第2回定例会 一般質問 小松久子  2008 6/16

〔学校図書館の充実について〕

【Q】 ● 学校図書館は本を整理して子どもの読書指導を行うだけでなく、学習全般を総合的に支えるなどの役割を担っていると考えるが、区の認識はいかがか。

    ● 教育課程の中に学校図書館はどのように位置付けられているのか。

        
「子どもの読書活動推進計画」において、学校図書館の充実を重点課題としているが、具体的には何を課題とし、どう充実させていくのか。

        
情報を読み解いて判断し、取捨選択し活用する能力を養うことは、子どものころから始める必要があり、このためには、学校図書館で血の通った図書教育が必要であると考えるが、見解を伺う。

【A】  学校図書館は、学校の教育課程の展開に寄与すること、児童・生徒の健全な教養を育成する事を目的として設置しているものです。

     教育委員会では、学校図書館が、この役割を適切に果たせるよう、様々な価値観や豊かな想像力を涵養する読書活動推進の場として、また、調べ学習における問題解決能力や資料活動能力等の付与にみられるよう、各教科、領域、総合的な学習の時間等における児童・生徒の主体的、意欲的な学習活動充実の場として活用されるようその充実に努めているところです。

     次に、子ども読書活動推進計画において学校図書館の充実を重点課題とした理由ですが、各学校間の取り組みに差があり、必ずしも全ての学校で、ただ今述べた役割が期待通りの成果を挙げていない現状を踏まえ、各学校がその実情に応じ、子どもの読書活動の推進、教育課程での効果的活用ができるよう、計画的な図書の購入など適正な蔵書管理、「学習・資料センター」に向けた取り組み、学校図書館システムの導入、地域の人材を活用した運営充実に取り組むものとしたものです。

     最後に、学校図書館での血の通った図書教育の必要性ですが、ご指摘のとおり、情報を読み解いて判断する力、情報を取捨選択し活用する力を養うことは、子どもたちの教育に欠かせないものです。学校図書館を活用した教育課程の展開に当っては、この点にも十分留意し、図書教育の充実を進めていきます。

 

【Q】 ● 司書教諭の役割と現在の設置状況はいかがか。

        
杉並区では、図書担当教諭を各校に配置していると聞くが、その役割はどのようなものか。司書教諭と図書担当教諭の違い、両者の関係と役割分担について伺う。

【A】  司書教諭は学校図書館法により、12学級以上の学校に置くことが定められており、本区では小学校全校に、中学校は数校を除いてほとんどの学校に配置しています。司書教諭の業務は、学校図書館での図書の選定・収集・整理・管理などです。また、司書教諭とは別に各学校の実情に応じ、図書を担当する教諭を置き、司書教諭のもと補佐的な業務を担っています。

 

【Q】 ● 図書館に常駐の担当者がいないために、昼休みでさえ鍵がかかっている学校図書館があると聞く。このような現状を区は把握しているか。

        
教育立区をめざす杉並区として、専任司書の配置について、区独自で何らかの改善策に取組むべきと考えるが、見解はいかがか。

        
図書ボランティアの活動が生かされるよう、ボランティアをまとめ、専門的見地から指示を出し、仕事をコーディネートする責任者が必要であり、その意味でも専任司書を配置すべきと考えるが、見解を伺う。

        
現在ボランティアで活動している人の中から有資格者を専任司書として雇用したり、司書の有資格者で学校図書館の改善に力を貸してくれる人を広く区民から募るなど、できることから取組むべきと考えるが、区の見解を伺う。

【A】  専任司書の配置について区独自に改善策に取り組むべきとの指摘ですが、区では、司書教諭、図書担当教諭のもと、地域住民等のボランティアとともにその運営の充実に取り組んでいるところです。今のところ、学校図書館に専任司書を配置する考えはありませんが、司書有資格者も含め幅広く人材を募り、ボランティアの活用を図っていきます。

