2010年区議会第3回定例会 小松久子の一般質問と答弁

【Q】 ● 区長は、職員に対しレポート提出を求めたと聞くが、レポートの内容はどのようなものだったか。それに対し区長はどのような感想を持たれたのか、伺う。

    ● 職員からのレポートを基本構想づくりにも反映させられるのでは。職員レポートをどのように活用される考えか。

    ● 区はこれまで、様々な行政評価の手法を取り入れてきたが、区長の評価は。特にその実用性について伺う。

     ● 新しい行政評価システムをつくろうとしているようだが、市民自治を進める観点から、区民による評価を新たな行政評価システムに取り入れることが必要だと考えるが、区長の見解を伺う。

     ● この4年間で区長自身が最もやりたいことは何か。

 

【A】  4年間の任期中に、区長として最もやりたいことは、杉並区を、暮らしやすい、より魅力のある、質の高い住宅都市として発展させること。その第一歩として、今後10年程度の近未来の杉並区のあるべき将来像と、その実現のための確かな道筋を示す、新たな基本構想と総合計画を策定していく。

     このような、新しい杉並区を築いていくためには、まず、これまでの区政や事業について、評価・検証を行うことが必要だ。そうした考えから、管理職をはじめとする職員に率直な意見を求めたところ、短期間にもかかわらず、多くの意見が提出された。このことを見ても職員の区政への意欲が感じられる。その内容も、職務上の課題から、これまでの区の組織運営や今後のあり方について、非常に率直な意見が寄せられており、大変興味深く、また、今後の区政運営に役立つものだ。こうした評価・検証が、行政内部で日常的に行われ、常に、区政運営の改善や政策の充実を図っていくことが重要。本区の行政評価システムは、行政内部での評価を基本に、外部の視点からの評価も加えたシステムとして、早い時期から実施され、その機能を果たしてきたと、評価している。

     そこで、今回実施する「杉並版事業仕分け」も、この行政評価システムを基本に行う。今後は、施行錯誤を行いつつ、区民の目線に立って、より実効性のある評価システムにしていく。

 

【Q】 ● 区長の考える「新しい公共」とはどのようなものか。新しい公共円卓会議がまとめた『宣言』と同じものか。

    
新たな基本構想を策定する中でこれまでの「協働」を検証することには賛同する。ここでは、協働の当事者でもある区民が検証する必要があると思うが、見解を伺う。

 

【A】 本区の「新しい公共」とは、質・量ともに拡大する公共サービスを適切に提供するために、豊かな協働の地域社会づくりを進めるものだ。こうした認識については、国と自治体との違いはあるが、「新しい公共円卓会議」と同様。

     この基本認識に立って、今後、新たな基本構想、総合計画の策定にあわせ、これからの杉並区の協働に関する計画をつくっていく。その検討に際して、既に様々な分野で公共サービスを担っているNPOや利用者の声もお聞きしながら進めていきたい。

 

【Q】 ● ESDについては2005年から2014年までの10年間を「持続可能な開発のための教育の10年」として議決されたが、学校教育におけるESDの認識について教育委員会はどのようにとらえているのか、伺う。

 

【A】  ESDとは、持続可能な発展のための教育であり、一人一人が、世界の人々や将来世代、また環境との関係性の中で生きていることを認識し、よりよい社会づくりに参画するための力をはぐくむことを目的とする教育である。

     これまでも学校教育では、総合的な学習の時間を中心に、環境保全や人権尊重などの課題を横断して取り扱い、地球規模で問題を認識するとともに、身近なことから行動し、解決する力の育成を図ってきた。

     近々、国立教育政策研究所から、教員向けの報告書が出されると聞いていますので、さらに研究を進めていく。

 

【Q】 ● エコスクールの取り組みをESDの観点から評価・検証することが必要と考えるがいかがか。

 

