猪瀬知事、1年と6日で辞職
12月24日、医療法人徳洲会から5千万円の資金供与をうけていた猪瀬直樹氏が、ついに都知事を辞職しました。石原前知事の後継者として過去最多得票を誇って知事に就任した猪瀬氏でしたが、1年と6日目、就任期間が史上最短という新記録を残すことになりました。
5千万円がどういうお金なのかを明らかにするために、都議会では集中審議が行なわれましたが、知事の説明は二転三転し、疑惑解明にはほど遠い状況でした。総務委員会での質疑は正直言ってヘタな茶番劇を見せられているようでした。
議会では、これ以上総務委員会を続けても真相は明らかにならないと判断し、法的拘束力を持つ「百条委員会」を設置することになりましたが、それが知事の辞職を促すことになりました。知事は百条委員会で追及されることを恐れ、辞職を決意したものと思われます。
都政改革をうたって434万もの有権者に支持された猪瀬氏でしたが、立候補表明の前日に、贈収賄の疑いをもたれて当然の相手から大金を受け取ったこと、さらには知事選挙での運動員買収の疑いも明るみに出され、「改革派」のイメージは地に落ちました。
辞意表明の場で「自分はアマチュアだった」と、まるで足をすくわれた被害者であるかのように猪瀬氏は弁解しましたが、「政治とカネ」のワナに気づかなかったふりをしても通用しません。「個人的借金」というストーリーはとっくに破綻していたのに、なおも固執する姿は哀れでしかなく、彼はけっきょく「改革」どころか古い金権政治のスタイルそのものを実行していたのではないか。「アマチュア」を言い訳にするのは滑稽であり卑怯です。
この1か月間の都政の停滞によって、東京都は国に対する税制改正問題などの発言力を低下させ、逆にオリンピック関連の手続きなどに国の関与を強化させてしまいました。次の都知事選挙では、政権与党はさらに影響力の行使を強めようとねらってくるでしょう。
いまこそ東京都を都民の手にとりもどす、それを実現させる知事がほしい。そういう政治をつくっていきたい、そう思います。 都議会議員 小松 久子