「障がい者とともに」。インクルーシブな学校、社会を考える
11月の杉並ネットお話サロンのテーマは「障がい者とともに」。杉並区内で障がい者のグループホームを運営し、ご自身も障がいのある家族と暮らしている田崎光哉さんにお話をうかがいました。
ダウン症の子どもは小学校、中学校とも地元の普通学級に通い、今は区内の都立高校に通っています。父親として子どもの就学に際して教育委員会や校長などと交渉したことが、その後の活動のきっかけになったようです。他の障がい児の保護者からの相談にのり地域の普通学級に入れる手伝いをするのが田崎さんの役割となりました。杉並区内だけでなくこれまで50人の障がい児が普通学級に入れるよう支援してきたそうです。
2014年に日本が国連の障害者権利条約に批准してから、建物や施設のバリアフリー化が急速に進み、さまざまな場面で「合理的配慮」が見られるようになりました。でも普通学級に障がい児を受け入れるインクルーシブ教育に関しては進展が見られません。それどころか「特別支援学校」「特別支援学級」が重視され「インクルーシブ」よりも「分離」がいっそう進んでいるのが日本の現状です。
昨年、国連は日本に対し特別支援教育を続けているのは「条約締結国として恥ずべき行為」とまで言い、中止を勧告しました。けれど文科省は「インクルーシブ教育『システム』を進める」という言い訳のような論を立て、特別支援を求める保護者の方にだけ目を向けています。
そんな状況を、経験とパワーを駆使して乗り越えてきた田崎さんが運営しているグループホームが男女混合と聞いて、参加者一同おどろきました。東京でもここだけだそうです。さぞ運営上の苦労があるのだろうと思いますが、ここまでで時間切れ。そのあたりの話はまた次の機会にお聞きしたいと思います。(杉並・生活者ネットワーク事務局長 小松久子)