5月初旬に土地の所有者が建設会社へと移りました。この間、住民が保存要望の輪を拡げ、署名数が8,500を超えた段階で区長に手渡し住民の声を届けました(現在署名数は1万を超えています)。まだ結論は出ていませんが、杉並区としても保存の方向で検討を進めているとの情報を得ております。
そんな中、この問題にも関心を寄せられている甲斐徹郎さんをお迎えして、「街に森をつくって住まう」というセミナーを開催しました。甲斐さんは、環境共生住宅を専門分野としてマーケティング・コンサルティング活動に活躍されている方です。
当日は、「体感」のメカニズムを説かれ、気温と体感温度は違うこと、暑い夏も工夫次第で涼しく過ごせるということを、示してくださいました。今、あちこちで試されている「緑のカーテン」の意義を再確認できました。
甲斐さんがコーディネートされたコーポラティブハウス「経堂の杜」「欅ハウス」は、12〜15世帯の人たちが集まり、古い欅の木を残すことから始まり、どんな家に住みたいかというコンセプトづくりや設計・建設に住民が協同して関わってつくりあげたものです。樹々や緑のカーテンなど緑を生かした快適環境の中で、数世代にわたる人の関係性を紡ぎ始めた貴重な実践記録となっています。ビデオに登場する住民の明るい笑顔とお話が印象的でした。
セミナーには、保存の署名運動に奔走している人、50年前の荻窪中学時代に毎日この樹を眺めながら通学していたという同級生たち、杉並のまちづくり活動にかかわっている人……と、さまざまな方たちの参加がありました。セミナーを終えて、この「トトロの樹」が保存出来たら、ぜひみんなで守っていこうと想いを新たにしました。
「トトロの樹」を中心に、緑豊かなまちづくり、そしてそこにつながる人たちの力で新たなコミュニティづくりへ拡げていきたいと、夢が膨らんだセミナーでした。
元杉並区議 樋口蓉子