杉並区が、子どもの発達障がいに対して、「切れ目のない支援」を心がけ施策化されてきたことには、敬意を表するものです。しかし、その支援が義務教育期間を過ぎると途絶えてしまうことの問題を、再度指摘しておかなければなりません。「発達障がいの相談体制の充実」は区長の公約のひとつです。支援の一日も早い本格的な取り組みに向けて、関係者を交え 具体化のための検討に着手してくださるよう要望します。
発達障がいのある若者が ひきこもり状態になって長期化しがちな問題は、現代社会が抱える苦悩のひとつです。区が答弁されたように、障がい者施策としてだけでなく児童青少年施策、社会教育、就労支援などの所管がともに知恵を出し合わなければならない問題です。それだけにその前提として、まず実態を調査し問題を把握することが必要と考え、指摘いたしました。ただ、すでに先行して着手されている社会適応支援事業は、2年前からの試行ですが確実に成果をあげており、ニーズはもはや試行としての限界を超えています。本格実施として充実した展開を求めます。
新設が予定されている若者就労支援センターに関しても、同様の趣旨から、ひきこもり対策としての視点をもつことが重要であることを付け加えておきます。
区長の公約にはまた、「在宅介護に携わる区民に対する支援の充実」とあります。当区が、これまで取り組んでこられた家族介護支援や、昨年設置された医療相談窓口など、高齢者の在宅でのくらしをサポートしようとする在宅療養支援施策に力を入れておられることに注目しています。施設整備の需要がなくなることはありませんが、国の動きを見ても「施設から在宅へ」と大きく舵を切ったことは確かです。
100年前までの日本では、ほとんどの人が家で死を迎えていました。それが、現在では80%が病院死となっています。しかし、これからは「家で死ぬ」ことが当たり前の社会が再びやってきます。家で死を迎えることを、普通の出来事として肯定的にくらしに採り入れるには、家族が「家で看取る」ことの心構え、つまり「看取る」ための学びが必要です。学校に限らず、地域のゆうゆう館、ケア24、町会・自治会などが行う講座や、図書館でのキャンペーンなど、社会教育として多様な形で「看取り」を学ぶ機会が求められます。区として意識的に企画提案をしかけていただきたいと思います。