「視覚障がいのある方に聴く」9月のお話サロン
9月6日の「杉並ネットお話サロン」は、視覚障がいのあるヒロエさんをゲストに迎えました。今年5月に2人目の赤ちゃんを出産した彼女がどのように育児や家事をこなしているのか、ふだんの生活で困っていることや、私たちにできることがないか、聞きたいと考えたからです。
エレベーターのないビルの2階にある杉並ネット事務所に、ヒロエさんはお連れ合いのユウタさんと次女のユカナちゃんと一緒に、白杖を使いながら階段を上ってみえました。
生まれたときから弱視だったヒロエさんは、小学生のころ視力が低下していき高校時代に全盲になりましたが、大学入学を機に福井の親元を離れて東京で暮らすようになりました。ユウタさんは大学の点訳サークルの仲間だそうです。
思春期のころには白杖を持つことを「恥ずかしい」「人に見られる」と嫌だったと言いますが、「見えないことをわかってもらう」ために今は積極的に白杖を持つようにしているそうです。つい先日、視覚障がい者が電車のホームから線路に転落死する事故が都内で起きたばかりです。慣れた道では白杖を持たない視覚障がい者はけっこういると聞きますが、その人も白杖を持っていなかったといいます。もし持っていれば、だれかが気をつけたかもしれないのに、と考えるとヒロエさんの心がけはとても大事なことです。
参加者のひとりが「見えない人に手助けをしたいのに失礼にならないか心配で何も言えなくて」と発言したのに対し、「私はお願いしたいです」と即座に答えたヒロエさん。「お手伝いできることありますか」と声をかけてもらえるとうれしい、と言われて質問者は深く納得していました。
私たちの不躾な質問にも笑顔で答えてくれるヒロエさんの傍らで、ユウタさんは、まるで今にも「おっぱいを飲ませるかのような」角度と手つきでユカナちゃんを抱きかかえているので、見ているこちらが癒されました。
ユウタさんの育児休業は年末までで、来年4月にユカナちゃんが保育園に入るまでは短時間勤務とする予定だそうです。4月からヒロエさんは2人の子の保育園のお迎えを担当することになるので、月曜日や週末に洗濯物の大荷物があるときに手伝ってくれる人がいると助かる、とのことです。この手助けを生協のしくみの中でできるといいね、と話し合いました。(事務局長 小松久子)
写真:左端がヒロエさん、その奥がユウタさん