第1回定例会代表質問 2017.2.14そね文子

いのち平和クラブを代表して「平成29年度予算の編成方針とその概要」及び区政の諸課題について質問いたします。

安倍政権は安保関連法制の元、自衛隊を南スーダンに派遣させましたが、そこで大規模な戦闘が起きていたことが問題となっています。これまで何度となく議論されるたびに廃案になってきた共謀罪がテロ等準備罪と名前を変えて国会で審議されようとしています。戦前の治安維持法の復活とされ、個人の思想の自由を奪い監視社会をつくる法案を通すことはあってはならないと考えます。福島第一原発の事故を受け避難区域とされていたところが次々と解除され、年間被ばく限度が1ミリシーベルトから20ミリシーベルトに緩められたまま帰還が進められ、自主避難者の住宅保障は今年度で打ち切られようとしています。原発事故を無かったことのようにし、原発再稼働を次々と進めることは許されません。沖縄県の辺野古では県民の意思を無視し、米軍の新基地建設が強硬に進められており、反対行動に対し重大な人権侵害が起きています。このような安倍政権の2017年度予算は、防衛関係費が大幅に増額され過去最大の5兆1千億円を超え、社会保障を削減するものとなりました。

社会保障費は3年間で自然増を1.5兆円圧縮する方針が出され2017年度は5000億円の枠内に収められました。高額療養費は一定以上の収入のある70 歳以上の負担額を引き上げ、後期高齢者医療の保険料では、低所得者や扶養家族の保険料の「軽減特例」が見直されました。年金はマイナス改定になる一方で、医療・介護により負担増で高齢者の生活が圧迫されます。喫緊の課題である介護人材の処遇改善は、経験、資格、評価に応じて月額1万円相当引き上げるとしているが、介護職員の月額賃金は他の産業より約10万円も低く実効性のある改善には程遠いものです。

このような国の動向に、暮らしと福祉を守る自治体の役割がさらに重要となっています。杉並区の2017年度の予算がこうした課題に応えるものとなっているかを検討しました。

(1)まずは、新年度の予算編成方針とその概要について、これまでの総括と環境の変化について質問します。

  • 冒頭、10年ビジョンの折り返しの年にあたり、この間の取り組みの一定の成果と、前例のない取り組を困難な壁に直面しながら進めてきたことが率直に語られています。区長のこれまでの総括についてお聞きします。
  • 昨年を振り返り、4月の熊本地震を始め大規模災害が連続しておきた年に、過去の災害からの教訓を十分に生かしながら、減災・防災対策を加速する決意が語られています。区長は、11東北大地震と福島第1原発事故に際し、直ちに南相馬市にかけつけて以来、南相馬市への支援とともに、3.11を忘れない集会を毎年行ってきました。今年はどのような企画を準備しているか確認します。昨年は、宮城県の保育園で子どもたちを守り抜いた園長先生をお招きして貴重な体験をうかがい、多くを学びました。ところが参加者が少なくとても残念で、後で地元の方たちに聞くと、集会を知らなかったことがわかりました。町会や防災団体を通じて周知するよう求めますがいかがでしょうか。
  • 小池都政の誕生は、区政にも少なからぬ影響を与えています。都民ファーストを掲げた小池都政の予算方針に対する区長の評価と、区に与える影響についてお聞きします。特に待機児童解消など子育て環境の充実において、都の予算では、前年度比417億円アップの1,630億円となっているが、区に対する効果はどうか。今後待機児童対策にはどのようなことが期待できるか区長の見解を求めます。
  • 2月1日付朝日新聞で「小池都政が地方と向き合う視点に欠ける」という区長コメントが報道されていましたが、その真意は何だったのでしょうか。うかがいます。