     次に、図書ボランティアの活動が生かされるよう、専門的立場からコーディネートをする責任者が必要ではとのことですが、その役割は、基本的には司書教諭等が果たすべきものと考えます。その役割を支えるボランティアの育成、活用にも努めていきます。

     なお、図書館が昼休みに開館していない学校が一部ありますが、早急に改善を図ります。

   

【Q】 ● 図書館システムでは、地域図書館や他校の図書館とのラインはつながっているのか。システムは日常的に活用されているのか。IT化を進める上でも図書館が機能するためには、人が必要と考えるが、区の見解はいかがか。

 

【A】  ネットワーク化についてですが、現在、地域図書館と各学校間のシステムは接続されていませんが、学校関係者および区立図書館職員で構成する「学校図書館連絡会」において、ネットワーク化に向け、検討を進めているところです。

     学校図書館システムは、子どもたちが本に親しみやすいよう、書名や作者をはじめキーワードによる検索も簡単な操作で行うことができ、多くの学校で活用されています。IT化は、図書館運営の効率化に資するものと考えます。

 

【Q】 ● 中央図書館施策の中に、学区支援担当が置かれている。この役割は何か。これまで述べてきた問題の解決に力を発揮していただきたいが、いかがか。

【A】  学校支援担当は、学校図書館や教師など学校への総合的な支援を行うために、平成19年度に新たに設置したものです。現在、選書や蔵書管理への相談・助言など学校図書館への運営支援、調べ学習に対応した図書資料の整備貸出しなど資料提供の充実、ブックトークなど児童生徒への読書活動支援に取り組んでいるところです。

     ご指摘の学校図書館の運営上の課題についても、学校図書館への運営支援の中で、運営の中心となっている司書教諭、ボランティアを対象に情報提供、研修、講演会を実施することとしています。今後も引き続き、学校図書館の運営を支える人材の資質向上に向け、図書館の専門性を生かし、必要な支援に取り組んでいきます。

 

〔廃プラスチックの資源化について〕

【Q】 ● 「サーマルリサイクル」の本格実施が始まった。ごみ量はどう変化し、区はどのように分析・評価しているか。

【A】  本年4月からサーマルリサイクルの導入を含め、分別方法を変更していますが、4月の平均日量の比較では、可燃ごみは前年比で11%の増、同様に不燃ごみは、78%の減です。また、プラスチック製容器包装、ペットボトルの資源回収につきましても、収集エリアを区内全域に拡大したことにより回収量が大幅に増加しています。

     今後、ごみ量の推移を見守る必要があるとともに、分別や周知の不徹底など、課題も少なくありませんが、一定の収集実績により、資源化を一層推進し、資源循環型の地域社会を実現していくための第一歩を踏み出すことができたと考えています。

 

【Q】 ● 分別変更をまだ理解していない世帯が相当数あるのではと思われるが、区民の周知状況について区はどのようにとらえているか。

        
容器包装プラと製品プラの区別がわからなかったり、可燃か不燃かで迷ったりする場合は多い。複合素材や汚れのついたものの分別基準はどのようなものか。

        
リサイクルの仕組みや、資源化された後の行方についても、区はもっと伝える努力をしていかなければならない。このような周知・啓発について、区はどのように進めていこうとしているのか。

【A】  区民への周知状況ですが、ご指摘の通り、分別方法や収集曜日の変更などについて、区民周知が十分とは言えない実態もありますので、区民の方々の声を踏まえ、今後一層、丁寧な対応を図っていきます。

     次に、分別基準についてですが、プラスチック製容器包装は、識別表示の「プラ」マークにより分別をお願いします。

    食品残渣等について、容易に付着物を除去できないものは可燃ごみに、またプラスチックと金属をいった複合素材の製品など、焼却不適物がある場合には、不燃ごみに分別をお願いしていますが、分別方法については、今後、チラシの配布など、区民の方が判断しやすいよう必要な工夫をしていきます。

