「区長の多選自粛条例」は廃止しなくていい

条例廃止議案に生活者ネットは反対

「脱・山田宏」路線を明確に打ち出し、その「遺産」を順次精算しつつある田中区長ですが、11月議会では「区長の多選自粛条例」の廃止を打ち出しました。「自分自身は多選をよしとしない」としながらも「参政権、被選挙権ともに侵すおそれがある」などというのがその理由です。

7年前、生活者ネットワークも賛成して制定されたこの条例は、市民活動を担う人たちの間での評価は高く、「廃止しなくていい」という意見が多数を占めています。本会議にかけられたのち12月2日の総務財政委員会で審議されましたが、生活者ネットとして次のような意見を述べて反対としました。

首長の任期については、本来、その人本人、また市民の選挙の投票をもって判断すべきことですが、政治の硬直化や陥りがちな不祥事のリスクを回避する意味でも、権限の集中・肥大化を防ぐ意味からも、多選を避けるよう努めることの意義は大きなものがあります。

また現在の選挙制度のもとでの選挙は現職に圧倒的に有利であるため、その被選挙権に対して制限をかけるという自粛条例は、理にかなったものといえます。

前区長は、条例の制定に至る経過で第3条「在任期間中、区長は全力で任務に務める」という趣旨の条文をわざわざ追加しておきながら、それに違反して任期途中で唐突に区政を放り出し、区民を失望させました。しかし、そのことがこの条例の価値を低めたとは思いません。

一方この条例は、区民の生活に直接の影響を及ぼすものではありませんから、あって不都合なことは何ひとつありません。

本議案は田中良という政治家個人の政治信条、あるいは理念の発信であると理解しており、その主張は主張として受け止めながら、あえていま廃止しなければならない理由を見いだすことができません。したがって、本議案に反対といたします。       
 区議会議員 小松久子