杉並区 またも「つくる会」教科書を採択

区教育委員会に抗議文を提出

8月12日、来春から2年間杉並区立中学校で使われる教科書の審議が行われ、またもや「つくる会」の歴史教科書が採択されました。
以下教育委員会に提出した抗議文を掲載します。

杉並区教育委員会の扶桑社教科書採択に関する抗議書
                  区議会生活者ネットワーク 幹事長 小松久子

本日8月12日、杉並区教育委員会において、区立中学校で来春より2年間使われる教科書として扶桑社の歴史教科書を再び採択されたことはたいへん遺憾であり、会派として強く抗議します。

この教科書は、たとえ文科省の検定に合格したとはいえ、国内の教育、歴史、法曹などの各界専門家をはじめとして海外からも繰り返し批判されてきた、極めて問題の多いものです。例をあげれば、古代史においては伝承をあたかも史実であるかのように扱い、また近現代史においては、日本の植民地支配や侵略戦争を正当化・美化するいっぽう、戦争による被害も加害も過小評価し、アジアの近隣諸国に対する優越感と支配意識に基づいて書かれている、などです。また、国際常識を無視した記述や間違いが多数あることが指摘されながら訂正もされていません。

06年よりこの教科書を使用してきた杉並区内の学校現場や子ども、保護者たちの声を市民団体が聞き取った調査によれば、圧倒的多数が「こんなものはいやだ」と悲鳴を上げています。「今回の採択で別の教科書に変更してほしい」とこの教育委員会の審議に注目してきた区民の期待はしかし、大きく裏切られる結果になってしまいました。

この教科書をめぐっては、編集にあたった「新しい歴史教科書をつくる会」の内部抗争により代表執筆者が著作権を主張して発行停止を求めるという訴訟に発展しており、判決いかんでは今後の供給に影響が出ないという保障はありません。「つくる会」にかかわる人々が教科書を政治的な活動の具として利用しようとしてきたことは明らかであり、このようなものは採択の対象から外すのが常識的な分別であると6月議会の一般質問においても申し上げました。

区議会生活者ネットワークは今回の採択結果に対して抗議するとともに、白紙撤回のうえ採択のやり直しを求めるものです。