第3回定例会一般質問  2014.9.12 市橋あや子

私は、区議会生活者ネットワークの一員として
1.2025年を見据えた介護保険制度のあり方と地域包括ケアシステムについて
2.善福寺公園「(仮称)みんなの夢水路」実現のための基盤整備としての洪水対策について質問します。

田中区政2期目に向けた所信表明で、区長は地域包括ケアの推進する必要性を述べられ、ケア24に(仮称)地域づくり推進員の配置、地域資源の開拓や医療と介護の連携、認知症対策、生活支援の充実を図るとされました。また、地域包括ケアのバックアップ機能と生活相談、就労・自立支援機能を併せ持つ総合サポート拠点の整備が打ち出されました。私どももその実現に期待する立場で、2025年を見据えた介護保険制度のあり方と地域包括ケアシステムについて伺います。

団塊の世代が75歳以上になる2025年には、65歳以上の高齢者人口は3657万人、高齢化率は30%とピークを迎えるとしています。この2025年問題を見据え、6月18日、「地域における医療及び介護の総合的な確保を推進するための関係法律の整備等に関する法律」(医療介護総合確保法)が成立し、サービスや負担が大きく見直されることになりました。特に介護保険法関係では、低所得高齢者の保険料軽減の拡充はあるものの、一定の所得者の自己負担率を1割から2割へ、特養への新規入所を原則要介護3以上に、要支援の訪問介護、通所介護を自治体に移すなど介護保険制度ができて以来の大改正となっています。医療、特に介護という、暮らしに深く関わる制度・しくみが、改正のたびにより複雑に、市民に見えにくくなり、市民が意見を出しにくい構造になっていくことは大きな問題であることを指摘しておきます。このような問題意識を持ちつつ、「介護保険事業計画」「地域包括ケアシステムづくり」「介護予防・日常生活支援総合事業」「協議体・生活支援コーディネーター」について伺います。

まず、次期第6期介護保険事業計画策定に向けて2点伺います。
今回の介護保険制度改正にいたる経緯を振り返ってみますと、2000年に、介護の社会化を謳った介護保険制度がスタートし、2005年までは5年を1期、その後は3年を1期とする介護保険事業計画を策定し、3年ごとに見直しが行われてきました。保険料は3年ごとに事業計画に定めるサービス費用見込み額等に基づき、3年間を通じて財政の均衡を保つよう設定され、そのサイクルに合わせ、これまで3回の大きな法改正が行われてきました。第5期である今期2011年は、高齢者の尊厳の保持と自立生活の支援の目的のもとで、可能な限り住み慣れた地域で、自分らしい暮らしを人生の最期まで続けることができるための、地域の包括的な支援・サービス体制「地域包括ケアシステム」の実現に向けた取り組みが目指されました。そして次期の第6期は、2025年を見据え、第5期で開始した地域包括ケア実現のための方向性を継承しつつ、在宅医療介護連携などの取り組みを本格化していくもので、中長期的な視野に立った施策の展開を図る、としています。

そこで、1点目。第6期介護保険事業計画策定を前に、区として今期介護保険事業計画をどのように総括されているのでしょうか、伺います。

2点目。7月15日、厚労省が発表した2013年の国民生活基礎調査から、同居家族が主に介護を担う世帯のうち、介護される人だけでなく介護する人も65歳以上といういわゆる老々介護の世帯の割合が5割を超えた、との報道は記憶に新しいところです。また、一人暮らしも急増すると言われており、より一層地域でささえあう体制づくりが求められています。2025年問題を見据え、6期介護保険事業計画を策定するにあたり、区はどのような課題があると認識しておられるのか、見解をうかがいます。

次に「地域包括ケアシステムづくり」について伺います。
当区では、2011年からの第5期の介護保険事業計画で「努力義務」とされた「地域包括携ケアシステム構築」に昨年度から取り組まれ、現在、成田、高井戸、方南、という特色の異なる3つの地域で体制づくりの取り組みを進めてこられました。2015年改正介護保険制度の主な改正点としても、この地域包括ケアシステムの構築が費用負担の公平化とともに挙げられています。この「地域包括ケアシステム」の取組みについて2点伺います。

