第1回定例会 一般質問と答弁 2026.2.18奥田雅子

Q1-1 区は重層的支援体制整備事業を、高齢者、障がい者、子ども、生活困窮など分野別支援の単なる横断整備としてではなく、「制度の狭間に置かれてきた区民を包摂する仕組み」としてどのような課題認識のもとに位置付けているのか。

A1-1保健福祉部長)重層的支援体制事業は分野別での支援やサービスでは届かない、地域住民の複雑化、多様化した支援ニーズに対応する包括的な支援体制を構築する事業だ。高齢者、障がい者、子どもなど分野を超えた課題だけでなく、NPOや町会等の関係団体、住民同士のつながりなどで浮き彫りになったニーズも合わせて解決するためのしくみとして位置付けている。

Q1-2 「断らない相談支援」は実現しているか。「担当外」として他部署を案内するだけで終わっていないか、区による相談を引き受ける仕組みについて確認したい。福祉、子ども家庭、教育、住宅、就労、集会施設等の関係部署が、定期的継続的に情報共有、協議を行う場が必要だと思うが重層的支援会議がそれにあたるのか。会議のメンバー、頻度、内容を問う。

A1-2保健福祉部長)「断らない相談支援」については単なるワンストップサービスによる方法ではなく、関係部署間の連携を図ることにより実現している。その取り組みの一環として重層的支援会議を設置している。この会議は障がい者、高齢者、子ども、生活困窮、健康、教育、就労、地域コミュニティ、住宅を所管する部署で構成され、相談連携の具体例の共有や、より支援につながりやすい方法の検討などを定期的に行っている。さらに個別の課題について相談支援に特化して話し合うプロジェクトチームを設け、属性を問わない相談支援や相談につながらない場合の対応等について検討し、相談支援を担う部署で共有している。今年度は全体会、プロジェクトチームの会議をあわせて6回開催した。

Q1-3 重層的支援の取り組みによる庁内連携の状況はどう変化しているか。各分野でこれまでの相談支援と変わったことはあるか、あるとすればどのようなことか。

A1-3保健福祉部長)以前はそれぞれの所管で所管事項について対応した後、他の所管に相談を引き継いでいたため、相談者に負担をかけていたことがあった。現在は重層的支援会議や高度困難事例支援会議により、各所管の知識や経験を活かし対応策を共有できるようになったため、どの窓口でも適切に連携できている。

A1-4地域福祉コーディネーターが配置されている西荻窪、荻窪、高円寺ではその役割が発揮できているか。単発支援で終わらない体制が構築されているのか。

A1-4保健福祉部長)西荻、荻窪、高円寺の3地域では、地域福祉コーディネーターが中心となって、アウトリーチによる相談支援として、地域区民センターや地域の居場所で定期的に行う「なんでも相談会」を実施している。そこでは社会福祉協議会がもつ地域のネットワーク等をとおして把握している住民同士の集いやNPOなどの活動の情報を生かし、相談者に合った活動の案内や紹介を行うなど、専門性を発揮している。また地域福祉コーディネーターは各地域で相談者や関係者とつながり、地域全体で相談者を支え、見守る体制ができるよう、働きかけ継続的な支援を行っている。

Q1-5 地域福祉コーディネーターなどアウトリーチの機能をもつ相談機関や人材に寄り、相談窓口で待っているだけでは見えづらいヤングケアラーやひきこもり状態にある人、家族関係が脆弱な高齢者、ゴミ屋敷などの課題を把握し、課題解決を図ると理解するが、どのように相談や支援につなげているか。

A1-5保健福祉部長)相談窓口に来られない人、電話での相談ができない人に対して、地域福祉コーディネーターは日ごろから民生委員や町会役員などの地域関係者と一緒に相談者に会うように努めている。そこでの相談について、支援につながるようにそれぞれの分野の相談につなげ、課題が解決されるよう支援を行っている。

Q1-6 支援を受けた当事者や関わった地域住民、地域団体等から地域福祉コーディネーターの活動についてどのような評価をうけているか。その声を事業改善につなげていくことが必要だが見解を問う。

A1-6保健福祉部長)令和元年から配置している地域福祉コーディネーターについては地域の活動の協力者や参加者から「住民同士出会った人がつながった」、「不安な気持ちが軽減し、おしゃべりのできる場ができた」との好意的な声があった。その一方「地域づくりに向けた支援がどういうものなのか、その効果がわかりにくい」との意見もあった。今後も住民主体の地域の支えあいが展開されるよう、地域の声を大切にしながら地域の状況を分析し事業に反映させていく。