阿佐ヶ谷のまちづくりについてお聞きします。

  • 昨年これまで進めてきた杉並第1小学校の現在地建替え計画に対して、病院の移転建て替え計画が発表され、病院跡地での杉並第1小学校の改築が可能となる見通しが出てきました。これまでの計画で、杉1の早期建替えを期待してきた保護者からは、建て替えが遅れることから異論も出ていると聞きます。今後の阿佐谷地域の子どもの教育環境を第1で検討されてきたことと思われますが、その観点も含め、この機会を生かすことで、阿佐ヶ谷地域の将来のまちづくり像を地域住民と共有し、新たな計画を進めることができるのか、検討の状況や計画の特徴などをお示しください。

次に人口動態などについてお聞きします。

  • 東京都と杉並区の人口増加、未就学児童の増加、女性の就業率のアップ、高齢者の長寿命化について実績が示されています。今後5年、10年先のそれぞれの傾向についてお聞きします。「時代の変化に対応する」「時代の先を見据えた」予算と強調しています。10年前と比べてどのような点が大きく変化していると認識しているのか。
  • また「時代の先を見据えて」10年先はどのような点が大きく変化すると見越したのかお示しください。

次に保育園待機児童対策について質問します。

  • 10年前と比べ大きく変化した点の一つが保育園待機児童とその対策です。4月を前に認可保育園19園を含む2000人を超える定員の確保をめざし、保育園建設は着実に進められてきたと認識しています。その結果4月の待機児童解消の見通しはどうなったか確認します。保育士の確保が心配されてきましたが新設園の保育士の配置の達成状況をお聞きします。
  • 昨年、1次申し込みで認可園を希望した数が約3800人、実際に入園できたのは2000人弱でした。昨年5月の待機児童解消緊急プランの柱に認可保育所を据えたのは、画期的な取り組みでした。新年度予算でも基本的に、認可保育園の増設を計画していますがその数と予定定員数をお聞きします。
  • 昨年4月の緊急プランは、100人規模の認可保育園で対応するために、用地の確保が最優先であったことから区有地を活用する他はありませんでした。公園を利用した地域で、子どもたちの遊び場がどのようになっているか、特に向井公園と久我山東原公園の現状について、そこで遊んできた子どもたちは工事中どのようにしていたのか、お聞きします。公園使用は代替地の確保が条件でしたが、今それはどのように対応されているのか、また今後の方策をどのようにたてているのかお示しください。
  • 待機児の解消は自治体独自で進めるには限界があり、国や都の支援が必要と述べています。今年度で国や都が新たに立てた支援策はどのようなものか。また、現在の課題は何かうかがいます。国、都に対し具体的にどのような財政支援を求め、制度はどのように見直すべきと考えるのかお聞きします。
  • 2005年の保育サービスのあり方検討部会報告に基づき2006年以降10年間で区立保育園10か所が建替えに伴い民営化が進められてきました。今後新たな保育サービスのあり方、方針が必要だと考えますが、区の見解を確認します。小泉政権の三位一体改革により2004年度から公立分のみ国や都道府県負担が一般財源化され、その結果、区負担が全額となった経過があります。現在は認可保育所の、民設・民営であれば国や都から事業者に対し建設費用や運営費の補助金がでており、区の持ち出しは建設費用の1/16となっていますが、区が直営で建替える場合には補助金がでないため、一般財源で賄わなければなりません。そのため、建替えに伴う民営化は財政的な面からも一定、避けて通れない状況にありますが、そのことが周知されていません。区民の理解を得るためにこの点は明確に伝えるべきと思いますが、区の見解をうかがいます。
  • しかし、今後増え続ける民営保育園の保育の質を担保するためには、直営園を維持し続けその経験と質を継承していく体制も必要と考えます。区の見解と保育の質を担保するための体制についてお聞きします。
  • 認可保育園をはじめ4月に開設する保育園や、今後杉並区におけるすべての保育施設の保育の質を担保するための考え方を明文化した「保育の質ガイドライン」を策定し、それに基づく保育園整備をすすめることが必要と考えます。区の見解を求めます
  • 保育に関わる経費の増大に伴い、保育料見直しが打ち出されていますが、その方向性について。また低所得者対策についてもお聞きします。
  • 保育園の需要の高まりは、卒園後の学童クラブの需要の急増につながる状況が顕著になっています。今年の4月に地域によっては、3年生になる子どもが学童に入れず困っているとの声が寄せられています。区は「地域によっては待機児童が出ているが全体は充足している」と答えていますが、この状況では、18年、19年の4月には、全地域の学童クラブに拡大するおそれがあります。現状と区の見通しを確認します。
  • 昨年11月の第1次実施プラン改定では、「学童クラブは学校を基本とし…、小学生の放課後等の居場所の機能を移転した児童館施設や、学童クラブとして活用可能なスペースが小学校に近接する場合はこれらを活用する」となっています。今年の4月に向けた対策とともに、早急に抜本的取り組みを求めますがいかがでしょうか。
  • 成田西児童館が30年度から子ども・子育てプラザになる計画は、そこで行われていた学童クラブが杉2小に移動し、児童館を居場所としていた子どもたちも杉2小内での放課後等居場所事業を利用するとされています。この居場所事業が十分に機能しなければ成田西児童館で遊んでいた子どもたちは居場所が減ることになります。これまでの放課後等居場所事業のモデル実施の取り組みはどうだったのか、児童館の機能を拡充すると言える内容になるのか、今後の見通しはどうかうかがいます。

