序盤の「TPP(環太平洋戦略的経済連携協定)参加検討をめぐる議論について」は、今まさに連日の報道で耳目にするホットなテーマですが、この問題が突然浮上してきた背景を、政治状況、経済界の思わく、また日本の農業の現状など多方面からのアプローチで分析されました。TPPが施行されれば、都市に暮らす消費者にこそ「食」の大転換をもたらすものになると指摘されました。
自給農業を捨て「売れる」作物づくりの農業に転換したフィリピン、ネグロス島が国際相場の変化によって飢餓の島になった例や、国土保全と環境への貢献という観点で農業に手厚い保護政策を採るフランスの例などが紹介されました。
日本の農業を憂いつつ後半の「日本の食構造を改めて考える」では、加工・外食などの80兆円食品市場に対して、国内農業販売額はその1/10という数字に唖然とし、改めて消費者として何ができるかを考えさせられました。若者が都会から山間地に移住し、「食・エネルギーの地域自給」をめざして、林業や農業を始める動きがあるという話題にうっすらと希望をつなぎました。
最後のまとめでは「持続可能な食べ方・暮らし方」を今一度考えることが必要であり、日本が農業を捨てないためには、時期としてギリギリのところにいることを実感させられました。旬のもの、近くでとれるものを自分で調理して食べる、というシンプルな暮らしを見直す時期なのだと思います。 杉並ネット会員 鹿取愛弓