豊洲市場の「盛り土」問題が暴いた 安全対策のウソと失墜した信頼
小池百合子都知事が8月末に築地から豊洲への市場移転時期の延期を宣言し、都がそれに伴う影響への対応に追われていた矢先、豊洲の驚くべき事実が明るみに出ました。都政はいま激震に揺れています。
もともと東京ガスの工場跡地だったこのエリアは、ベンゼンなど有毒化学物質による土壌汚染問題を抱えており、その対策が生鮮食品を大量に扱う卸売市場の立地として最大の課題とされました。
そこで、これまで敷地全体で深さ2メートルの土を入れ替え、さらにその上に2.5メートルの盛り土を行うことで安全を確保したと東京都は説明し、移転を推進してきました。しかし、実際は主要建物の地下には盛り土がなく空洞であることが判明したのです。
先日、豊洲の土壌対策について改めて説明を受けた際にも「敷地全体で汚染土を除去、土を入れ替えた上に盛り土を行った」と都は明言しましたが、それは嘘だったことになります。
東京都は専門家会議を設置し「全体盛り土」の提言を受けながら、それに従わず独断で空洞への変更を行ったと考えられます。しかもこれまで隠してきたとすれば、食の安全・安心がないがしろにされただけでなく、都への信頼が失墜する事態と言うしかありません。
都議会生活者ネットワークは実態を把握するため、9月13・14日の2日にわたって豊洲市場の視察を行い、水産卸売棟と青果棟の地下部分を実際に見てきました。
地下全体が暗くだだっ広い空間でひどいカビ臭がし、底面に「水」がたまった状況も確認しました。雨水か地下水か判明せず、マスコミが「謎の水」として連日取り上げていますが、漏水であることは確かです。雨水とすれば建物の防水対策が疑われ、地下水であれば水質の安全性や地下水管理システムの機能性に疑問がわきます。
私たちはこの事態に至った過程を議会で検証し、都が都民に対し説明責任を果たすこと、今後の安全対策を厳しく求めていきます。
(都議会議員 小松久子)