(3)次にもう一つの大きな変化、急速な高齢化とその備えについてお聞きします。

  • 2025年には団塊の世代が後期高齢者になり、高齢者人口がピークになる時期が近付いています。「先手を打って課題にチャレンジしていく」姿勢とありますが、急激なこの高齢化の変化に対応してくためには、どのような改革、対策が必要と考えるかお示しください。

日本老年学会、日本老年医学会から「高齢者の定義を75歳以上に見直す」という提案がなされました。確かに、個人差もありますが大半が元気で、仕事についている方も少なくありません。しかし、この新たな定義が、年金支給年齢の引き上げや若い世代の年金未納など年金制度そのものの崩壊をもたらすのではないかと危惧します。また、65歳から75歳までの医療費の削減や介護保険の利用や施設入所を狭める口実になることも懸念されます。そこで年金制度をめぐる国の今後の動向について、区の認識と見解を求めます。

  • この間のもう一つの大きな変化は、所得格差の拡大であり貧困問題です。この点での区長の見解を求めます。地域が抱える課題は、保育園や子どもの安全な居場所問題、高齢者対策に加え、所得格差により子どもから若者、高齢者までより複雑で重層的なものとなっています。きめ細かい支援を行うには、福祉事務所、子ども家庭センター、教育委員会、ケア24、社会福祉協議会やくらしのサポートステーションなどが連携してあたることが必要になっています。世田谷区では、区民センター・地域包括支援センター・社会福祉協議会が地域単位で同じ施設に入り、ワンストップサービスの窓口を開設しています。杉並区においても複雑で重層的な課題に対応するため、7地域にワンストップサービスの窓口を設置してはどうかと考えますが見解を伺います。

(4)ここからは、時代の変化を見据えて、10年ビジョンの加速化を図るために用いたという、5つの視点に沿って伺っていきます。

  • まず、1つ目の視点「首都直下地震等に備えた減災・防災対策の推進」についてです。毎年東京都がおもに職員を対象に行っている都市復興訓練が今年度は杉並区梅里・成田東で実施されましたが、どのような訓練が行われ、区の施策にどのように活かされたのか、あるいは活かしていこうとしているのかお聞きします。
  • 昨年末の糸魚川市の火災は、発生から鎮火まで約30時間もかかり、約4万平方メートル、建物147棟が消失するという大変規模の大きなものでした。同じく木密地域の問題がある杉並区として、今回のこの災害から具体的にどのような教訓を得られたのでしょうか? 木密地域の不燃化が急務であるということですが、そのためには何が必要か、課題はどのようなところにあるのか、区の認識をお聞きします。
  • また狭あい道路解消も急務です。「支障物件の除却に向けた取組を着実にすすめる」とありますが、これまでに住民の理解・協力を得られているのでしょうか? また重点整備路線の整備は時期的な目途が立つものなのか区の考えを伺います。
  • 不燃化や拡幅整備に必要なのは地域住民の理解と協力であり、そのために区民の防災意識の向上が必要だと考えます。昨年5月に実施された「区民意向調査」によると、「震災救援所など町会・自治会の訓練」に参加したのは9%で、約7割の方が何にも「参加していない」と答えています。これまでとはちがった方法での防災訓練の周知が必要だと考えますが区の見解を伺います。

