第1回定例会質問と答弁 2018.2.15そね文子
<教育機会確保法と不登校の子どもへの支援について>
【Q1】〇教育機会確保法の意義について、教育委員会の見解を伺う。
〇同法及び国の基本方針に基づく取組をどのように進めてきたのか伺う。
【A1:教育長】 昨年2月に施行された教育機会確保法は、全ての児童生徒が学校で安心して教育を受けられる環境の確保を前提としつつ、不登校児童生徒が学校以外の場において行う多様で適切な学習環境の重要性とともに、無理な通学はかえって状況を悪化させる懸念があるため、不登校児童生徒の休養の必要性が明記されたことに、大きな意義があるものと考える。
こうした同法の施行等を踏まえ、教育委員会としては、平成29年度に、不登校問題をはじめとした教育相談体制を充実・強化するため、学校や保護者、関係機関と連携した支援の要となるスクールソーシャルワーカーを増員するほか、適応指導教室に通う児童生徒の社会的自立等を助長するため、新たに宿泊体験事業を実施するなどの取組を行い、一定の成果を挙げている。また、いじめ等を許さない学校づくりに関しても、各学校のいじめ防止対策を一層推進するため、教育委員会の付属機関として「いじめ問題対策委員会」を新設したところである。
今後とも、各学校と十分連携と図りながら、同法及び同法に基づいて国が定めた基本指針等の趣旨を踏まえた取組を着実に進め、不登校児童生徒及びその保護者に対するきめ細やかな支援に努めてまいりたい。
【Q2】〇教職員や不登校児童生徒とその保護者に「不登校は悪いことではない」との考え方を伝える必要があるが、見解を伺う。こうした考え方は支援に関わる民生委員・児童委員や子ども家庭支援センター職員等とも共有すべきと考えるがいかがか。
〇これらの不登校支援に関わる教職員や関係者に対して、研修を行うことも有効であると考えるがいかがか。
【A2:教育次長】まず、教育機会確保法に関わる教員研修については、同法施行前の平成28年12月から施行後の昨年6月にかけて、校長や生活指導主任等の教員を対象に、文部科学省のフリースクール等担当官や特別支援教育課で組織する不登校相談支援チームの専門職員を講師とする研修を行い、ご指摘の「不登校は悪いことではない」という考え方を含め、理解と共有を図っており、引き続き取り組んでまいる考えである。
こうした理解と共有を一層広げ、深めることの必要性を十分認識しており、今後、機会を捉えて民生委員・児童委員や関係機関等への働きかけ等を進めてまいりたい。なお、各学校及び教育委員会では、これまでも「不登校は悪いことではない」という姿勢を明らかにしながら、不登校児童生徒とその保護者への支援に当たっているところである。
【Q3】〇適応指導教室の名称について、国の考え方を踏まえて「教育支援センター」としてはと考えるがいかがか。
〇適応指導教室の設置目的について、国の基本指針を参考に見直すことが望ましいがいかがか。
〇適応指導教室に登録している児童生徒数を伺う。
〇適応指導教室に希望者が入室できないことがあると聞くが状況を伺う。新たな教室の整備が必要と考えるがいかがか。
【A3:教育次長】まず、適応指導教室の名称については、「杉並区適応指導教室運営要網」において、「さざんかステップアップ教室」と位置づけており、パンフレット等でもその名称をメインに記載するなど、一定の定着が図られているものと考える。従って、直ちに国が示す「教育支援センター」とする考えはない。
一方で、同要網に規定する適応指導教室の設置目的については、ご指摘のとおり、国が定めた基本指針の考え方と一致していない部分もあるので必要な見直しを検討していく。
次に、適応指導教室に登録している児童生徒数だが、小学生対象の1教室は、平成28年度が23人、平成29年度が1月末現在で20人。中学生対象の3教室は、合計で平成28年度が64人、平成29年度が同じく66人であり、この2年間は全体としては同規模で推移している。こうした中で、教室によっては、入室希望に対して受け入れが難しくなってきている状況もあるので、今後の需要動向に応じて、新たな教室整備を含めた必要な対応を検討してまいりたい。
【Q4】〇区立小中学校の児童生徒が不登校に至った要因をどのように分析しているのか伺う。
〇不登校児童生徒が登校した際に、安心して過ごせるよう、保健室や相談室、学校図書館等を活用すべきと考えるが、現状について伺う。
【A4:教育企画担当部長】 区立小中学校の児童生徒が不登校に至る主な要因は、家庭環境や友人関係等であり、情緒不安定などの本人に起因する要因が複雑に絡み合っているケースも増えてきている。
これらの不登校児童生徒が自主的に登校した際の対応については、各学校において、学級担任が核となり、養護教諭やスクールカウンセラー等と相談・連携しながら、ご指摘の保健室や教育相談室、学校図書館などを活用して、当該児童生徒が安心して過ごすことのできる居場所を提供しているところであり、今後ともこうした適切な対応が図られるよう、各学校に働きかけてまいりたい。
【Q5】〇不登校児童生徒に対する組織的・計画的な支援に資するため、国の基本指針に示された「児童生徒理解・教育支援シート」を作成すべきと考えるがいかがか。
【A5:教育次長】 現在、区立中学校においては、不登校児童生徒一人ひとりに対する適切な支援を図るため、個別のシートを作成し、活用を図っている。
今後、国が示すシートの内容等と現在使用しているシートを比較分析の上、取り入れるべきものがあれば様式を改善し、更なる支援の充実につなげてまいりたい。
【Q6】 〇不登校児童生徒の親の会に対する支援も行ってもらいたいがいかがか。また、不登校児童生徒の保護者に、親の会を周知してほしいがいかがか。
【A6:教育次長】 ご指摘の親の会については、特別支援教育課が事務局となり、保護者同士の情報交換や交流、事務局からの不登校関連情報の提供などを行うため、済美教育センターの会議室で定期的に開催している。
この間、親の会から特段の意見・要望は聞いていないが、ご指摘のような講演会の開催や、子供が義務教育を終了した親同士が自主的に集まっている組織との連携等を含め、改めて、関係者に今後の活動のあり方等に関する考えを伺った上で、必要な対応を図っていく。
また、親の会の周知は、教育相談やスクール・ソーシャル・ワーカーを通じて適宜行っているところである。
【Q7】 子どもが不登校という職員がいると思うが、このような事情を抱えた職員には、何らかの支援はあるのか。また、実際行った支援の具体的な事例について教えてほしい。
【A7:総務部長】 職員一人ひとりが活き活きと働くことができるよう、区においては、平成28年4月に策定した「子育て支援・女性活躍推進行動計画」に基づいて出産や育児、介護等の支援を行う環境づくりに取り組んでいるところである。
特に、ご指摘のような事情を抱える職員については、状況に応じて、超過勤務が生じないような配慮や人事異動といった対応を図るほか、人事課内に、子育て相談員を配置しながら、様々な相談に応じる等の支援を行っているところである。
さらに、子のための看護休暇や介護休暇制度については、国等との均衡を図りつつ、柔軟な運用に努め、働きやすい環境づくりを進めている。
お尋ねの具体的な事例については、子どもが不登校で、常時、介護が必要な職員に、1年間の介護休暇を認めたケースもあった。z
区においては、引き続き、職員だれもが、仕事と家庭の両立ができる働きやすい職場づくりに努めていく。