区議会予算審議についてのまとめの意見(1)

《3月21日区議会予算特別委員会最終日に発表した会派「生活者ネット・みどりの未来」の意見より抜粋》

今予算審議では、生活保護世帯の子どもに対する法外援護について議論が交わされましたが、自分の環境を選べない子どもにとって、親の貧困は機会の不平等を否応なく子どもにもたらし、そこから抜け出す機会がすでに奪われているのが今の日本の現状です。当区が来年度「次世代に夢と希望を拓く予算」として、塾代を助成しようとするのは、貧困の現場を知ってこそのことであり、貧困の連鎖を断ち切るために有効な施策と期待しています。発達障がいの子どもの支援拡充などとも併せ、困難な状況に置かれた子どもたちに寄り添った取組みを評価したいと思います。

なお、日本はOECD諸国の中で、所得の再分配機能が働いていない特殊な国であることを、人口問題研究所の阿部彩さんは、2008年、岩波新書『子どもの貧困』の中で、私たちに教えてくれました。若干説明しますと、もともとの収入が示す子どもの相対的貧困率と、その収入から税や社会保険料を引いて給付を加え手元に残った金額を比べると、再分配後の貧困率の方がむしろ高い、再分配により貧困の度合いがより進むという、ありえない事実があるのです。その原因は、少ない収入であっても高い社会保険料を納めねばならない、また子どもへの給付が非常に少ないという、日本の税と社会保険の制度にあります。いびつな再分配の状況は、最近は若干改善されているものの、十分とはいえません。そのような状況にあって、再度の政権交代により子ども手当の復活が望めないいま、子どもの貧困の連鎖を止めるための施策を、自治体が積極的に用意することは、まさに住民の福祉の向上という役目を果たすものと考えます。

さて、今年も保育園の入園希望者は増加し、多くの保護者から保育園増設を求める声が上がりました。それを受けて、区は臨時的措置を決定し、迅速に対応されたことを評価します。ただし、今後も保育園の需要はさらに増加することが予測されます。土地の確保が課題となっていますが、来年までに廃園が決定している私立幼稚園3園の土地や建物を利用することも検討を進めていただきたいと考えます。今後とも、可能な限り区内の資源を生かして、保育園の整備を進めることを求めます。

杉並区地域エネルギービジョン策定に向けた中間まとめの報告があり、昨年の予算特別委員会で私たち会派から提案した市民出資型ファンドが採り入れられました。太陽光発電の助成を受けられるのは一部の区民ですが、自分にあった出資をすることで再生可能エネルギーを促進し、利益も得られ、多くの区民が参加しやすい仕組みと捉えられて採用したとの報告がありました。原発依存のエネルギー政策から脱却するため、省エネルギーを基本に再生可能エネルギーの普及と拡大、地産地消をすすめることに会派として主張してきた立場からこれには大いに期待しています。(区議会議員 そね文子)