《緊急寄稿》穀物相場の高騰と私たちの食卓①

農政ジャーナリスト 榊田みどりさんからのレポート

榊田みどりさんを講師に、杉並で学習会を開催 2010.2月

世界的な「食糧危機」への懸念が広がった2008年。今年は、その記録を塗り替える穀物相場の高騰が続いています。とくに、7月以降のトウモロコシと大豆の相場急騰は著しく、どちらも08年に記録した史上最高値を更新。8月には、世界の主要20カ国・地域(G20)が、食糧問題に関する緊急会合の開催に関する声明を出すほど深刻な事態となっています。

今回の大豆・トウモロコシ相場高騰の最大の要因は、世界の輸出量の約4割を占めるアメリカの壊滅的な凶作。アメリカ国内のトウモロコシ・大豆の7割以上を生産する中西部が、半世紀ぶりといわれる大干ばつに見舞われているためです。

実は小麦も、ロシアでの冷害の影響や、他の穀物の相場上昇のあおりを受けて価格が上昇。ロシアでは、国内相場の沈静化のため輸出規制を検討する動きも出ています。これを受けて、日本でも、今年10月から、輸入小麦の政府売渡し価格の3%値上げが決定されました。

日本は、トウモロコシの99・999%、大豆の約93%、小麦の約90%を輸入に頼る、穀物の輸入依存度の高い国です。そのため、2008年の相場高騰では、トウモロコシや大豆を原料とする食用油や味噌、醤油、小麦を原料とするパン、カップ麺、うどんの値上げラッシュが続いたのを記憶されている方も多いと思います。

また、穀物飼料を輸入トウモロコシに依存しているため、食肉や牛乳、ヨーグルトなどの畜産・乳製品も値上がりしましたが、実はその陰で、1000軒以上の酪農家が廃業し、養鶏、養豚でも倒産が頻発するなど、日本の畜産・酪農業の足元の脆弱さも浮き彫りにされました。今回の相場高騰も、日本の農業と食卓に影響を及ぼすことになるのは、まちがいありません。 (つづく)