今回、本請求からずっと都議会を見守ってきた私たちは、都議会がいかに硬直し、市民のほうをむいていないか、その現実をつぶさに知ることになりました。
第一に、地方自治法で定められた正当な権利として市民が直接請求した案件に対し、都議会は専門の委員会(今回は総務委員会)に付託し、全議員127人で議論する場はないのです。わずか15人で審議され、そこで賛否の大筋が決まってしまいます。
この委員会の傍聴席は定数20、今回希望者が殺到し廊下にあふれ対応策がとられましたが、計52席しか用意されませんでした。
第二に、議員の質問に答えるのは行政側、つまり職員です。反対・賛成どちらの立場から質問しても、6月5日の知事所信表明の内容を繰り返すだけでした。なぜ請求者=市民側に答弁させないのでしょうか。
知事は「法律に抵触する規定がある」との理由を反対意見につけていますが、条文解釈に疑いが生じた時は起草者である請求代表者に照会するという、当たり前のことがされていません。
条例案を起草した南部義典氏(慶応義塾大学大学院法学研究科講師)は「都職員向けに実務の仔細まで規定した電話帳くらいの厚さの条例案が相応しかったのでしょうか」と反論しています。
請求代表者に与えられた時間は、全審議を通じて40分間の「意見陳述」だけです。また反対賛成をめぐって議員同士の議論などありません。答弁するのは行政なのです。傍聴が許可されている部分の審議は、はっきり言って茶番です!
これより前に行われている理事会等の議論は密室でされ、傍聴は許可されていません。
総務委員会で行われた「請求代表者による意見陳述」の動画をご覧ください。こんなにも正攻法で、右でも左でもない、純粋に前を向いていること、市民のレベルの高さを誇りに思います。
それにひきかえ都議会は、各会派が壇上で討論している最中も野次・怒号の嵐で、都民の代表が議論をたたかわす場とは思えません。傍聴席では拍手さえも禁じられ、ルール違反と目されれば議長から退場を命じられますが野次を飛ばす議員は注意もされません。
今後は「試されているのは自分だ」と、議員が感じるアクションが必要です。市民グループ「みんなで決めよう原発国民投票」とともに私たちは、来年の都議選で議会構成を変え、議会改革を進め、都民投票の実施を目指していきます。(直接請求を成功させる会・杉並 中崎裕美)