区議会予算特別委員会 まとめの意見≪その3≫

杉並区基本構想について

さて、今年は区政執行80周年にあたります。80年間で人口が4倍近くにまで増え、外国人1万人を含むおよそ54万人の老若男女がくらす住宅都市として、杉並区の価値を高めてこられた先人の努力に敬意を表しつつ、これからの区政運営を考えるとき、その中心に位置するのは強力なリーダーではなく、ふつうの区民です。

基本構想を実現するために「参加と協働による地域社会づくり」を推進していくとの方針が出されました。「(仮称)基本構想を実現するための区民意見懇談会」を設置されるとのことです。これまで「参加と協働」について、多くの提案を申し上げてきた私どもとしてはこれを歓迎するところです。しかし、市民参加を促進するには、参加の機会を増やすこと、十分な情報公開と参加のための支援、が必要です。

市民参加といえば審議会委員などに公募市民の枠を設けることが一般的ですが、市民が学識経験者や専門家、場合によっては議員もメンバーである会議のなかで発言するのが難しいことは、当区の公募委員を入れた会議を見れば一目瞭然です。

16年前、当時としては珍しかった「市民参加」で「緑の基本計画」を策定した鎌倉市に伺いました。鎌倉市では、公募委員が会議で発言しやすくするために、事前に資料を市民委員に配布し、正式な会議の前に1度レクチャーを行っていました。つまり、通常の会議に要する時間の倍の時間をかけていました。

説明して下さった担当課の方に、「手間がかかるのではないか」と伺うと、「市民の皆さんがご自分の考えを会議の場でしっかり発言できるようにサポートするのが私たち職員の仕事です」とこともなげにおっしゃっていました。市民参加には時間と労力が必要です。「(仮称)基本構想を実現するための区民意見懇談会」の運営を充実したものとし、今後改定される「まちづくり基本方針」や、新たに策定される「地域エネルギービジョン」「バリアフリー基本構想」など、これからの行政計画づくりには市民参加が当たり前、という実績を積み上げていただくことを期待します。