【A】  エコスクールの取り組みは、児童生徒だけでなく、教師、家庭、地域の方々も含めて、一人一人が持続可能な社会を創るために、身近なことから行動できる力をはぐくむことをねらいとして、「施設づくり」「学校運営」「環境教育」という3本の柱で推進してきた。今後、どのような観点で評価・検証を行うか、研究を重ねていく。

 

【Q】 ● 環境教育等の課題において、NPO等市民団体との協働を進めていくことが望ましいと考える。各校がアクセスできるようなツールの整備と併せて、教育委員会の見解を伺う。

 

【A】  すでに環境教育では、NPO等専門性の高い団体と連携、協力して実施されている。情報提供については、今年度済美教育センターにて、各校をつなぐネットワーク上で、学校教育への支援にかかわる外部人材情報をデータベース化し、各教員が常時検索できる機能を立ち上げた。今後、掲載情報を積極的に増やし、内容の充実を図っていく。

 

【Q】 ● 学校教育において、21世紀を生きる地球市民を育てるために、ESDにかかわる研修を実施する必要があると考えるがいかがか。

 

【A】  これまでも体験的な活動を通して、問題解決の力や社会とかかわる力など、ご指摘の考えに基づく研修が実施されてきた。今後も引き続き内容の充実に努めていく。

 

【Q】 ● 昨年度は11校、今年後は22校に学校司書が配置され、実績があがっていると聞くが、教育委員会はどのように認識しているのか。

 

【A】  学校司書は、児童・生徒が来館したくなるような魅力的な環境整備や、児童・生徒への読書相談、教師への選書補助等に取り組んでいる。

     いずれの配置校でも、図書館が常時開館され、児童・生徒の図書館利用の回数や貸し出し冊数が増加したり、図書館の活用により授業が充実したりするなど、着実にその成果を上げている。

 

【Q】 ● 平成26年度までに学校司書の全校配置を目指すということであるが、実施計画に位置づいていない。もっと早く全校に配置すべきであり、その計画を明確に示すべきであると考えるがいかがか。

 

【A】  学校司書の配置は、教育委員会が重点を置いて取り組んでいる施策であり、できる限り早い時期に全校配置が実現できるよう、引き続き努力していく。

 

 

【Q】 ● 学校図書館教育の充実のためには、図書の流通体制やセンターの支援体制を確立すべきと考えるが、電子ネットワークの整備スケジュールを含め、教育委員会の見解を伺う。

 

【A】  現状は、各学校のシステムからは、インターネットを通して地域図書館の図書情報を見ることはできるが、他校の情報を見ることはできず、ネットを通じた相互貸借もできない。物流についても、委託事業者による配送等、図書館から学校に配送する体制だけとなっている。こしたことから、昨年度改定した子供読書活動推進計画において、今後、学校図書館、区立図書館をネットワークで結び、図書情報の共有化を図るとともに、相互貸借システム及び配送システムの構築に向け検討すると定めた。

     なお、済美教育センターの支援体制については、平成21年度に組織改正が行われ、学校図書館運営の総合的な支援を行う「サポートデスク」を設置したので、今後、ノウハウの蓄積を図り、支援の充実を進めていく。

 

【Q】 ● 子供読書活動推進計画に示された「学校図書館運営計画」の作成状況と活用状況について伺う。

 

【A】  同計画は、現在小学校27校、中学校8校で作成されており、図書整備やボランティア活用、学校行事と関連付けた読書活動の推進、各教科における調べ学習の充実等、計画的な学校図書館の運営に生かしている。今後、新学習指導要領の完全実施に合わせ、23年度に小学校全校、24年度に中学校全校での作成を目指していく。

 

【Q】 ● 採用された22名の司書は、成果を上げようと努力していると聞くが、その身分はパートタイマーであり、現在の待遇は十分とは言えない。教育現場における重要な専門職として、待遇を改善すべきと考えるが、いかがか。

 

【A】  学校司書の勤務時間や報酬の支給にあたっては、その勤務内容に沿ってパートタイマーとして行っている。待遇の改善については、これまでも取り組んできているが、今後とも検討する。