 

(5)次に第2の視点「将来にわたるにぎわいの創出に向けた環境整備と魅力発信について」お聞きします。

  • 「広報すぎなみ」の刷新が打ち出されています。デザイン、レイアウトの工夫は、それなりの専門的な能力や新しい感覚が必要となりますが。どのような方法、どのような力を投入する考えかお聞きします。
  • 外国人観光客を含めた来街者に対しては、SNS活用を含め今後どのような情報発信をしようと考えているか伺います。
  • 東京オリンピックに対しては、大きな期待が寄せられている反面、2020年に向けた工事が、福島復興への資材や人材不足をまねいているとの厳しい批判も出ています。またオリンピック関連建築の膨大な建築費の付けが都民に回されることも危惧されます。小池都知事への評価には天井知らずの五輪予算縮小への都民の期待があると思います。5輪の準備にかける予算はできるだけコンパクトにすべきと思いますが区の見解を求めます。

商店街の活性化についても伺います。

  • 「新・元気を出せ!商店街事業」の拡充は、具体的にどのような工夫がされているのでしょうか。
  • 商店街は、浜田山でもこれまで長年親しまれてきたお店が、後継者がいないため昨年閉店となるなど、にぎわっている商店街でも地元の商店がなくなり、チェーン展開している飲食店などに変わっていく流れが止まりません。その原因の第1が後継者問題です。この点での区の認識と対策をお聞きします。
  • 第2が区内の繁華街の店舗の家賃の高さです。その一方で若い世代が新たに起業する飲食店、介護保険事業、美容院、健康関連事業などのお店も増えています。このような若い起業家を支援する施策、家賃の高い杉並で家賃助成があれば、にぎわいのある杉並で起業しようという意欲を引き出せると考えますが区の対策をうかがいます。