1点目。モデルの3地域では地域づくり担当を置いてケアシステム構築に取り組んでおられますが、先日、内部検討会「第1回地域包括ケアシステム検討会議」が開かれたと聞いています。その会議はどのようなものだったのでしょうか。地域づくり担当を置いた成果がどのように報告されたのでしょうか、また、今後その成果をどのように杉並全域にひろげていくのか伺います。

2点目。3つのモデル地域ではケア24が中心となってケアシステムづくりに取り組まれていますが、ケア24のすべてが、モデル地域のように地域とつながりがもてるところばかりとは限りません。ケア24のこれまでの仕事は限られた体制の中で主にケースワークに向けられ、地域住民を巻き込んだ「地域福祉のまちづくり」を担いきれていないのが実態のように思えます。 そのような中で、後でも触れますが、この度厚労省が発表した「介護予防・日常生活支援総合事業ガイドライン(案)」の中で参考となる実際の事例として杉並区の事例が紹介されています。
地域包括支援センター型、住民・行政等協働型、社会福祉協議会型、中間支援組織型と並んでNPO型の事例として、成田東の地域での取り組みが取り上げられています。町会・商店会・いきいきクラブ・民生委員・福祉NPOなど地域の様々な主体によるネットワーク組織がケア24と連携をとりながら地域のケアシステムをつくっている事例です。介護者サポートの活動をしているNPOが中心となり、ボランティア養成講座を行って担い手づくりをしながらコミュニティカフェを運営し、様々な企画も行い地域の居場所をつくっています。要支援の人たちの閉じこもりを防ぐための日帰り外出ツアーなども行われ、またそこを拠点に、地域にある社会資源をさがしてマップを作るなどさらに輪を拡げています。定期的な地域運営会議を開催し、関係者による地域の情報交換・意見交換を行い、地域課題の解決に向けて動き出しています。そしてこのような動きが他の地域にも波及し始めています。このように地域資源とケア24が連携してケアシステムづくりに取り組んでいる、といった事例をもう一つのモデルとして注目し、今後の施策に活かしていってはいかがでしょうか、伺います。

次に「介護予防・日常生活支援総合事業」について1点伺います。
これまで介護保険制度は全国一律の介護サービスの提供を謳ってきましたが、法改正により来年4月から、比較的介護の必要性の少ない要支援者の訪問介護・デイサービスを介護保険の予防給付から外し、それらは自治体の事業として移管されます。今後、自治体の裁量で地域の資源を活用して自由なサービスや料金が決められることになり、生活支援サービスの充実や高齢者の社会参加が介護予防につながると期待されます。ニーズに合った多様なサービス主体が生活支援サービスを担うことになるため、自治体として、その担い手となる地域の社会資源についての現状調査を実施すること、多様な主体が担う部分についての基準や報酬単価をどのように設定していくのか制度が始まる来年の4月に向けて準備を整えることが求められます。そこで伺います。
新たな取り組みとなるこの「介護予防・日常生活支援総合事業」を区はどのように進めていかれるのでしょうか、お答えください。

この項目の最後の質問「協議体・生活支援コーディネーター」について伺います。
高齢者のニーズとサービスの供給の調整をする「生活支援コーディネーター」が介護予防の要であると考えます。新しい「介護予防・日常生活支援総合事業」では介護予防・生活支援サービスの体制整備のために「生活支援コーディネーター」と「協議体」の設置を求めらていますが、その役割を区はどのように考え、設置していかれるのでしょうか、伺います。
以上、さまざま質問をしてまいりました。

今年6月20日、来年度の介護保険制度改正に向けて、さわやか福祉財団など14団体で構成する「新地域支援構想会議」が、介護予防訪問介護、デイサービスが地域支援事業に移行することに対し、「新地域支援構想」としてまとめたものが厚労省に提出されました。「新たな地域支援事業は、地域住民・市民が主体的に担い、助け合い、ささえあう活動に移行すべき」と提言され、今回の地域支援事業の改編は高齢者の自立支援や家事援助に留まらず、高齢者と地域社会との関係の回復・維持の働きかけのしくみにいかに位置づけるかが重要なポイントだとしています。これは、「要支援者へのサービスが自治体の事業に移行したら当事者も地域社会も元気になった」といえるようなしくみを地域住民のネットワークを使ってつくりましょう、ということに他なりません。当区においても、NPOやボランティア団体の活用など、地域資源を生かした取り組みが成されることに期待します。

