2016年 年頭にあたって

立憲ネットワーク主催のシンポジウム「地方から参議院選挙を考える」で受付を手伝う(左から)曽根文子、奥田雅子、小松久子

新年あけましておめでとうございます。

 昨年は戦後70年目の節目の年でした。先の戦争を振り返り憲法9条の重みを感じたいと思います、と昨年の年頭挨拶に書きました。しかし安保法制の決定、安倍首相率いる官邸の強引な沖縄問題、景気の安定どころか格差の拡大が身に染みる1年でした。

 昨年暮れに選ばれた漢字一文字は「安」でした。「安心・安全」の安であるはずもなく、「安保法制」では憲法をないがしろにした立憲主義国家としてあるまじき結論をだしました。日米同盟の重要性は増しましたが、軍事面より法の順守や人権擁護といった面での連携こそが求められるのだと思います。

 「一億総活躍社会の実現」では基本的考え方には「包摂」などという言葉が出るほどよく書かれているのです。しかしその工程表は示されておらず、どうやって合計特殊出生率を1.8に上げるのか、介護離職ゼロという明確な目標をクリアするのか「不安」だらけの社会で実現の芽を感じることもできません。

 政策を創る役人と、政治家との考え方のギャップなのでしょうか。ひとり親家庭の存在は認識できても、DVの現状や母親の給与は生活保護世帯以下であることに思いが至りません。離婚したのが悪いと言わんばかりです。時代とともに変わる家族像があってしかるべきなのに、同姓の夫婦子ども2人の標準世帯を堅持するような発言ばかりです。「安心」して子育てをし、「安心」して介護と仕事が両立できる社会は先が見通せません。

 自治体には生活困窮者自立支援の窓口が昨年4月から開設され、相談が始まっています。まだまだ実績が上がっていません。しかし、「安心」を得るための窓口です。さらに地域ではひとり親、も高齢者も、障がい者も集える場づくりが進んでいます。まだ根本の子供の貧困を防ぐ手立てにはなっていませんが、子ども食堂も陽の目をみています。

 市民社会の活動を応援し政治をもっと近いものにしない限り「不安」を「安心・安全」に変えることはできません。今年一年も市民政治に力を入れてまいります。

 さて、今年の7月は参議院議員選挙です。地道に一歩一歩地域の問題を掘り下げて現場からの声を上げていきたいと思います。その声を国会に届けてくれる議員を増やしたいと考えています。生活者ネットワークの政治にご参加、また応援をいただけますようお願いいたします。本年も良い年になりますよう祈念いたします。                                                                生活者ネットワーク 元都議会議員 藤田愛子