平和文化アカデミーに集う人びとと出会う ~立憲ネットの韓国スタディーツアー②

韓国の市民運動を牽引してきた人たちと懇談。平和文化アカデミーにて8/29

ツアーのメンバーは、立憲ネットから参加した、群馬県議の角倉邦良さん、静岡市議の松谷清さんと生活者ネットワーク都議の山内れい子さん、それに私の4人です。

2日目のテーマは、今回の旅程をすべて企画しコーディネートしてくださった韓信大学教授の李起豪(イ・キホ)さんの立案で「政治社会(朝鮮半島と東北アジア)」。このテーマにそって午前中はソウル市議会議員たち、午後は市民運動家のみなさんと私たち一行との意見交換でした。

お会いした市議たちは、一人を除いて全員が「共に民主党」の所属議員です。韓国では今年6月に統一地方選挙が行われたばかりですが、なんとソウル市議会では全議席110のうち「共に民主党」が102を占めました。実に92.7%。「共に民主党」は文(ムン)ジェイン大統領と朴(パク)ウォンスン市長の政党でもありますが、ソウル以外の地域でも与党は圧倒的勝利をおさめています。

ソウル市議会の「共に民主党」議員たちは、朴市長のもとで自治と分権を進めるため課題を洗い出し、「7つの解決策」にまとめて提案したそうです。懇談会のあと職員食堂で私たちと一緒に昼食を食べている間も、選挙制度や地域の課題など話はつきず、発足したての議会で分権改革に挑む熱意が伝わってきました。

午後の部は「平和運動の元老と専門家とのフォーラム」ということで、訪れたのは市内の閑静な高級住宅地に建つ、「対話文化アカデミー」という趣のある施設です。小ぶりの美術館か図書館のようなたたずまい。聞けば、ここで国の歴史に残る重要な会議や対談が行われたといいます。

1960年代に民主化・平和の実現を指向して人びとが集う場「クリスチャンアカデミー」として発足し、南北朝鮮統一に向けた国のあり方を模索しつつ70年代には「教育アカデミー」と名前を変え、社会のさまざまな問題に取り組む人材を育てる機関として実績を重ねていったそうです。

そして80年代末、過去を見直し南北分断を乗り越えるための対話と文化を紡ぐ機関「対話文化アカデミー」として現在に至ります。

この日集まってくれたのは、韓国の労働運動や女性運動のリーダー、市民運動のパイオニア、教育問題の専門家や大学の政治学教授、つい最近「1987、ある闘いの真実」という映画になった「1987年事件」の立役者も。すばらしくぜいたくな出会いでした。

彼らの中には生協運動を研究し生活者ネットワークのことをよく知る人もいて「生活者ネットの勢力が弱くなったのはなぜか」というドキッとするような質問も飛び出しました。また「日本は地方自治が進んでいるのに右傾化が進むのはなぜか」「民主化が国をよくしていないことをどう考えるか」などという刺激的な発言から議論が進み、東アジアの平和に向けて韓国と日本、それぞれの位置からのアプローチを考察するという、密度の濃い時間を持つことができました。(杉並・生活者ネットワーク事務局長 小松久子)