(6)次に第3の視点、「豊かなみどりと持続可能な環境を次世代に継承」について伺います

  • 福島原発で生み出される電気の消費地であった東京は、原発事故を忘れず継続して省エネに取り組むよう、啓発活動を引き続き行っていくべきと考えますが、区の見解と具体的な取り組みを伺います。
  • 再生可能エネルギーを生み出す取り組みとしては、震災救援所に太陽光発電と蓄電池をできる限り設置してきたことを高く評価しています。区民への太陽光発電機器設置助成などは引き続き行っていくべきと考えますが、区の見解をうかがいます。
  • 区立施設の電力に、原発に頼らない新電力(PPS)からの購入を求め、これまでの実績は2億6年万円の削減を実現しています。新年度新たな拡大の予定があればお聞きします。その実績はどの程度見こまれているのか。国は今後廃炉費用の負担を新電力の電力料金にも上乗せする方向ですが、そうなれば影響はどのようなるとに想定しているかお聞きします。
  • 2016年11月4日に「パリ協定」が発効しました。日本はこれに遅れをとり8日に批准しましたが、パリ協定の第一回締約国会議には議決権のないオブザーバー参加となったことは残念です。日本は2030年までに温室効果ガスを13年度比で26%削減する目標を、東京都はそれを上回る30%削減の目標を立てています。杉並区でも国や都の動きを見つつ新たな目標を立てるということでしたが、その進捗状況はどうなっているか、東京都と並ぶ高い目標を設定し取り組んでほしいと考えますが、区の見解を伺います。
  • 建物の省エネ化を進めることは、省エネを推進するうえ大変重要と考えます。杉並区ではこれまでも市民団体と協働で省エネ相談を実施し、市民向けの講演会を開催するなど省エネ建築の啓発に努めてきていると認識しています。2020年には住宅を新築する際には新しい省エネ基準に適合させることが義務化されます。既存住宅を省エネ住宅にリフォームしていくことも重要で、現在は国での助成も行われていますが、区として住宅の省エネ化促進のために取り組んできた成果と今後の考え方や具体的な取り組みについてうかがいます。
  • 2015年4月に都市農業振興基本法が成立し、これまでの都市農地は「市街化すべき」ものから必要不可欠な「あるべきもの」に転換されました。この法に基づき都市農業振興基本計画が税制上の措置などにも留意する形で策定されましたが、実質的にはどのような効果が出ているのか。継続したアグリフェスタの開催、成田西ふれあい農業公園の開設など区の取り組みを評価していますが、今後どのように農地を残していこうとするのかうかがいます。今年度導入した認定農業者制度の取り組みはどうだったのか、今後の展開についても合わせて伺います。
  • 食品ロスについては、飲食店での食べきり運動などを紹介し提案を行ってきましたが、家庭や飲食店を中心に食品をごみにしない取り組みが取り上げられたことをうれしく思います。今後もぜひ協力していきたいと思っていますが「(仮称)杉並もったいない運動」の具体的な内容についてお聞きします。
  • 外環道の大深度地下工事が始まり、地下40メートルに直径16メートルのトンネルが2本つくられ、地中拡幅部は50メートルを超え300mの長さに及ぶ壁が帯水層をせき止めます。善福寺の水と緑への影響など、沿線住民の不安への国と事業者の責任ある説明について区の対応を求めます。また、外環地上部街路(外環の2)が練馬区ではすでに事業化に向けて取り組まれています。沿線住民の立ち退きを迫る外環の2は必要のないことを区として明らかにしてほしいと考えますが区の見解をお聞きします。
  • 西武新宿線の開かずの踏切対策として連続立体交差事業が急がれています。高架になれば大幅な立ち退きと環境道路整備が行われることが、まちづくり協議会などで周知されているのかどうかお聞きします。構造形式は都任せではなく、区の住民に寄添った関わりを求めますが、区の考えをお聞きします。
  • 活力あるみどりの住宅都市を標榜する杉並区として、空き家を増やさない取り組み、空き家を地域資源として活用することは大変重要と考えます。昨年、杉並区空家等対策計画が策定され、空き家に対する施策の方向性が示されたことを評価します。また、居住支援協議会が立ち上がり、住宅要配慮者への取り組みをすすめようとすることにも期待しています。特に高齢者や障がい者の居場所や住まい、子育て支援の拠点などの活用促進に課題となる制度変更も含めモデル事業として積極的に取り組んでほしいと思いますが区の見解を伺います。

 