2つ目の項目、善福寺公園「(仮称)みんなの夢水路」実現のための基盤整備としての洪水対策について質問します。

今回の杉並区総合計画・実行計画の改定案に、憩いの水辺創出~「(仮称)みんなの夢水路」整備が新規計画事業として打ち出されました。

この事業は、この7月に井荻小学校の子どもたちが田中区長に面会し、都立善福寺公園の上池と下池を結ぶ水路を水に親しむと書く親水エリアとする「夢の設計図」を手渡し、区の理解と協力を求めたことの成果です。そして遡れば2012年、基本構想スタートの年に区が募集した小中学生作文コンクールで区長賞を受賞した同じ井荻小学校当時6年生の作文「10年後の杉並区の夢」にも善福寺川の清掃活動と川をきれいにしたいとの願いが示されています。

井荻小の子どもたちは5、6年生になると週に1度川の周辺や河床の清掃活動、水質調査を行うなかで、都市河川の構造、つまり雨が降ると雨水は下水管に入り、ある一定量を超えるとお風呂や台所、トイレの汚水と一緒になった雨水が川に流れ出ることを知ります。汚水交じりの雨水を川に入れないためにはどうしたらよいか意見を出しあい、雨水を浸透させること、溜めることが大事であることに気付き、地域の人に呼びかけたい、とさまざまな機会をとらえて活動報告を行っています。このような活動をしてきた子どもたちが「きれいな川で遊びたい」という思いで提案する「夢の設計図」については、これまで神田川水系を舞台に活動する川の仲間たちと「川を地域のオアシスに」を合言葉に活動してきた私としても、共感するところ大であり、また「(仮称)みんなの夢水路」の事業を歓迎し、大いに期待するものです。

しかし、その一方で、一昨日も夕方からの豪雨により道路冠水があったと報告がありましたが、集中豪雨のたびに不安を抱えて暮らしている区民がいることを忘れてはなりません。そこで、この項目では「洪水対策」と「善福寺川整備工事」について伺います。まず洪水対策として4点伺います。

「今年の夏は異常気象だった」と気象予報士が言っていましたが、当区においても6月24日に降った雹をはじめとして、7月の集中豪雨により水害が発生しました。被害に遭われた方にお見舞いを申し上げます。
1点目として、当区のここ数年における善福寺川沿川の水害発生と被害状況を伺います。

2点目。2005年9月4日に当区を襲った集中豪雨以降、当区としてはどのような水害防止策をとられてきたのでしょうか、伺います。

3点目。善福寺川の原寺分橋下には武蔵野市側からの雨水の吐け口があり、雨天時には大量の汚水交じりの雨水が川に吐き出され、川の増水に拍車をかけています。武蔵野市は下水道合流改善策として、8,500立方メートルと1,200立方メートルの雨水貯留槽を設置するとし、今年3月完成予定でしたが完成が遅れているようです。その理由はなにか。武蔵野市からの報告はあったのでしょうか、お訊ねします。

