った空き家実態調査について、杉並区全域を対象エリアとした。具体的には前回の空き家実態調査、平成29年度に実施した土地利用現況調査の空き家予備調査、区に空き家として相談があった住宅の3つの結果から、空き家と推定される住宅の所有者に対して、アンケート調査を行い、空き家の状況や所有者の当該空き家の利活用の意向などを調査したもの。現在、内容の精査を行っているところで、結果は秋ごろ報告する予定である。

Q.調査結果をどのように活用していくのか、今後の予定について確認する。

A.今回の実態調査結果の活用については、その結果をふまえ、特定空家の候補の把握を行い、特定空家になるか改めて判断していく予定。さらに、令和4年度を目途に空き家等対策計画を改定し、区民が安全・安心で暮らせる街を目指し、空家等対策に取り組んでいく。

 

3.保育の質向上の取組について

Q.来年度に7地域で1園ずつ中核園が指定されることとなっているが、各地域の中核園はどこになるのか。また、その取組の概要について伺う。

A.来年4月に各地域1か所を指定する中核園については、四宮保育園、西荻北保育園、荻窪東保育園、阿佐谷東保育園、高円寺東保育園、久我山保育園および和泉保育園としている。これらの中核園では、これまで本庁の保育課が主催してきた地域懇談会や保育サポートラインの所管を引き継ぎ、各地域の実情に応じてきめ細やかに実施していくなど、地域における保育施設間の連携・情報共有等の要としての役割を果たしていく考えである。

Q.区内全保育施設に中核園の取組を周知するための説明会を開催したと聞いているが、説明内容の概要と参加施設数、参加率、参加者の反応など伺う。

A.区では中核園の概要について、本年5月までに区内すべての保育施設に対し、5回にわたり説明会を開催し、247施設中、73%となる181施設に参加いただいた。出席された方からは総じて中核園の取り組みに肯定的な意見が寄せられており、これらの期待に応えるべく、引き続き検討・準備を着実にすすめて行く。

Q.先般の10連休中の保育ニーズに対して、区はどのように対応したのか。また、連休に限らず土曜日の保育体制について、課題を抱えている保育所が多いと聞いているが、中核園の議論の中で、合同保育のような形態を検討できないか伺う。

A.10連休中の特例保育については、私立・区立の認可保育所を通して保護者の意向等を伺い、医療関係や障害者福祉施設などのシフト勤務がある保護者の一部にニーズがあることを確認した。それをふまえ、本庁が開設する5月1日に地域バランスを考慮した区立保育園3園で各20名、合計60名の定員枠による特例保育を実施し、その結果、合計23名が利用した。

また、平日に比べて利用する児童が少ない土曜日には、各保育施設で職員の勤務体制を組みにくい面があると承知している。この点については、今般の中核園における取組との兼ね合い等を含め、どのように対応していくべきものか、各保育施設の意見等を聞きながら、別途考えていきたい。

Q.区全体の保育の質の底上げを図るためには、保育形態等の違いを超えて、子どもの最善の利益を保障するための保育のあり方を議論・情報共有する場としての地域懇談会や合同研修などが重要と考える。中核園の取組はそれに寄与するものと期待しているが区の意気込みを伺う。

A.私が区長に就任して以降、認可保育所を核とする施設整備を精力的にすすめてきた結果、平成22年度に58所であった認可保育所は、本年4月時点で約2.5倍増となる147所となった。この認可保育所を含め、現在区内には247所の保育施設が存在し、保護者が働きながら安心して保育をする環境づくりに大きく寄与している。しかしながら、こうした量の確保に加え、ご指摘の保育の質をいかに維持・向上していくかが重要な課題であることから、昨年改定した総合計画・実行計画において、「保育の質の確保」を新たな重点事業として掲げたところである。区では、この計画に基づき、「保育の質の確保」を図るための取組の一つとして、区立保育園における中核園の指定を位置づけている。具体的には来年4月以降、これまで本庁の保育課が実施してきた地域懇談会や保育サポートラインは各中核園が所管するとともに、各中核園が主催する研修では、保育課が教育部門と連携して行っている合同研修のテーマに沿って、より実践的な内容で実施するなど、既存の取組を充実・発展していく考えである。これらの中核園の取組等を通して、地域における保育施設間の連携・情報共有等の促進を着実に図り、各保育施設が今後とも子どもの最善に利益を保障する視点に立った保育を実践するよう支援していく。

Q.杉並区内の全保育所を対象とした保育の質ガイドラインが策定中と聞いているが、どのようなメンバーで策定議論がされているのか。現場の保育士の意見などを反映したものとなっているのか。

A.本ガイドラインの策定にあたり、設置した編集委員会は、私立・区立の保育園長7名、保育課の保育士等7名の計14名で構成し、各メンバーの知識・経験をもとにした議論を積み重ねつつ、策定作業を進めている。今後、本年6月中には素案に対する各保育施設及び学識経験者の意見を伺い、より現場の実情等を反映した内容としていく考えである。

Q.ガイドラインは保育士全員に配布をしていただきたい。また、保育の実践に確実に役立つような活用方法についても議論しておくことが必要だと考えるが、区の考えを伺う。

A.ガイドライン策定後については、各保育施設へ配布するとともに、区ホームページにも掲載し、すべての保育士との共有を図っていく。私立・区立保育士に対する合同研修や巡回訪問・指導の際に活用するほか、各保育施設の意見を聴きながら、保育の実践に生かしていくための働きかけ等を行っていく。

 

再質問

Q.今年度のモデル事業の課題については、セミナーの開催時期を前倒ししたり回数を増や

したりと、それなりに改善がなされたことはわかりましたが、セミナー以降の募集で、年度内に事業を完成させるのはかなりタイトなスケジュールになるのではないかと考える。

もっと年度初めにセミナーや募集をかけることができないものかと考えるが、出来ない理由があるのか。

A.セミナー等のモデル事業が他年度にできないかということについては、今現在、制度的課題は聞いていないため、再度、そこについては精査していきたい。

Q.空家の利活用のことですが、なかなか進まないのには色々な課題があるからだと思います。空き家を活用して何か事業を開設するにあたって、解決すべき課題があるのであれば、あらかじめ区としても想定しておくことは必要だと考えますが、区が課題だと認識している具体的な内容をお示しいただきたいと思います。

A.空家のさまざまな課題については空家の量や質、建築基準法や消防法などの法、空家所有者等の利活用への理解等が課題だと認識している。