(7)次に第4の視点、「超高齢社会の進展を見据えた健康づくりと福祉の充実」について伺います

  • 介護保険制度は改定の度にサービスが縮小に向かい介護の社会化が後退しています。特養の入所要件が介護度3以上となり要支援1・2が区の総合事業に移行するなど法や制度の改定に、自治体が規定されてしまうことは理解しますが、自治体として介護サービスをトータルにどのように保障するのか、区の認識を伺います。
  • できるだけ介護保険に頼らないための介護予防を重視することは財政的にも必要です。そのため、元気高齢者の就労機会を支援する取り組みを評価しますが、就労だけでなく多様な社会参加の機会の確保も必要です。住民主体のコミュニティづくりをさらに促進するために、現在行われている活動の発信とともに新たな活動づくりの支援が必要だと考えますが、区の見解をお聞きします。
  • 地域包括ケアシステムの構築に向けて、その人の暮らしを地域で包括的に支えて行くためのネットワークづくりに具体的に取り組んでいることを評価しますが、特に在宅医療と介護の連携推進では自宅に居ながら病院や施設と同様のサービスが受けられるような体制整備が必要です。そのため、現状まだ不足している夜間対応型訪問介護や定期巡回・随時対応型訪問介護看護、小規模多機能型居宅介護、看護小規模多機能型居宅介護の拡充をすすめることが急務だと考えます。2017年度は第7期介護保険事業計画策定の年でもあり、今後の区の考え方をお聞きします。
  • 障がい者施策については、親なき後の住み慣れた地域で生活できるよう、住宅支援や施設整備の拡充を進めていることには賛同するものです。昨年障がい者差別解消法が施行され、自治体においてはその責務が実践によって示されることが重要だと考えます。その一つが、移動支援についてです。通所・通学、日中活動への支援が他自治体では認められているのに、杉並区ではできないとの指摘が当事者や団体からなされています。支援がないことで外出が出来ない人を出さないよう、区の対策が求められていると考えますが、移動支援に対する区の方向性と見解を求めます。
  • とりわけ精神障がい者への移動支援が認められないことに対して、当事者や団体からの切実な要望が挙げられています。通所、通学、通院など個々の状況に柔軟に対応すべきと考えますが、区の見解を求めます。
  • さらに精神障がい者は、福祉施策が遅れたことで、知的、身体障がい者に比べ未だ制度が十分とは言えない状況です。こうした中で2011年に区が独自に「心身障がい者福祉手当」を1級に支給したことは高く評価しています。1級・2級の認定は、当事者や関係者によればそれほど大きな違いがあるとはいえず、2級への拡大は待ったなしだと考えます。見直し拡充についての区の見解はいかがでしょうか、お聞きします。

(8)最後に第5の視点「未来を担う子どもたちのための教育・支援の拡充」についてお聞きします。

  • 子どもの貧困対策として、民間との連携や協働による取り組みも視野に入れた効果的な支援策についての検討状況を伺います。また、具体的な課題を把握するためには実態調査も必要と考えますが、区の見解をお聞きします。
  • 不登校の子どもが15年度は小学校で108人、中学校205人という状況でした。一つの小学校や中学校ができるほどの人数が不登校になっているということです。不登校の原因をどのように分析し、改善を図ろうとしているのかうかがいます。
  • これだけの人数の子どもが学校に行けない状態を生み出していることについて、学校のありかたを見直す必要があるのではないかと考えます。来られない子どもを無理やり学校に通わせるというのは論外ですが、義務教育機関として、すべての子どもが安心して通える学校、すべての子どもの居場所となる学校づくりに、保護者や地域の人の手を借りながら、取り組んでほしいと考えますが、教育委員会の考えをうかがいます。
  • 不登校の子どもへの対応を始めとして、重要な役割を担っているスクールソーシャルワーカーが非正規雇用であることについては、これまでも処遇の改善を求めてきました。すぐれた人材が杉並区から他自治体に流失している現状も聞いています。子どもからのSOSには勤務時間に関わらず緊急対応が必要であること、保護者などの信頼を築くには継続性が重要であることから、スクールソーシャルワーカーが十分に力を発揮し、区の子どもたちを力強く支え続けてもらうために、改めて処遇の改善を強く要望いたします。

最後の質問になります。

  • 児童養護施設に入所している子どもと、子どもが施設を退所した後の支援について伺います。杉並区には都内の自治体の中では最も多い5カ所の児童養護施設が民間によって設置されています。施設の子どもは地域の学校に通い、施設も積極的に地域と交流を持つ努力をされていると認識しています。施設には発達に課題があり、特別な支援を必要とする子どもの割合が高いとも聞いています。その子どもたちが施設に居られるのは基本的には18歳までであり、施設を退所した後に孤立することが多いため、家賃補助や奨学金、継続してつながりを持つことや見守りが必要です。児童養護施設は都が管轄するとはいえ、子どもは地域で育つものであり、他自治体ではこれらの支援が行われていますが、杉並区ではこの子どもたちの支援にはどのように取り組んでいるのか。区の考えと今後の具体的な支援についてうかがいます。

高齢化のピークを間近に控え課題が山積する大きな変化の時代に、区には区民のいのちと暮らしを守ることを最優先に取り組んでいただきたいと考えます。私たちも協力し、力を尽くすことを申し上げいのち・平和クラブの代表質問を終わります。