上野千鶴子さん(東大教授)VS東京都知事

『ジェンダーフリー』への過剰反応?

東京都国分寺市が昨年3月、都の委託で計画していた人権学習の講座で、人権意識をテーマに初回の基調講演を上野千鶴子・東大大学院教授(社会学)を講師に招こうとしたところ、都教育庁が「ジェンダー・フリーに対する都の見解に合わない」と難色を示し、事実上、講師の変更を迫られたということだ。

都は一昨年8月、「ジェンダー・フリー」の用語や概念を使わない方針を打ち出した。今回の講師変更の理由を都は「上野さんは女性学の権威。講演で『ジェンダー・フリー』の言葉や概念に触れる可能性があり、都の委託事業に認められない」としている(毎日新聞)。
だが、「可能性」だけで拒否の理由とすれば、根拠もなく憶測にもとづいて行動を判断することになる。そうなれば、「『ジェンダー・フリー』の言葉や概念に触れる可能性がある」との理由で、女性学研究者はすべて都の社会教育事業から排除される結果となる。
上野教授は「私はむしろジェンダー・フリーの用語を使うことは避けている。都の委託拒否は見識不足だ」として都知事に対して公開質問状を送った。

生活者ネットは都議会でこの「ジェンダー・フリー」という言葉の禁止を求めた論議の時に、次のような見解を出している。一部の勢力が「体操の着替えを男女同室で行うなど、行きすぎた男女の同一化につながる」ということを持ちだし禁止を迫ったが、「ジェンダー・フリー」をそのように解釈するほうが間違っているのであって、「ジェンダー・フリー」の用語そのものに間違いはなく、禁止する理由にはならないと。
ゆがめた「ジェンダーフリー・バッシング」には徹底的に反論しなくてはならない。

                杉並ネット代表 藤田 愛子