第1回定例会 一般質問 2026.2.18 奥田雅子
地域共生社会の実現に向けた包括的支援体制について
シスターフッド杉並の一員として、通告に基づき「地域共生社会の実現に向けた包括的支援体制について」質問いたします。
私たちが暮らす地域社会には、高齢者や障がいのある人、子ども、外国人、ひとり親、生活困窮者など、様々な人々が混ざり合って暮らしています。社会的に弱い立場の人には支援が必要ですが、公的制度だけでニーズが満たされているかと言えば、そうとは限らず、インフォーマルなサービスと組み合わせて生活を成り立たせている人も少なくありません。しかし、そのような立場の人たちも支援されるだけの存在ではなく、それぞれが固有の力を持つ助け合える存在であり、その力を発揮できる環境をつくること、全ての人が地域の一員として尊重され、排除されることなく暮らし続けられる事が重要です。
人々は縦割りで暮らしているわけではないため、制度に人を当てはめるのではなく、人に制度を合わせる運用が求められています。そういう意味で、縦割りを超えた包括的支援体制の構築に期待し、その具体化の手段としての重層的支援体制整備事業には大いに興味があるものの、なかなか事業全体が分かりにくくその行方が気になるところです。
この重層的支援体制整備事業の柱は1.相談支援、2.参加支援、3.地域づくりに向けた支援と認識していますが、この3つ目の地域づくりの層が厚くなればなるほど共生社会の土台が盤石になっていくと考えています。今の日本社会に溢れている自己責任論や効率優先、競争原理の考え方は共生社会とは相容れないものであり、声を出せない人は置いてきぼりにされてしまいます。全てを包摂できる社会は誰にとっても暮らしやすい社会だと思いますし、それを理想論にしてはいけないと思います。昨年の5月に厚労省が公表した「地域共生社会の在り方検討会議中間とりまとめ」においても様々な角度から包括的支援体制の構築に対する示唆があり、その冒頭において、包括的支援体制は福祉分野を超えた体制の構築や地域との連携・協働が不可避であるという意識・認識の共有が必要だと指摘しています。私は地域の仲間と空き家を活用した居場所事業とちょっとした困りごとをお手伝いする有償ボランティア活動に関わっていますが、地域住民の顔の見える関係づくりやケア24や保健センター、町会・自治会ほか関係機関との連携の必要性を実感しています。歩いて行けるところに気軽に立ち寄れる常設の拠点が区内に点在しているとよいと常々考えているところです。
包括的支援体制の構築に向けたアプローチのひとつとして取り組まれている杉並区の重層的支援体制整備事業を軸に今と今後について質問いたします。
- まず最初に個々への対応について伺っていきますが、杉並区は、重層的支援体制整備事業(以下重層的支援という)を、高齢者、障害者、子ども、生活困窮など分野別支援の単なる横断整理としてではなく、「制度の狭間に置かれてきた区民を包摂するための仕組み」として、どのような課題意識のもとに位置づけているのか、区の基本認識を伺います。
- 担当課がわからない、複数分野にまたがる相談はよくあると思います。以前視察した座間市では、窓口のサインに大きく「お金、仕事、家族、住まいなどに関すること(断らない相談支援)」とあってわかりやすくて、面白いと思いましたが、杉並区では「断らない相談支援」は実現しているのでしょうか。「担当外」として他部署を案内するだけで終わっていないか、区による相談を引き受け続ける仕組みについて確認します。
- 重層的支援では、分野横断の連携が不可欠ですが、福祉、子ども家庭、教育、住宅、就労、集会施設等の関係部署が定期的・継続的に情報共有・協議を行う場が必要だと思いますが、重層的支援会議がそれにあたると捉えてよいのでしょうか。メンバー、頻度、内容などについて伺います。
- また、重層的支援の取り組みによる庁内連携の状況はどう変化しているか、各分野でのこれまでの相談支援と変わったことはあるか、あるとすればどのようなことか伺います。