Q1-7 子どもや高齢者、障がい者、生活困窮者、ひきこもりなどの様々な個別支援を通して把握した問題を地域課題としてどのように整理・共有し地域づくり施策や事業改善に反映しているのか。

A1-7保健福祉部長)それぞれの分野で把握した個別課題については、重層的支援会議で共有され、その課題解決について検討している。一方地域ではどのような支援があれば、困りごとのある人が地域で安心して住み続けられるのか等を住民同士で学びあう学習会が開催されるなど、地域関係者や住民が課題を共有しながら互いに思いやり、理解を深める取り組みが生まれている。今後も相談支援機関の連携による検討と地域住民同士の理解を進める取り組みにより、事業をより良いものとするとともに、多くの地域における課題解決で得た経験を生かし、施策の充実につなげていく。

Q1-8 重層的支援の中で地域課題に取り組むNPOや市民団体をどのように把握し、連携しているのか具体的な取り組みを伺う。

A1-8保健福祉部長)本事業の実施目的の一つである地域の支えあいを実現するためには、住民、相談機関だけでなく地域で活動する多様な団体、組織の協力も不可欠である。地域福祉コーディネーターは日ごろから地域で行われる会議やイベント、集いの場などに出席し、地域資源の把握に努めるとともに、地域住民の声を聞きその解決に向けてNPO等に協力を依頼するなど多様な主体に働きかけを行っている。今後も住民同士がつながる地域づくりに向けてそれぞれの特色を生かしながら支援の輪を広げていく。

Q1-9 ケア24に配置されている生活支援コーディネーターと地域福祉コーディネーターと重なる機能を有していると感じるが、それぞれの位置づけや関係について伺う。

A1-9保健福祉部長)生活支援コーディネーターは区内全域の第1層協議体と各ケア24の担当区域に組織された第2層協議体を掌握し、高齢者等の通い場づくりとその活動支援等の役割を担っている。また地域福祉コーディネーターは区内3地域に配置しており、区民の分野横断的な困りごとや悩みごとを受け止め、区の所管や関係機関・地域団体につなぐほか、地域住民による支えあいの仕組みづくりを推進する役割を果たすものだ。このように両者は掌握する区域ややっく割に違いはあるものの、いずれも共生社会に向けた地域づくりの要となる存在であり、相互に連携協力が不可欠であると考える。

Q1-10地域づくりにおいて当事者が参画するという視点も大事であり、支援を受ける立場だった人や、困難を経験した人が、その先担い手や参加者として関われるように意識していくことは重要と考えるがいかがか。

A1-10保健福祉部長)共生社会の実現を目指し区としても支援の受け手と担い手を区別するのではなく、双方が地域づくりに主体的に参画することが重要であると考える。そうした視点に立って、認知症の人の意見を聞きながら認知症施策を進めたり、育児・介護経験者による地域交流会を開催したりする取り組みを行っており、今後も意識的に様々な当事者参画の機会と場の充実に努めより良い地域づくりにつなげていく。

Q1-11 地域共生社会の実現に向けて区の意気込みを伺う。

A1-11区長)地域共生社会の実現とは、年齢や障がいの有無、国籍や生活環境の違いにかかわらず、すべての区民が地域で支えあい、安心して自分らしく暮らし続けられる社会をつくることと考える。人口構造の変化や家族形態の多様化が進む中、従来の制度や分野ごとの支援だけでは、複雑化・複合化する地域課題には十分に対応することがなくなっている。そのため、区だけではなくNPOや町会等の関係団体と協働しながら地域の力を結集して包括的に支えていく仕組みが大変重要になっている。こうした認識のもと、区は誰もが気軽に立ち寄り、交流し必要に応じて相談につながる地域の居場所づくりを進めている。具体的にはNPO等の関連団体と連携し、子どもから高齢者まで誰でもが参加できる「きずなサロン」や「子ども食堂」などを整備することにより、多世代交流を支援している。

また区では障がい者・高齢者・子ども・生活困窮など、これまで分野別で行ってきた相談機能を連携させ、ひとつの相談から複数の課題に対応できる体制づくりとして、重層的支援会議を行うなど、切れ目のない相談支援の強化に取り組んでいるところだ。今後も区民ひとり一人が安心して暮らし続けられる地域共生社会の実現に向けて一層尽力していく。