NPOに寄付した場合、所得税から寄付金額の半額程度が「減税」されるというものです。「減税」という言葉にピピッと反応してしまいますが、たとえば、1万円寄付した場合、所得税額からおよそ5千円が減税されるというもの。これこそ、一石二鳥。寄付によって、NPOは財政が潤い、活動が豊かに展開でき、地域も豊かになる。そのうえ、寄付した人も減税というご褒美があるわけです。これこそが真の「減税」じゃないでしょうか。
地域のなかには、子育てや介護、まちづくり、環境問題、あるいは東京近郊の耕作放棄地の再生に取り組むなどのNPOが、「新しい公共」を担う活動を展開しています。そのような活動を応援する「寄付」は、これまではなかなか集まらない、広がらないという現状がありました。今回、鳩山首相が打ち出したこの方針は、社会貢献的事業を応援する市民の寄付を後押しするもの、と生活者ネットとしてもおおいに評価するものです。
来年分の所得税から適応する方向とのこと。今後、NPOとしても市民の期待に応えるため、活動が活発になることが期待できます。
生活者ネット事務所の近くにフェアトレードのお店ができました。南阿佐ヶ谷駅の並び10m程度のところにあり、一等地。家賃もそれなりの値段です。店主の小西さんと話が盛り上がったのは、「日本人には寄付文化がない」。外国のように、寄付行為が「市民のたしなみ」になるにはまだまだ時間がかかる。生活者ネットも寄付文化が根付くようあれこれ政策提案をしているが、杉並区NPO支援基金も黙っていてはお金は集まらない。寄付したあと、そのお金がどのように役立ったかを公表することが大事。先日もクローズアップ現代(NHK)「あなたの寄付が社会を変える」で、なぜ日本の寄付金額が欧米と比べて桁違いに低いのか、をC‘S(シーズ)の松原事務局長に訊いていました。
このお店はNPOではありませんが、こういった利益追求型事業ではない社会的事業の場合、家賃の割引や助成、売上に対する税金控除、同時に家主にも所得税控除などを考えないと、せっかくの意思が実りにくいというのが日本の社会です。制度を作るのは政治の役割。NPO法ができて12年後の今回の方針。法が市民社会に本当にフィットしているか、中身の見直し・充実を、今後も図っていく必要があると思います。 区議会議員 市橋綾子