     最後に、リサイクル周知については、区民の皆様のご理解をいただき一層の分別、資源化を促進するため、リサイクルの実態や環境面での効果などについて、広報などで積極的に区民の皆さんにお知らせしていきたいと思います。

 

【Q】 ● プラごみが減れば経費は削減できる。また、本来プラ資源化の経費は生産者が負担すべきである。発生抑制と、生産者責任の追及がさらに求められる。区としての取り組みが必要ではないか。

【A】  ごみ減量を進めるうえで、ごみの発生抑制は、重要かつ基本的な事項です。

     現在、プラスチック製容器包装のリサイクルでは、最も財政負担と手間の大きい収集・選別・圧縮・梱包・保管を自治体が担っているので、生産者責任として、製品の材質・成分の表示、廃棄後の引き取りやリサイクルの実施、経費負担など、生産者責任の拡大・強化について、今後とも国等へ働きかけていきたいと思います。

 

【Q】 ● 良質な資源を収集することが必要と思うがいかがか。

【A】  資源の選別作業における残渣量が多くなれば、作業時間やコスト、品質などに大きな影響を与えることになります。

    そこで、資源回収の実態を踏まえ、可能な限り質の高い資源回収が実施できるよう、分別方法の徹底など、区民への周知に努めていきたいと思います。

 

【Q】 ● 一組は市民に対して説明責任を果たすべき。今後、家庭ごみの有料化の検討が始まるようだが、一組に支払っている分担金について区民が理解していることが前提となる。区としても一組について周知を図る必要があるのではないか。

【A】  区としても、東京二十三区清掃一部事務組合が区民や区に対して説明責任を果たし、透明性の高い運営をするよう、引き続き求めていきます。

    また、分担金の仕組みや金額等についても、区民の方々に理解してもらえるよう、積極的にお知らせしていきたいと思います。

 

【Q】 ● 清掃負担の公平性を図るため他区のごみを引き受けている区に対し負担金を支払うことで合意した。今回の区長会の決定を区はどのように評価するか。

【A】  負担の公平の問題については、清掃工場がある区とない区の平準化を図るため、一定の処理基準量との乖離が解消されるまでの間、金銭による調整措置を例外的、限定的に導入する仕組みです。

     負担の公平化については、様々な意見がある中、清掃工場の設置区における負担を緩和する必要があるという共通認識の下で議論が行われ、解決に向けた合意がされたと認識しています。

 

【Q】 ● 区長はインダビューで共同の処理施設や焼却施設縮小の言及されている。これらの区長の発言について改めて考えをうかがいたい。

【A】  ごみ処理政策が各区の実情により対応が異なることは、やむを得ないと考えますが、今後、資源化を推進していくためには、コストや業務効率の面から、地理的条件や基本的な処理方針などで同一歩調を取れる区があれば、共同でごみ処理を行うことも合理的な課題解決の方法と考えます。

     また、清掃工場の建替えにあたっては、安定的な処理を前提に、ごみ量の減に応じて施設規模の適正化を図ることが必要と考えています。

 

〔みどりの確保について〕

【Q】 ● みどりの確保という視点から、「貴重木」の意味をどうとらえているのか。また、すでに指定は解除されたが、西荻北のケヤキの価値をどのように評価しているのか伺う。

        
この木の保存に対して多くの住民や議会からも存続の希望がだされていることを区はしっかりと受け止め、みどりの確保のために最大限の力を尽くしていただきたいが、お考えを伺う。

【A】  何十年という歳月を経て育った巨樹は、区民共有の財産として次世代に残すために所有者と協力して保全していく必要があると考えます。

     西荻北のケヤキは、美しく豊かな自然樹形を持ち、また、区内で1番大きな株立ちの樹木で、杉並区の貴重な財産であると評価しています。

     多くの区民からの要望を受け、区としても、ケヤキの保全については最大限の努力をしていきます。

     当該地は、現在、事業用地であることから、誠意を尽くして所有者と折衝し、樹木を保全する方策を探っていきたいと思います。