◆Q
八ッ場ダムの事業費改定について伺います。
11月20日に開かれた国土交通省関東地方整備局の事業評価監視委員会で、八ッ場ダムの事業費が現行計画の2110億円から2.2倍の4600億円へと引き上げられ、大幅な変更となりました。東京都の負担額は利水・治水での343億円の増です。この他に水源地域対策特別措置法事業と水源地域対策基金事業があり、さらには起債にともなう利息も背負い込むことになります。
これらすべてを含めて、八ッ場ダム関連の東京都の負担総額はどれくらいになると推計しているのか、また、その額についての知事の見解を伺います。
◆A
ダム建設や水没関係住民の生活再建支援を目的とした、法に基づく事業の経費と基金事業の既支出分をあわせ、約773億円と試算している。
水資源開発にあたっては、将来の水需要や渇水に対する安全性の観点から、適宜、見直しを実施。また、今回の事業費改定にあたっては、検証に努め妥当なものと判断する。八ッ場ダムは、利水、治水の両面から不可欠であり、都として引き続き参画していく。
 
◆Q
日量45万トンの水利権確保に巨額の投資をする八ッ場ダムの見直しは時代の要請であることを改めて強調したいと考えます。新たな水需要予測を出す前に、本計画への参加継続を判断するのは早計といわなくてはなりません。
国は、水没予定の方々の生活再建をうたいながら、未だ移転代替地も完成させておらず、ひとりとして代替造成地に移転し生活を再開した人がいないという現実に目を向けるべきです。
また、八ッ場ダムは予定地の地質がきわめて脆弱で貯水を開始すると、地滑り等の災害を誘発する危険性が高く、この対策に今回の事業費増額分2490億円のうち19%をつぎ込まなければならないなど、看過することができない重大な問題をいくつも抱えるダムです。関連自治体とともにそれぞれの水需要の現状と予測など、諸状況を照らしあわせ、相互の水融通を視野に入れた見直しを、ラウンドテーブルで検討すべきと考えますが、見解を伺います。
◆A
もとより、水資源開発は、都県の区域を越えた広域的な課題。これまでも水源県を含め国や関係県と協力して推進していく。八ッ場ダムの必要性については、関係都県とも共通して認めている。都県相互の水融通については、災害時の対応などを実施していく。
八ッ場ダムに関して、改めて関係都県の協議の場をつくることは考えていない。
 
◆Q
化学物質過敏症対策についてです。
今年7月、シックハウス対策を盛り込んだ改正建築基準法が施行されましたが、未然防止の観点から建築関係業界が化学物質のない安全な製品を開発することが必要です。
これまでの都立世田谷泉高校での対応と、健康状態の把握を今後も引き続き行う必要について、また、他の都立学校への取組みについて見解を伺います。
◆A
学校におけるシックハウス症候群についてであるが、世田谷泉高校における、生徒の健康管理については、専門医の助言を受けて、健康診断等を実施してきた。被害を未然に防止するため、定期的な測定の体制を整備した。生徒の健康観察をきめ細かく行うなど、健康管理の充実に努めている。今後とも、学校と連携し、継続的に、生徒の健康状況の把握に努める。
他の都立学校についても、報告書の内容に基づいて、室内化学物質の低減化を進めるなど、対策の一層の充実を図っていく。
 
◆Q
シックハウス症候群から化学物質過敏症への移行も多く見られます。しかし、両者は厳密に区別することが難しく、未解明な部分や診断基準が定まらないこともあって対策が遅れています。
因果関係が十分に立証されていなくても、化学物質などの規制を可能とし、健康被害の拡大防止に繋げようという動きもあります。都として、化学物質過敏症の対策をどのようにお考えか、伺います。
◆A
いわゆる化学物質過敏症については、これまで国において様々な調査研究を実施。しかし、その発症メカニズムや健康基準・治療方法については未解明である。都はこれまでも、国に対し調査研究を一層推進するよう強く提案要求を行う。今後、その成果や国内外の最新の知見も踏まえ、必要な対策について検討している。
 
◆Q
国の特殊教育見直しの動きを受け、教育庁は、今後の心身障害教育のあり方を「改善検討委員会」で検討し、新たなシステムを展開するにあたり、困難を抱える子どもたち一人ひとりへのニーズについて、いつ、誰がどのようなニーズを必要とするかを見極めることが重要な課題となります。 
一人ひとりの個性に着目した教育の実現のために、人的配置の充実および区市町村が取組み可能な財政的な配慮についての見解を伺います。
◆A
都教育委員会としては、LD等の障害のある児童・生徒一人ひとりのニーズに応じた教育の展開は重要な課題であると認識している。人的配置などの条件整備については、今後、東京都心身障害教育改善検討委員会の最終報告や国の動向などを踏まえ、検討していく。
 
◆Q
3月に出された国の「今後の特別支援教育の在り方について」の最終報告では、ADHDの指導において投薬の効果を認める形での記述があります。
客観的な定義や診断方法がなく、副作用情報が浸透していない中で、中枢刺激剤の連携を明記するのは大変危険なことです。都は、投薬によるコントロールを第一義とすることのない特別支援教育を進めるべきと考えますが、見解を伺います。
◆A
ADHDの児童・生徒の特別支援教育についてであるが、特別支援教育においては、児童・生徒一人ひとりの教育的ニーズを把握して、教育的支援を行っていくことが重要であると考えている。お話の投薬によるコントロールについては、保護者が医療の専門家と連携を図り、医療的対応として行っていることは承知している。
都教育委員会は、各学校が、こうした現状を踏まえ、ADHDの児童・生徒の指導に当たって、保護者と一層の連携を図り、個に応じた指導計画に基づく教育を行うよう指導していく。
 
※ この他「H16年度予算案」「介護保険制度」「食品安全条例」について質問しました。詳しいことは杉並ネット事務所までお問い合わせください                        
 
以 上