- 区では地域福祉コーディネーターを2019年度から配置し、来年度は一人増えて4人になるということで、アウトリーチ、伴走支援のエリアが拡大することを歓迎しますが、全域に配置するには人材の確保や育成が課題との認識がわが会派の代表質問の答弁で示されました。7圏域に各一人と認識していますが、コーディネーターの役割として、アウトリーチ等により分野を問わない相談を受け止め、地域活動や関係機関につなぐとともに、住民と一緒に地域が抱える課題に取り組むなど、住民主体の地域づくりに向けた支援をおこなう「地域支え合いの仕組みづくり」を推進することとあります。既に配置されている西荻、荻窪、高円寺ではその役割が発揮できているのか、単発支援で終わらない体制が構築されているのか、代表質問でもご答弁いただいていますが、改めて伺います。
- 区では、地域福祉コーディネーターなどアウトリーチの機能を持つ相談機関や人材により、相談窓口で待っているだけでは見えてきづらいヤングケアラーやひきこもり状態にある人、家族関係が脆弱な高齢者、ごみ屋敷などの課題を把握し、課題解決を図ると理解していますが、どのように相談や支援につなげているか伺います。
- 支援を受けた当事者や関わった地域住民、地域団体等から地域福祉コーディネーターの活動について、どのような評価を受けているでしょうか。実行計画では相談件数が掲げられておりましたが、数よりも当事者が相談しやすかったか、尊厳を傷つけられなかったか、支援が生活の改善に繋がったと感じているかなどの評価が重要で、その声を事業改善につなげていくことが必要と考えますが区の見解を伺います。
- ここからは、地域づくりについて伺っていきます。重層的支援は地域福祉コーディネーターが孤軍奮闘する話ではなく、いかに地域の活動団体や資源と繋がっていくかが肝だと考えます。
子どもや高齢者、障がい者、生活困窮者、ひきこもりなどの様々な個別支援を通して把握した課題を地域課題として、どのように整理共有し、地域づくり施策や事業改善に反映しているのか伺います。
- 杉並区にはこども食堂や居場所づくり、介護者支援、ひとり親支援、若者支援など、地域課題に取り組むNPOや市民団体が存在していますが、重層的支援の中で、こうした団体をどのように把握し、連携しているのか具体的な取組があればご紹介ください。
- また、同時に地域の担い手への支援も必要だと考えます。地域や住民の生活を豊かにするために自主的に活動する団体等が多様にあることが地域を強くし、豊かにすることにつながると考えています。しかし、運営に苦慮している現実も少なからずあると認識しており、地域住民の善意に甘んじることなく、持続可能な運営を区としても応援していくことを地域づくり政策に位置付け、区が場所の提供や活動資金の一部を助成するなどの支援を実施していただけるよう、要望しておきます。
- 杉並区では重層的支援に取り組む以前より、生活支援体制整備事業が進められており、ケア24が中心となって推進してきた第2層協議体の取り組みがあります。ケア24に配置された生活支援コーディネーターも地域福祉コーディネーターと重なる機能を有しているように感じています。それぞれの位置づけや関係について区の基本認識を伺います。
- 地域づくりにおいて当事者が参画するという視点も大事であり、支援を受ける立場だった人や困難を経験した当事者を支援される側として固定化せず、その先、担い手や参加者としてかかわれるように意識していくことは重要だと考えますが、区の考えをお聞きします。
- 孤立や孤独は、制度の隙間で深刻化します。
重層的支援は、これまで見えないものとされてきた課題を見える化する取り組みだと思っています。地域の中に人とひと、人と情報がつながれる拠点が点在し、専門職と住民が緩やかにつながるしくみを充実させ、それぞれの拠点が地域の中の問題は地域の中で解決できるセーフティーネットとの役割を果たせるとよいと考えています。2040年に向け社会構造が大きく変化していく中で、地域の中のつながりを再構築していくことが必要であり、これまでの延長線では機能しなくなることは明らかです。地域共生社会は「弱い人をたすける社会」ではなく、誰もが排除されず、尊厳をもって共に生きられる社会だと思います。
最後に地域共生社会の実現に向けて区の意気込みを伺って質問を終わります。