4点目。大雨が降ると、川があふれる不安といつも隣り合わせで生活をされている沿川住民の方から、浚渫、これは川の底をさらって土砂などを取り去る土木工事のことで、河川の流量を確保して治水を目的に行われるものですが、この浚渫を望む声があがっています。
先日、善福寺川の下池から荻窪団地、現在はシャレール荻窪ですがそこまで川の脇を歩いてみました。これまで何気なく歩いた時には気づきませんでしたが、確かに護岸近くや中央部に土砂が堆積している箇所が見受けられ、また、川床も起伏があり、川の流れを阻害していると思しき箇所がありました。現在、都立善福寺川緑地公園内のなかよし広場で建設中の雨水調節池の完成予定は2015年度末です。また、下流から東京都が行っている降雨50㎜対策工事は、1年間に100m進むのが精いっぱいと聞いています。そのほかにも善福寺川源流域から3.4kmに及ぶ一時雨水貯留管の埋設工事は今年度の着工と聞いていますが、着工から完成まで8年かかる予定です。これらに共通しているのは川の土木工事というものは時間がかかることです。今回、総合計画・実行計画改定案に「水害多発地域の対策を推進」も新規計画事業に加わり、水害対策により一層力を入れていかれる区の姿勢に期待をするものですが、これも3年プログラム、10年プランとなっており、川が氾濫する不安を抱える沿川住民の皆さんがこれらと比べて短期間でできる浚渫を望むのはごく当然のことと言えます。浚渫に対し、区の見解をうかがいます。

続きまして善福寺川整備工事について2点伺います。
1点目。先ほども触れた、善福寺川の下流から降雨50㎜対策の工事は、現在、大宮八幡宮の下、宮下橋から上流に向かって工事が行われており、昨年4月と今年4月に東京都が善福寺川整備工事の説明会を開きました。私も参加しておりましたが、確認の意味で伺います。参加した住民の方からどのような意見や質問が出されたのか、お答えください。

1997年の河川法改正により、「治水」、「利水」に加え「環境」の視点が加わり、河川整備計画には住民の声を反映する手続きが導入されました。2回行われた東京都の説明会では、住民側から樹木や生き物の質問が出たのに対し、都から環境局の出席はなく、参加者の不満が残る説明会だったという感想を持ちました。ただ、後日、現地で住民の方に伐採や剪定する樹木について話し合いの場が持たれ、移植する木、伐採、剪定する木の合意ができたと聞いています。住民の参加を保障するには、情報公開と早期の計画案の段階での情報の提示が不可欠です。今後、工事終了後の樹木を植え直す「復植計画」と「樹木の成長予測」を住民に知らせることを区としても都に要望していただきたいと思います。

そこで樹木に関連して2点目の質問です。
善福寺川尾崎橋あたりは桜の名所として毎年大勢の方がお花見に訪れます。この桜並木は1974年、杉並高校の南側の善福寺川の川沿いから尾崎橋に向かって10年もののソメイヨシノを1年、また1年と植樹していき、いまの景色ができたという話を、当時東京都の職員で桜の木を植えたご本人から伺ったことがあります。1974年から40年が経ち、桜は今年で50歳になります。ソメイヨシノの寿命は人間と同じと言われているので60~80年。近い将来更新時期が来ます。今後、上流域に50㎜の整備工事が進んでいけば、当然桜の名所尾崎橋周辺にも工事はかかり、桜の木の伐採が想定されます。伐採してから植えるのではなく、整備工事の時期と桜の更新時期を見計らいながら、例えば管理用道路の外側に後継ぎの苗木を植えるといった「後継樹計画」をたて、区民にも事前に提示しながら工事に臨むよう、区として都に求めていただきたいと考えますが、いかがでしょうか、伺います。

以上、洪水対策に関連して質問をしてまいりました。ここで、「東京河川改修促進連盟促進大会」での決議をご紹介します。この「東京河川改修促進連盟」は、河川の氾濫、洪水による災害を防止し区民の福祉を増進するため、河川事業の早期達成を要望し、その実現に協力することを目的に賛同する、杉並区も入った14区21市2町1村によって組織され、これらの自治体の首長、及び議員が会員となっているので、この議場にいる議員全員が会員です。7月30日に開かれた同連盟の総会で、総合的な治水事業の促進をはじめとして、河川整備の早期実現、河川改修事業の早期完成と内水対策に対する下水道の早期整備など6本の事項を国及び政府並びに東京都に対して要望することを議決しています。当区としても、水害対策にしっかり取り組んでいただき、善福寺川沿川に暮らすすべての人が大雨の日でも安心していられるようになり、善福寺公園の親水エリアの実現を共に喜べる日を迎えられるよう私も努力することを申し上げ、質問を終わります。

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